部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

カッコ悪くていい



ついに2人の恋物語に決着 ︎


今回は長めですがどうか最後まで
お付き合いください ︎








「・・・」
「・・・」
俺らは無言で歩いていた。
こういう場合は年上の俺が
話を振らなきゃいけないのだろうが
俺は今それどころでは無かった。
(さて、どんな風に告白するか・・・
内容は決まってる
場所をどこでやるかだよな・・・)
内容が決まっているという訳は
昨日徹夜で書いた告白する
台本を持ってきているからだ。
(告白の最中で吃るなんて
カッコ悪いからな ︎
こういうのはビシッと決めたい ︎)
・・・まぁ内容を考えすぎたためか
寝坊しかけた。
「あ、あの森先輩・・・」
「は、はい!?なんだ!?」
「私達はどこに向かっているのでしょうか・・・」
「あっ」
すっかり忘れてた。
どこで告白するかばかりを考えていて
そこまで気が回っていなかった。
「ど、ど、どこに行こうかな・・・アハハ・・・」
(すまん江國さん、何も考えてなかった・・・)
「と、とりあえず大学に戻ってもいいですか?
まだ荷物置きっぱなしなので・・・」
「そ、そ、そうだな ︎荷物取りに行こう ︎
そうしよう ︎」
江國さんからはめちゃくちゃ不自然に見えていただろう。
(まぁでも告白する場所は決まったぞ。
ーー大学で決める!!)
俺は決意するのであった。



そしてそこから10分ぐらい歩き、大学に着いた。
(よし、決戦の場に着いた・・・ ︎
問題が大学のどこでやるかだが・・・
屋上が1番だな)
この田舎にあるキャンパスの数少ない見所として
1番大きな建物の屋上から見える景色だ。
周りに高い建物が皆無という事もあり
屋上からは周りを一望出来る。
そして学生はあまり来ないという穴場である。
(そして人混みが苦手な俺のベストプレイスだ)
「あっ、あった!!」
どうやら江國さんの荷物はあったようだ。
「よかったな。何も盗まれてない?」
「はい、何も盗まれては無いみたいです
・・・よかった定期入れ失くしてたら
私は死んでましたね」
「?その定期入れに何か入れてたのか?」
「それはも
ーーって言えません!!」
「わ、分かった。聞かないでおくよ」
・・・女子というのは秘密が多いらしい。
だが定期入れにはどんな物が入っていたのだろう?
とても気になる。
今度時間がある時にでも聞いてみよう。
「私の用事は終わりましたが・・・
森先輩の用事はございますか?」
(よし来たぞこれ!!)
俺は待ってましたとばかりに江國さんに
"俺行きたいところあるんだ!!"
とカッコよく言おうとした。
だが・・・
「お、俺 ︎い、い、行きたい
ところあ、あ、ある!!」
(結局ここでも吃るのか俺は ︎)
自分のヘタレに軽く絶望した。
「行きたいところですか?」
でも、なんとか江國さんに通じたようだ。
「そう、そうそう ︎」
(で、でも告白はうまく決めてやるし!!)
と俺らは俺のベストプレイスに向かうのであった。




「うわぁ〜綺麗ですね」
「よかった、気に入ってくれたようで・・・」
(よし ︎ここまでは順調だ・・・
今の内に本番で失敗しないように台本見ておこう!!)
と俺はメモサイズの台本を探そうとした。
が・・・
(あ、あれ?おかしい・・・どこにも無い・・・)
確か行く前にはポケットに入れたはず・・・
と服のポケットを探していると
「森先輩?どうかしましたか?」
「い、いや ︎な、な、なんでも無いぞ!!うん!!」
「・・・その受け答えで素直に"はい"って
言えると思いますか?」
「ですよね〜」
流石江國さん、言葉が辛辣だ。
「いや〜どっかで落し物をしたらしく」
「それって大変じゃないですか ︎」
俺が言い終わらない内に江國さんが慌て始めた。
「ちなみに何を落とされたんですか?」
「メ、メモかな・・・」
「何のメモですか?」
「す、スピーチのメモかな・・・」
流石に告白する相手に告白するためのメモとは言えず
それっぽい事を言ってごまかした。
「じゃあなおさら探さないと ︎」
「い、いやいいんだ江國さん
あれは無くてもいいメモだから」
(ごめん嘘 ︎あれに今日の命運かかってる ︎
でも君に見られると俺は恥ずかしさで死ぬ ︎)
「じゃあどんな場でのスピーチですか?」
「あ、あ、あのね・・・その・・・」
とにかく必至に言い訳を考える俺。
「・・・何を隠しているんですか?
とりあえず先輩にとって大事なメモだって事は
今の反応で分かりましたから」
「げっ・・・」
必至の抵抗虚しく見破られるメモ。
これ以上、誤魔化しても意味が無いと思い
俺は正直に話す事にした。
「あれには大事なスピーチの内容が
書いてあったんだ・・・」
「どんな場所でですか?」
「場所はどこでも良かったんだ・・・
ーー言う相手が俺の大切な人だ」
「・・・ッ!?
へ、へぇ〜そうなんですか・・・」
「その人の前でカッコよく話したかったんだよ。
ーーだからメモに話すことを書いてきたのだが・・・
失くすとか、俺はカッコよく無いな・・・」
「それってメモ必要ですか?」
「えっ?」
「自分の思いをぶつけるのにメモって必要ですか?」
「い、いや俺はよく緊張したりすると
吃るから」
そうだ。
俺は今まで人前や緊張すると変に吃ってしまう。
告白という大事な場面で、しかも大事な人の前で
そんな事が許されるはずが無い。
だが江國さんは・・・
「別に吃ってもいいじゃないですか?
吃ろうが何だろうが森先輩の言葉で話すことが
1番大事だと思いますが・・・」
「そうか・・・?」
「はい。
少なからず私ならどんなに吃ろうが
自分の言葉で思いを告げられた方がいいです。
私はその全てを受け止めます」
と優しい笑みを浮かべながら言った。
俺はその笑みを見て、自分の中で決心がついた。
「そうか・・・そうだよな」

