部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

ついに合宿ですよ!

「ねぇ七海」
「なんですか?」
「・・・今なら引き返せる。
考え直してみよう」
と僕は真面目な顔をして言った。
「今更何を言っているんですか・・・?
私達に引き返す事は出来ませんよ」
「でも今なら・・・」
「センパイ、諦めてください」
と言う七海の目には強い意志を感じた。
「だって今・・・
台風だよ⁉︎なんでこんな日に合宿
行かなきゃいけないのさ⁉︎
適当に理由つけて休もうよ‼︎」
「幹部が何を言っているんですか⁉︎
センパイ幹部ですよね⁉︎」
・・・そうなのである。
今日は部活の合宿初日なのだが・・・
運悪く台風が近づいてくるという
部活史上初の事に巻き込まれた。
夏目は合宿地付近は大丈夫という事で
決行にした。
「てか、なんで台風来てんのに
合宿決行するかな〜⁉︎
今回は夏目を恨むよ‼︎」
「センパイ、夏目先輩の事
いつも恨んでますよね・・・」
「それは否定しないよ‼︎
・・・だからサボろう‼︎」
「ほら、行きますよ‼︎」
「うわ〜ん⁉︎嫌だ嫌だ〜‼︎」
といつもとは立場が逆になりながらも
僕は渋々合宿の集合場所である
僕らが通っている大学の文系がある
キャンパスに向かった。

「うぅ・・・人混み無理」
台風の影響か、いつもの倍以上電車が
混んでいて、人混みが苦手な僕にとって
合宿に行く前に体力をごっそり持ってかれた。
「確かに今日は凄かったですね・・・」
そして何とか集合場所に着いた。
キャンパス内での集合場所に行ってみると
半分ぐらいが来ていた。
「先輩、おはようございます」
と僕の姿を見た後輩達が挨拶をしてきた。
「うん、おはよう」
七海は同期の女子達の方に行った。
その場にいた後輩の1人である司馬君が
「センパイ、彼女と仲良く通学ですか?」
と聞いてきた。
「あ、そういえば・・・」
何も考えずに七海と一緒に来た事に気づいた。
今までは時間をずらしながら別々に来ていたが
既にバレたからとすっかり忘れていた。
「見せつけてくれますね〜」
「すまん、そういうつもりでは無かったんだ」
と頭を下げると
「いえいえ‼︎責めている訳ではありませんよ〜
ただ改めてお似合いですね」
「そ、そうか?」
「はい。だって平塚の手綱引けるの
センパイだけですから」
「・・・うん、否定できない」
「まぁ普通に見ていてホッコリするので
お似合いですよ‼︎」
「あの監督が言っていた証言の1つ君か⁉︎」
と僕らが話していると七海の同期の女子たちが
七海を連れて僕の元に来た。
・・・あっ、これ嫌な予感しかしない。
だって七海の顔を見れば想像に容易い。
明らかに申し訳なさそうな顔をしているじゃん・・・
「どうしたのかな?」
「国木田先輩って平塚と付き合っているんですよね?」
「うん、そうだよ。
というみんな知っているんだよね・・・?」
「そうですけど!やっぱり確認は本人である先輩から
直接聞きたいじゃないですか?」
「そういうもんか・・・?」
「そういうもんです!
さぁさぁお二人は隣にいてくださいよ!」
と女子の後輩たちに押されて僕は七海の隣に立った。
「おっと・・・」
「うわ・・・」
「おぉ~これが部内の会計と後輩カップルですね!
写真撮ろう!」
「「撮るな!」」
「おお~ハモリますね~
息ぴったりですね!」
そして別の後輩達が
「先輩、先輩。どっちから告白したんですか?」
「初デートはどこですか?」
「お互いの好きなところは何ですか!?」
と質問攻めをしてきた。
「君らは記者か!?」
「・・・あとで文春砲撃たれますかね?」
「撃たれてたまるか!」
・・・たぶんロクな内容が書かれる気がしない。
というか後輩達ならロクな内容書かないだろう・・・
僕と七海が後輩女子からの質問攻めを受けていたところ
「お前ら騒ぐな」
と夏目が注意してきた。
・・・あらあら随分不機嫌そうな顔だね。
「悪いな、夏目。
・・・ほら後輩達は合宿に必要な備品とか
もう一度確認してきて」
「分かりました!」
とその場を解散させた。
「・・・国木田」
「ん?なんだ?」
「調子に乗んなよ。
今回はたまたま済んだが
勝ったつもりになるなよ」
「・・・僕は勝ったつもりなんてないよ。
君こそ調子に乗らないほうが身のためだと思うさ」
・・・今回あの先生を怒らしたのだから夏目の立場は
かなり危なくなっていた。次に何かやらかしたら
本当に危ないだろう。
「くそっ・・・!」
と夏目は悔しそうにその場を去っていった。
「・・・お前はこりないのか」
なんかまた今年の合宿では一波乱起きそうだ・・・
そうだと思わざるおえない僕だった。

・・・この後でこの予想は現実のなるのだった。

ーーーー波乱の夏夏合宿編開幕ーーーー




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