部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

拒否権はありません










学園祭2日目

「はい、10個揚がったよ!! 味付けお願い!!」
「分かりましたーー!! すみません追加でもう10個
お願いします!!」
「オッケー」
僕は部活のブースでサーターアンダギーを揚げていた。
サーターアンダギーに関してはよく七海や森に
振舞っていた事もあり、慣れていた。
「いや〜国木田先輩ありがとうございます
わざわざ手伝ってくれて感謝っす」
「いいの、いいの。昨日七海とのデートに時間を
割いてくれたからお返しをしないとね」
そうなのである。
昨日七海とデートをしたので、今日は僕も手伝おうと
思い、サーターアンダギーの生地を作るところから
揚げるまでをやっていた。
……うん、我ながらテキパキ過ぎてないか?
なお今、与謝野さんは織田とのデート中
森もいないって事は凛子さんと上手い事してるんだろう。
「ほい、揚がったぞ」
と僕は揚げたばかりのサーターアンダギーをトレーに
入れて後輩に渡した。
「ありがとうございます!! いや〜先輩には本当に
頭上がらないっす!!」
「いいよ、別に」
「だって私のセンパイだからね!!」
何故か自信満々に答える我が彼女、七海。
「……七海? 何で君が答えるの?」
「そりゃ私がいつもセンパイのお世話になって
いますから、一番分かってますからね!!
私のセンパイだからね!!」
「何故最後に同じ事言ったし……?」 
僕は若干呆れながら言った。
「まぁでも先輩の手際本当にいいですね。
平塚の言う通りです」
と後輩の1人が言った。
「そりゃ一人暮らし長いからね。自然に慣れるよ
ほい、揚がったよ」
「国木田先輩ってモテそうだよな……」
「あっ、それ分かる」
「だって私のセンパイだからね!!」
と後輩達が話していた。
……最後の発言の主は言わなくても分かるだろう?
「ハハッ、僕今まで彼女いなかったよ?
僕はモテるタイプの人間では無いからね」
「いやいや、国木田先輩って結構後輩達や先輩に
至るまで人望高いですよ?」
「主将にも意見言えるし、後輩達が失敗した後も
しっかりアフターフォローをしてますし」
「料理美味しいし」
「他の先輩とも上手くやってますよね……」
と次々に後輩達が僕の事を褒めてくれる。
正直照れ臭いが、悪い気はしない。
「はいはい、褒めてくれてありがとうね」
「国木田先輩、私と付き合いませんか〜?」
「あっ、なら私も立候補します」
と何故か僕の彼女に立候補する後輩達。
彼女達はふざけているだけだろう。
明らかに声のトーンで分かる。
女子にモテるのは本音を言えば、とても嬉しい。
だが……
「ーーいや〜モテてますね、センパイ?」
約1名、不機嫌な彼女がいるのでやめてほしい。
だって明らかに不機嫌なオーラ出しているし。
「な、七海? どうしたの?」
「ちょっとセンパイ、こっちに来てください。
ーー拒否権はありません」
「……はい」
僕は七海に言われるがまま
別の場所に連れて行かれる事になった。
「行ってらっしゃ〜い先輩」
と呑気な後輩達の声が聞こえた。
(クソッ、後で覚えておけよ……!!)
僕はやや後輩達を恨んだ。




僕が連れてこられたのは校舎の裏側だった。
「センパイ」
「はい
ーーン!?」
僕はいきなり七海にキスをされた。
そしてキスが終わり次第、僕に抱きついてきた。
「嫌」
「七海……?」
「センパイは私の彼氏なの。私だけなの」
言いながら僕の胸に顔を埋める七海。
「いや七海、あの子達も冗談でやってだけだよ?」
「冗談でも嫌なんです。センパイが他の女の子に
褒められているのが」
と更に強く抱きしめてくる七海。
多分七海も、僕が昨日思った感情と同じなのだろう。
自分が嫌な癖に、七海に同じ感情をさせてはいけない。
「さっきのは僕が悪かった。ごめん」
「……本当にそう思っていますか?」
やや、疑い気味に聞いてくる。
「あぁ、本当に悪かった。七海を悪い気分にさせてさ」
「じゃあ……」
と言うと七海は抱きついたまま、僕を見上げてきて
「今度はセンパイから私にキスをしてください」
「分かった。七海、目を閉じてもらえる?」
「うん、分かった」
そう言うと七海は目を閉じて、唇を突き出してきた。
僕はその唇にキスをした。
「えへへ、センパイのキス優しいね」
と七海はいつもの笑顔に戻った。
「そうなの……?」
そもそもキスに優しい、優しくないの区別あるか?
まぁ、七海が笑顔になるなら構わないか。
「ねぇ、もう一回して? お願い……?」 
と上目遣いで僕にお願いしてくる七海。
「はいはい、これで最後ね」
流石にこれ以上、ブースを空ける訳にいかないし。
「うん!!」
とまた僕らはキスをするのだった。
「やっぱりセンパイとのキス、好き
心が幸せになるもん」
「奇遇だね、僕も今幸せだよ」
そう言うとお互い笑った。
(やっぱり七海は笑顔の方が絶対可愛いよね)

……まぁその後、ブースに戻ったら後輩達が
ニヤニヤしながら待っていた。





次は織田と与謝野の2人です

コメント

  • ペンギン

    ニヤニヤが止まりませんねw

    3
  • ミラル ムカデ

    なんでだろう……
    作者さん砂糖の量まちがえました?

    4
  • A・L・I・C・E

    グハッ!……なんだ、これは?口から非リアの血と、砂糖?

    4
  • ノベルバユーザー81968

    俺もニヤニヤしながら見てたゾ

    5
  • Yori

    七海さんの嫉妬からの甘々展開でしたね
    ありがとうございました〜

    5
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