部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

そこをどけ‼︎



今回は凛子視点です







私は目が覚めたら椅子に縛られていた。
「や、やっと会えたね、江國凛子ちゃん」
目の前には私よりも年上だと思われる男性がいた。
(にしてもこの部屋は異常よ・・・)
何故ならこの部屋の壁一面に写真が貼られているからだ。
ーー私の写真が。
多分隠し撮りだと思われる。
「き、気にいってくれたかな?ここは俺と凛子ちゃんの
愛の部屋になるんだ」
「気にいるはずが無いじゃない ︎
こんな変な部屋 ︎」
「俺は君が好きだった・・・だけど君は俺に
振り向いてくれない・・・だったらこういう手荒な事を
しないと振り向いてくれないだろう ︎」
(こいつ、完全におかしいわ・・・ ︎)
「俺がいくら君を見ても、君は何とも思わない・・・
それなのに ︎それなのに ︎」
「ひっ・・・」
いきなり声が大きくなり私はつい怯えてしまう。
「君はあんな変な男性と仲良くしている・・・ ︎
あんな奴の何がいいんだ ︎あんな奴の ︎」
多分この男が言っているのは森先輩だろう。
(まさかこの男はそこまで知ってるの・・・ ︎)
改めてこの目の前にいる男の異常性を感じた。
そしてたまたま部屋の片隅にある写真が目に入った。
(あ、あれは・・・?ひっ ︎)
その写真は森先輩が写っていて
ーーそしてナイフが先輩の顔に刺さっていた。
「あぁ〜あの男ね。あいつは俺から凛子ちゃんを
盗ろうとしている泥棒なんだよ。
俺と凛子ちゃんの間を邪魔する奴は消すんだよねー ︎」
「森先輩に何したの・・・?」
私は不安になり聞いた。
「えっ?何で凛子ちゃんがそんな事気にするの?
あんな邪魔者の事なんてほっとこうよ」
「答えなさいよ ︎あんた森先輩に何したの ︎」
「まだしてないよ?
これからしようと思っていたところだよ?」
というと私の方を向いて
「邪魔者を消す前にまずは・・・
ーー凛子ちゃんを楽しんでからだよね〜」
「嫌っ ︎来ないで ︎」
「あ、そんな態度とっていいのかな〜
凛子ちゃんにとっての大事な人が
どんな目にあってもいいのかな〜?
あっ、でも大事な人はもう少しで俺になるから
別にいいよね〜?」
「どういう意味よ ︎」
「とりあえずは森っていう泥棒野郎には大学から
消えてもらおうかな〜
ーーこの世にはいくらでもそういう方法があるからね」
この男は雰囲気的に本当にやりかねない。
「あの人だけはやめて ︎
私なら・・・いくらでも・・・」
話している途中、私は涙が出てきた。
「うん、そうだよね〜凛子ちゃんは優しい子だもんね〜
じゃあ凛子ちゃんで楽しませて・・・
ーーん?なんかうるさいな」
とその男は自室のカーテンを閉めた。
「もうこれで俺と凛子ちゃんの間を邪魔する奴は
いなくなった ︎これで ︎ついに ︎凛子ちゃんは ︎
俺のお姫様になるんだ ︎」
「うぅ・・・うぅ・・・」
「何で泣いてるの?あ、そんなに嬉しんだ〜
俺も嬉しいよ〜 ︎」
(ごめんなさい森先輩・・・)
と私が全てに諦めかけた瞬間
「そこどけ ︎」
となんか聞き覚えがある声が聞こえたと同時に
ドッカーン!
アパートのドアが吹っ飛んできた。
「な、な、な、なんだ ︎
何が起きたんだ ︎」
目の前にいる男も驚いているようだった。
(ま、まさか・・・ ︎)
こんな状況であの人が来るはずが・・・
「・・・おい、テメェ何してやがる」
そこには私の大好きな人がいた。
ーーかなりドスの効いた声で。
「森先輩 ︎」
「な、な、何でここが分かった ︎」
「あん?そんなの俺の先輩が教えてくれたよ ︎
ーーテメェ、俺の凛子さんに何してるんだよ ︎」
「う、うるさい ︎凛子ちゃんは俺と結ばれる運命
なんだ ︎お前が邪魔するな ︎」
「やんのか?」
完全に森先輩はやる気だった。
「ーー森、本来の目的忘れてはいけないよ?」
「国木田先輩も ︎」
森先輩の後ろから私の親友の彼氏である国木田先輩が
出てきた。
「とりあえずこの犯罪者は僕が抑えておくからさ
森はさっさと凛子さんを連れ出しなさいや」
国木田先輩はそういうと私と男の前に立ち塞がった。
「わ、分かりました ︎」
と森先輩は私を椅子ごと持ち上げた。
「ち、ちょっと森先輩 ︎国木田先輩は ︎」
「じゃあ先輩 ︎あとお願いします ︎」
「おう、任されたよ」
と言い、私と森先輩は部屋から出た。
「森先輩 ︎国木田先輩はどうするんですか ︎」
「あの人は大丈夫 ︎
だってあの人意外と強いよ?」
「えっ?」
「とりあえずは逃げようか ︎」
「は、はい ︎って私はこのまんまですか ︎」
そうなのである。
私はまだ椅子に縛られたまま運ばれているのである。
(恥ずかしいから降ろして・・・)
「わ、わりぃ ︎何も考えずに運んでた・・・
とりあえず解きたいのだけど硬い・・・」
「やっぱりですよね・・・」
「とりあえずしばらくこのままでいい?」
「もうしょうがないので大丈夫です・・・」
(本当は全然良くないけど・・・
何よりも森先輩に見られるのが恥ずかしい・・・ ︎)
私はしばらく羞恥に悶えていた。






ショートストーリー〜森が立ち去った後〜

「よし・・・森は行ったかな」
「お、お前 ︎何しているんだよ ︎」
「ん?」
「お前のせいで俺のお姫様が
連れ去られたじゃないか ︎」
そういえば目の前にいたよ・・・
すっかり忘れてた。
「先に連れ去ったのはあんただろう・・・」
「うるさい ︎うるさい ︎邪魔をするなら
お前を倒す ︎」
「ほうほう、ではやってみたら?」
「はぁ?だってお前、足怪我してんだってな ︎
お前で俺を止められると思っているのか〜?」
どうやら僕の事も調べているらしい。
でも・・・
「お前なんてそれぐらいがいいハンデだ。
ーーやってみるがいい、僕に勝ってみな?」
「はっ?調子に乗るなよ?」
「お前こそ、吠え面かくなよ?」
僕は久々に構えた。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品