部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

幹部最期の日 その2









そして練習が終わり、幹部の引き継ぎ式という名の
飲み会までのんびりしていると
「はろ〜国木田」
「ん? 樋口さんか」
後ろから同期である樋口さんに声かけられた。
「飲み物買いに行かないかね?」
「あぁいいよ」
と僕は樋口さんと一緒に購買に向かった。
そこで僕はココア、樋口さんは抹茶ラテを買った。
「幹部として最期の練習お疲れ様〜」
「そっちもお疲れ様」
と僕らは飲み物の容器を合わせた。
「いや〜終わったね〜やっとだよ」
「まぁね、やっというか遂にか……」
「でも頑張ったじゃん〜流石国木田」
「樋口さんはどうだった幹部としてさ」
「私? そうだね、私はあまり困らなかったかな。
ほら、私はそれ以外で色々と苦労したからね〜」
「……確かにね」
そうだ、彼女はつい最近自分の過去にケリをつけたのだ。
しかもそれが予想以上に大変だったのだから。
……本音を言えば僕も結構疲れた。
七海に疑われてしばらく針のむしろだった。

「へぇ〜センパイは彼女に秘密を作るんですね」
「い、いやだね……今回の件は……」
「私は寂しいな〜大好きな彼氏に隠し事
させられるなんて〜悲しいな〜」
「僕にも事情というものがありましてね……
分かってもらえると嬉しいですね海さん」
「……話してもらえるまで続きますよ、これ」

あの後、僕が作れる料理のフルコースを作って
更にデザートを大量に作って
何とか機嫌を直してもらった。
……改めて七海の胃袋の大きさを感じた。
「ハハッ、面白いね〜!!」
「笑い事じゃないよ全く……」
「あ、それで私がプレゼントした旅行をどうだった?」
「あぁそれは楽しかったよ。久しぶりに羽を伸ばせたよ」
「なら良かった、私も色々とぼうり
ーー作戦を考えた甲斐があったよ〜」
「あっ、そういえばあの時はよくも……!!」
「てへっ!! ごめ〜んね!!」
「誤魔化せるなんて思うなよ!?
あの時だって七海達をなだめるの大変だったからな!!」
「ド〜〜〜ンマイ!!」
「テメェ、今度覚えておけよ……
ちなみに例の彼とはどうなっている?」
「ラブラブだよ〜もう私の事を大切に扱ってくれるし
夜なんてもう肉食になってきて
もうギャップがたまらないよ〜!!」
「あ、あれ樋口さんってこんな人だっけ?」
「行く時はいってきますのキスを
帰ってきたらお帰りのキスを……
一緒にご飯食べて〜一緒に寝て
……夜はプロレスごっこを〜
きゃっ!! 恥ずかし〜〜!!」
「な、なんなんだこれは……」
僕は開いた口が閉じなかった。
目の前にいる人物が今までとは同じ人だとは
思えなかった。
「この後の飲み会が終わった後は彼が幹部お疲れ様会を
開いてくれるんだ〜個室の飲み屋で〜
明後日は一緒に遊園地だよ〜!!
私愛されている〜!! 幸せだな〜!!」
「……久しぶりに他のカップルを見て
胸焼けしそうだよ」
七海と付き合い始めてから、あまり思わなくなったけど
付き合う前は織田と与謝野さんの2人を見ていて
たまに胸焼けしていた。
(まぁそれでも樋口さんが幸せならいいか……)
彼女は色々と背負いすぎた。
そんな彼女が今、幸せに笑っているのを見て
僕は呆れながらも心が温かくなるのを感じた。
それは彼女と一緒にその過去に向き合う事になった
からなのかもしれない。
(これもありかね……)


としばらく樋口さんと話していると
「あれ、もうこんな時間だ」
時計を見るとそろそろ飲み会の時間になっていた。
「ほんとだ〜そろそろ行こうか」
「まぁ樋口さんが幸せになってくれて僕は……」
「翔子」
「えっ?」
「翔子でいいよ」
「え? はっ?」
いきなり何を言いだすんだろうかこの人は?
「ほらある意味、名前変わったし〜
国木田になら言われてもいいかな〜と思って」
「そうかな?」
「そうそう私なりに貴方へのお礼にね。
ーーよろしくね
「はっ!?」
今何て言った?
拓海?
誰がそれ?
……僕だ。
「いやいや何でいきなり下の名前よ!?」
「まぁいいじゃん〜ギブアンドテイクってやつよ〜
ほらほら呼んでみなよ〜拓海」
結局色々と考えて……
「ハァ……はいはい分かりましたよ……
ーー
「よろしい〜改めてよろしくね拓海」
「でもこんな話を七海に聞かれたら……」
「ーーへぇ〜まさか下の名前で呼び合う様な関係に
なっていたんですね〜いつの間に〜」
「うわぁ……マジかよ」
「おろろ〜愛しの彼女のお出ましだよ〜
ーー昨日の拓海は激しかったよ〜」
「冤罪作らないで!?」
「へぇ……ほぉ……センパイモテますね〜
いやいや彼女として誇らしいですよ〜
……覚えといてくださいねセンパ〜イ?」
妙に七海の笑顔が怖かった。





樋口に何があったのかは
スピンオフにのっていますので
お時間がありましたら
読んでいただけると嬉しいです。



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コメント

  • ミラル ムカデ

    スピンオフを呼んだら『樋口』と言う名字に違和感が……

    3
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