部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

後始末はいくらでも僕がしてやるよ



今回は森視点です






織田と与謝野にハメられ?
江國さんと遊んで数日後
俺はとある人物に電話をかけた。
「はいはい、国木田です」
「国木田先輩ですか?
ただ今お時間いいですか?」
俺が電話した相手は国木田先輩だ。
やっぱり相談相手は頼れる先輩だろう。
「僕?大丈夫だよ、どうかしたかな?」
「実は御相談したい事がございまして・・・」
「そこまでかしこまらなくていいよ」
「じゃあ国木田〜」
「・・・お疲れさんでした〜」
「ちょ ︎待ってくださいよ〜 ︎
可愛い後輩を
見捨てるんですか?」
「僕にとって可愛い後輩は七海だけだ」
「またまた照れちゃって〜
恥ずかしがり屋なん」
プチッ
いきなり電話を切られてしまった。
「先輩〜 ︎酷く無いっすか ︎」
「お前が何を言うか ︎」
と文句を言いながらも
律儀に相談に乗る先輩。
なんやかんやで俺らを助けてくれる
国木田先輩を
俺はとても尊敬している。
「で、相談って何だ?」
「俺ってコミュ症ですよね?」
「何を今更、記憶でも無くしたか?」
・・・先輩は容赦無い。
やはり甘いのは彼女の平塚だけか・・・
「いえ、ただ・・・」
「ただ?」
「やっぱりコミュ症じゃない方が
いいっすよね?」
「・・・お前、本当にどうした?」
先輩は真面目なトーンで心配してくれる。
「女性ってコミュ症な男性を
好きにはなりませんよね?」
「・・・凛子さん絡みか?」
「やっぱり先輩には分かりますか・・・」
「そりゃ入学してからほぼ毎週僕の家に
上がり込んでくる後輩の事だよ?」
この先輩はよく俺らの事をよく見てくれて
そしてよく考えてくれる。
それが先輩があんなに人気がある理由だろう。
「よっ、流石国木田大先輩 ︎」
「・・・さて明日の飯の準備しようかな」
「嘘です、すいませんでした。
だから切らないでください」
俺は先輩には見えていないだろうけど
自室で土下座をしていた。
・・・きちんと先輩の家の方を向いて。
「お前って真面目な雰囲気壊すの得意だよな ︎
・・・ったく、でお前は凛子さんが好きなのか?」
「は、はいっ ︎」
先輩がいきなりぶっ込んできた。
「だからお前は凛子さんが好きなのかと聞いてる。
それだけははっきりとさせてくれないと僕も
アドバイスを変えないといけない
ーーふざけたら僕はお前をその程度だと思うよ」
国木田先輩の真面目な話をする際のトーンだった。
これは・・・
(先輩はマジだ・・・)
よく先輩とは一緒にいるから分かる先輩の本気だ。
ここでふざけたら先輩は絶対俺をその程度の奴と
思い続けるだろう。
ここではぐらかすの簡単だ。
だが、それは俺を本気で心配している国木田先輩
ーー何よりも彼女に申し訳ないと思った。
(って事は俺はしっかり考えないといけない訳か・・・)
俺は自分の中で色々と考えてみた。

ーー江國さんの笑顔

「森先輩」
ーー江國さんの声

ーー短いけど江國さんと一緒にいた時間

全てが気がついたら俺にとっての宝物になっていた。
(こりゃ俺って意外と分かりやすいんだな・・・
全く・・・何しているんだか)
「別に今、答えを出せとは言わないよ。
森がゆっくり悩んだ結果を」
「ーー俺は彼女が好きです」
俺は先輩にそう言った。
これが俺なりの本気の答えだ。
「・・・ふっ、どうやらそれが森の答えか?
オッケー、合格かな」
どうやら俺は先輩の合格ラインを突破したらしい。
「なら、良かったです・・・」
俺はふっと息をついた。
時間にして1分も経ってないし
会話もそんなにしている訳ではない。
が・・・
(めっちゃ体力使った〜 ︎)
「じゃあ僕から君にアドバイスを
ーー何を悩んでいるんだい?
迷わずいきな」
随分あっさりとしたアドバイスだった。
「あっさりとしてますね〜」
「いやだってさ、自分の気持ちを理解してんなら
何故悩むんだ?」
先輩の正論が心に刺さる。
「ま、まぁそうなんですけど・・・」
「まさか自分がコミュ症だからなんて考えてない?」
「・・・」
「図星かい ︎」
「いや〜だって普通思いますよ・・・」
だって俺のコミュ症って致命的ですよ?
大学で普通に話せる人なんて部活を除いたら数少ない。
「はぁ・・・じゃあ聞くけどさ
森は凛子さんが致命的なコミュ症だったら
どう思うんだよ?」
「いや、大して何も思いませんが・・・」
「多分、凛子さんも森に同じこと考えるんじゃない?
違うかい?」
「そ、そうですかね・・・」
「とりあえずだ ︎森、お前は後先考えずやれ
それは君の専売特許だろ?」
「あれ?俺ってそこまで無鉄砲に見えますか?」
「とりあえず後先考えずやれ
ーー後始末はいくらでも僕がしてやるよ」
「先輩・・・」
あの国木田先輩が自分から言いだしたのだ。
ここで俺がひくのは先輩に申し訳ない。
「だからいきな?彼女との関係を深めたいならね」
「分かりました ︎後先考えずやってみます ︎」
「うん、そのいきだよ」
と先輩は優しく俺に言った。
「そして先輩」
「ん?何だ?」
「俺、先輩の後輩で良かったす ︎」
「・・・はいはい、ありがとうね
じゃ、切るよ」
「分かりました ︎ありがとうございました ︎」


改めて俺は周りの人に恵まれていると思った。
国木田先輩、織田、与謝野、平塚・・・
こんな俺を助けてくれる人がこんなにもいて
逃げるわけにはいかないだろう。
俺の心は決まった。
あとは・・・
「行動あるのみだな ︎」






ショートストーリー〜とある先輩の夜
「やっと森が決めたか・・・
まぁ随分悩んでいたけど」
僕は読んでいた本から目をあげ
「じゃあそろそろ僕も帰りますかね
ーー後輩の邪魔をさせるわけには
いかないからな」

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