部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

まぁ可愛いから許す







僕らは茶屋で休憩した後、本来の目的地である
平等院に向かった。
拝観料を払い(もちろん僕持ちだった)中に入った。
そして中に入り、僕らはそのままの足で鳳凰堂が
正面に見える場所に向かった。
平日という事もあって、あまり人はいなかった。
「うわ〜大きい〜!! 見て見て大きい〜!!」
さっきまで抹茶とあんみつにテンション上がっていた
七海は今度は鳳凰堂を見た事により興奮していた。
「確かに目の前で見ると大きいね……」
という僕も久しぶりに鳳凰堂を見てかなり興奮していた。
「あれが10円玉に描いてあるモデルですか〜!!
おぉ〜10円玉が目の前にありますね!!」
と財布から10円を取り出し、見比べる七海。
「七海は元気だね〜余程鳳凰堂が好きみたいだね」
「確かにそれもありますが、一番は違います」
「そうなの……? ちなみにその一番は?」
僕は試しに聞いてみた。
「だって念願のセンパイとの旅行ですよ?
テンション上がらない方があり得ないですよ」
「へっ?」
「初めて彼氏と旅行ですからね!!
楽しみにし過ぎてあまり寝てません!!」
「そ、そうか……
というか寝てよ!?」
そりゃ僕も楽しみだったけどさ!?
僕はきちんと寝たさ!!
(まぁ楽しみ半分、計画がバレた怖さ半分だけどね)
「えへへ〜つい目が覚めちゃって〜」
と可愛らしく舌を出す七海。
「全く……何やっているのさ……」
僕は頭に手を当てて多少呆れていた。
「"と言いながらも七海を許す僕であった"
もうセンパイは私が大好きなんだから〜」
「勝手に人のセリフ言わないでもらえるかな!?」
……まぁ可愛いから許すつもりだったんだけどね。
「センパイだから許してもらえるかな〜って
なんとなくセンパイが言いそうなセリフを言いました」
「……ほぼ合っているのが凄く癪に触る」
「これぞ以心伝心ですね!!
ーー旅行の帰りに市役所寄っちゃう?」
「まだ寄らないよ……」
と僕が言うと、七海は急に足を止めて
「えっ、まだって事は……?」
そう言われて僕は今自分が言った言葉を思い出す。
「あっ……ほ、ほら、平等院ミュージアムに行くよ」
僕は恥ずかしくなり足を速めた。
「ちょっとセンパイ!?今の発言の真意は!?
教えてよ〜!!」
「置いてくよ」
「あぁ〜待って〜置いていかないでよ〜!!」
と後から駆け足で僕に向かってくる七海。
どうやら僕も七海との旅行でテンションが
おかしくなっているみたいだ。


その後、僕らは平等院ミュージアムに行った。
七海は終始ずっと目を輝かせており、その様子を
僕は微笑ましく見ていた。
ゆっくりと中を見学した後、中にあるレストランで
軽食を食べて鳳凰堂内部の見学ツアーに参加した。
「ねぇセンパイ、もう一回前から
鳳凰堂見ても大丈夫?」
「ん? いいよ。時間はまだ大丈夫だし」
……実は平等院に七海が結構夢中になって
いたので予想以上に時間が押していたのだが
七海が楽しそうだし、押しているとはいえども
あと一箇所ぐらいは行けると思った。
「わ〜い行こ行こ!!」
「はいはい、行きますよ」
と七海について行く僕。
前を行く七海を見て、ふと思った事がある。
(そういえば七海と旅行って初めてか………)
さっきの発言を聞いて改めて記憶を振り返ってみると
デートはしょっちゅうあるが2人で旅行は無かった。
(七海も気にしていたしな……来年は2人での旅行を
企画しようかな)
旅行の企画は結構大変だし、面倒だ。
だけど……
「センパイ〜!! 早く行こうよ〜!!」
「うん、分かった。今行くよ」
あの七海の満面の笑顔を見れるなら苦じゃないよね?

コメント

  • ペンギン

    面白いです!毎日ありがとうございます!これからも、応援しています!頑張ってください!

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