部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

すまないが、七海は僕との用事がある

七海と彼女の友達である凛子さんとしばらく
話をしていると授業の担当の教員が教室に入ってきた。
そして授業が始まったので話は一度中断した。
七海が一緒に受けようと言ってきた授業は
全学部の1年生の選択必修であり、分野は心理学だった。
・・・英語なら僕は行っても5分で寝る。
幸いにも今回の範囲は英語では無かったこと
心理学の範囲が興味深かったため寝なかった。
ちなみに隣の七海はというと・・・
「すぅ・・・」
開始5分で夢の中に行ったよ・・・。
と若干呆れながらも僕は七海のために授業のノートを
とっていた。

「ふぅ〜よく寝た〜」
「・・・七海、授業終わった瞬間に言うセリフが
それなのかい?」
「べ、別にいつもは寝てませんし〜」
と目線を逸らす七海。
・・・やましく無いなら何故目線を逸らす。
「って本当はどうなの凛子さん?」
と前にいる凛子さんに聞いてみた。
「七海ならいつも寝てますよ?
私がいつも代わりにノートとってますし」
と凛子さんからのリーク。
この瞬間、疑惑がシロからクロに変わった。
「ち、ちょっと凛子⁉︎」
「ほぉ〜七海・・・
今日は帰ったら沢山話すことがありそうだね・・・」
と横の七海を睨むと
「い、いや〜センパイ〜、顔怖いよ?」
若干怯える七海。
・・・怯える七海も可愛いな〜
じゃなくて‼︎
「誰のせいだと思っているんだよ・・・」
「それは森先輩とか〜」
「君だよ⁉︎君‼︎平塚七海‼︎」
「す、すいません〜‼︎」
「先輩も七海の彼氏大変ですね・・・」
「凛子さんこそ、いつも七海の世話ありがとうね」
「いえ、私は先輩に比べたらまだまだ楽な方ですよ」
「いえいえ凛子さん程では」
「先輩程では」
と僕と凛子さんで互いに謙遜し合うという奇妙な事に
なっていた。
「センパイも凛子も仲良くなるの早いね〜」
「「あぁ?」」
「・・・すみません、次から気をつけます」
「ーー七海、ちょっといいかな?」
「あっ、常村くん」
と僕らが話していると後ろから男性が話しかけてきた。
名前は常村というらしい。
・・・待て、今普通に"七海"って呼んだよな?
こいつ何なんだ?
人の彼女を軽々しく名前で呼びやがって・・・
「この後、クラスの連中でカラオケに行くんだけど
七海も一緒にどうだい?」
「ごめんね、今日は用事があるんだ〜
また今度誘ってよ」
「え〜その用事サボって一緒に行こうぜ〜」
・・・こいつ、しつこいな。
しつこい野郎は嫌われるぞ?
「その用事はサボれないんだ・・・」
と七海の表情を見ると、やや困っている表情だった。
多分七海の事だ。この常村という男子からの誘いを
どのようにすれば機嫌を悪くさせないで断れるかを
考えているのだろう。
・・・たまには彼氏らしいことしようかな。
というかさっきから人の彼女を名前で呼ばれて
若干イライラしてるんだよね。
「いいじゃん、いいじゃん。一緒に・・・」
とその男子が七海に手を伸ばしてきたので
「ーーすまないが、七海は僕との用事がある」
先に七海の手を掴んだ。
流石にこれ以上は我慢の限界だった。
「おい、お前誰だ?俺は今、七海に話をしているんだ」
「僕かい?僕は七海の彼氏だ。
七海はこれから僕とデートの用事があるんだ」
と七海を僕の方に軽く寄せた。
「お前が七海の彼氏だって?」
と常村という男子は僕を軽く睨んだ。
僕も負けずに睨んだ。
「そうだ。それが何か問題でもあるかい?」
「いや、俺はただクラスの連中とカラオケに行くだけで
七海を誘っただけだぜ?何か問題でも?」
・・・こいつは頭大丈夫なのだろうか?
さっきから七海が断っているのに懲りずに
誘ってくるなんて普通なら考えられない。
「僕は君が誘う前から七海どの約束があった。
だよね七海?」
と七海に聞いてみる。
「う、うん。だからごめんね常村くん」
「そうか、まぁいいか。じゃあ七海またな」
と常村という男子は去っていった。

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