ーー俺は何を悩んでいたのだろうか?

ーー言いたい事は既にあるのに

ーーそんなカッコつけて言う必要は無かった

ーーただ俺は3文字を目の前にいる人に
ぶつけるだけだ

ーー決意は決めた。後は口を開くだけだ ︎

「好きだ!!」
「えっ?」
「俺は江國さんが好きだ!!大好きだ!!」
あのメモにはもっと色々書いた気がする。
だけど今は短くてもいい、カッコ悪くていい
自分の思いを大好きな彼女に言うだけだ。
「大好きだ!!
だから俺の彼女になって欲しい!?」
言った。
言い切った。
(俺は言い切った ︎
もう悔いは無い・・・
とは言い切れないが
とりあえず頑張ったはず ︎)
俺は目の前の江國さんを見た。
最初は驚いた表情だったが
徐々に優しい笑みに変わった。
そして何故か俺の近くまで来て・・・
ピトッ
「え、え、え、江國さん ︎
な、な、な、何をしているんだい!?」
俺に軽く抱きついてきた。
「先輩、メモ無くても言えるじゃないですか」
江國さんの表情は抱きついているため分からないが
やや呆れていそうだった。
「ま、ま、まぁ短い言葉だからな・・・」
「さっきの先輩はカッコ良かったですよ
ーー全く・・・先輩はどれだけ私をドキドキさせたら
済むんですか?」
「え、え、え?」
俺は江國さんの言っている意味が分からなかった。
いや、意味はわかる。
ただ何故か分からなかった。
「さっきの私を助けてくれた時の表情
今の告白してくれた時の表情
カッコ良かったですよ」
「そ、そうなのか?」
「第一、私には先輩がいつもカッコよく見えてましたよ。
先輩と出会った時から今までずっと。
ーーだって私は先輩が好きなんですから」
「は、はい!?」
江國さんが好き?
誰を?
俺を ︎
マジで・・・?
「先輩の告白の返事してもいいですか?」
「お、おう」
「私でよければ先輩の彼女にしてください」
「・・・」
俺の中で世界が止まった。
「ち、ちょっと先輩 ︎
無反応やめてもらえませんか ︎」
「あっ、わ、悪い ︎
つい、感慨にふけっていて・・・」
「全く先輩ったら・・・
で、返事は?」
「俺の返事?
ーーそんなん決まっているさ」
と俺は江國さんを強く抱きしめた。
「せ、せ、先輩!?い、い、一体何を!?」
「ーー俺でよければ、これからもよろしく」
「・・・ッ!?はい!!」




そして俺こと森結城は後輩である江國凛子と
付き合うことになった。












ショートストーリー〜隠れドアの3人〜
「やった〜!!森がついに言ったよ〜!!」
「あぁ!!ついに言い切ったな!!」
俺は桜とハイタッチをした。
最初はどうなるか不安だったが
なんとか丸く収まった様だ。
「凛子も森先輩もどちらも良かったよ〜 ︎
うわぁ〜ん!!」
隣の平塚をみると、泣いていた。
「平塚泣くなよ・・・って思ったら俺も
涙出てきた」
「うわぁ〜ん!!泣けるよ〜!!」
反対側の桜は号泣だった。
「桜は既に号泣なのか ︎
てか号泣するの早くない!?」
3人とも泣いていた。



あとがき

書き始めて約9ヶ月・・・
ついにあの人見知りの森に彼女が出来ました ︎
書いている本人が言うのも変ですが
森もめちゃくちゃ頑張ったんだなって
思いました。
人見知りだった彼が
まさかここまで変わるとは・・・
恋って凄いですね。 


さて2人は付き合い始めましたが
まだまだこの物語は続きますので
どうぞお付き合いください ︎

コメント

  • ノベルバユーザー239382

    よかったよ!森ぃー

    2
  • あいす/Aisu

    森君おつかれ‼︎ うらやますぃィィィ!よくやったぞい

    3
  • Flugel

    森ぃ!羨ましいなお前ぇ!
    末永く幸せになりやがれぇ!

    3
  • ミラル ムカデ

    おめでとうです!森さん!

    3
  • ノベルバユーザー81968

    よくやったな、森

    4
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