部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

"今"も好きだよ













「今から幹部会を始める」
と我らが主将夏目の一言で幹部会が始まった。
(はぁ・・・早く帰って七海と遊びたい)
実はこの後七海とのデートの約束があり
本音を言うと幹部会をサボろうと考えたぐらいだ。
・・・流石に七海に止められた。
「じゃあまずは何か連絡があるものいるか?」
(さっさと終わらせるか)
「僕からいいかな?」
「じゃあ国木田から」
「うん、ありがとう。
僕からは会計の事についてかな。
10月にある大会に出る人は早めに連絡をください。
交通費とかの申請があるのでなるべく早めに」
「他に連絡のあるものいるか?」
と夏目が周りを見渡すと何も誰も手を上げてなかった。
「無いなら俺から。
最近妙に浮き足立つ輩が部員にいるらしいが
大会が近いから気をつけるように。
・・・選手じゃなくても」
(こいつわざと最期のつけやがったな・・・)
絶対最期の言葉は僕に対してだろう。
前よりは大人しくなったとはいえ
未だに根に持たれているようだ。
(まぁ根に持っているのは僕もだけどね)
そのあと少しこれからの部活の進行を話したあと
多少ギスギスした幹部会は終わった。

「はぁ・・・やっと終わったよ・・・」
「疲れているようだね、国木田」
後ろから声をかけられて振り向くと
そこには樋口さんがいた。
「樋口さんか・・・そりゃ疲れるよ・・・
だってあいつの話長いんだもん」
「ハハ〜確かにそうかも〜
・・・まぁ私寝てたから分からないけど」
「寝てたのかよ・・・」
安定の樋口さんだった。
というか寝てたなら夏目気づけよ・・・
「というか今回の森の件お疲れ様」
「いや僕は大してやってないよ。
一番頑張ったのは森だよ」
「またまた謙遜しちゃって〜
森が迷っている時に的確なフォローをして
事態が大事にならずにい住んだのに〜」
「あの後の後始末、樋口さんもしたでしょ?」
「あぁ、あの取り巻きと変人の事?」
「そうそう、彼らの情報を事前にくれたから
僕もギリギリで間に合ったし
ーー騒ぎが目立ってないのは樋口さんが
何かしらしたんだろ?」
「まぁね、だって残りカスは邪魔でしょ?」
「余程嫌いなんだね・・・」
最早人間扱いしていない。
でも当然だろう。
(自分の大好きな人をいじめて転校までさせた
奴の取り巻きなんだもんな・・・)
彼女は僕なんかとは比べものにならないぐらい
壮絶な半生を過ごしている。
「・・・ねぇ樋口さん」
「ん?何かな?」
「樋口さんはもう会わなくていいの?
その・・・大好きだった人とは」
「国木田、言葉間違っているよ。
"だった"じゃないよ、"今"も好きだよ」
樋口さんは笑いながらそう言った。
「なら尚更会わないと・・・」
「だから〜国木田、前に言ったでしょ?
ーー私には会う資格は無いって
だってある意味、あのクズと同じ事をしたんだよ?
そんな人間、彼に相応しく無いよ〜」
「そんなの会ってみなきゃ・・・!!
って何かごめん・・・」
「良いって、国木田は悪くないどころか正論しか
言って無いから大丈夫だよ〜ありがと」
「樋口さん」
「ん?」
「助けが必要なら呼んでね」
「えっ?」
「僕は君に色々助けてもらったからさ
助けが必要なら助けるよ」
(あんな人生を送ったんだ。
せめて樋口さんに幸せになって欲しい・・・)
と僕が言うと、彼女は驚いた顔をしたものも
すぐに笑い出した。
「ハハッ・・・やっぱり国木田って
面白いよね〜!!」
「ここ笑うとこ!?」
「いやいやごめんごめん、ついね・・・
やっぱり国木田が同期で良かったよ〜」
「うるせぇ・・・」
「でも、ありがとうね。
その時は助けてもらうよ」
「うん、呼んでね」
「ところで国木田」
「ん?」
「時間大丈夫なの?」
「ってしまったぁぁ〜!?
七海に怒られる!!」
七海って機嫌悪いと面倒なんだよな〜!!
「じゃ、樋口さん、またね〜!!」
「バイバイ〜」

デートにはギリギリ間に合ったが
結局七海からの尋問を受けるのであった。

そして樋口さん絡みの問題もこの後
すぐに巻き込まれる事になるのだが
それはまた別の機会に・・・










ショートストーリー〜ある女性の独り言〜

「全く・・・お人好し過ぎでしょ国木田は」
そんなところまで彼に似ている。
「だから私も自分の感情にケリをつけなきゃね
でも、私はどうしたいのかな・・・」

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