部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

いきなりピンチ

ーー危機というのは大体
自分が知らないところで発生して
気がつく頃には既に自分の間近に
あるものだ。

これは僕の親父が言っていたことだ。
要するにいつも危機管理をしっかりしとけ
という事だろう。
今回僕はこの言葉を身をもって
思い知らされることになるのだった。

それはとある朝、夏目から部員全員に来た
メールから始まった・・・

「マジか・・・
あいつやりやがったな・・・‼︎」
と僕は朝から夏目に怒っていた。
いや、僕自身が言うのも変だが
怒りでは無く激怒だった。
そもそも僕は何で怒っているのかと
いうと、それは夏目からきたメールである。

メールの内容は
「本日をもって3年会計国木田拓海
2年織田吉晴を無期限停部にする。
理由は部活で禁止されていた
部内恋愛をした事である。
停部という事で、それぞれの役職を停止し
部活に関わる事を全て禁止する。
尚、復帰には主将の許可が必要」
であった。
そして証拠写真として僕と七海
織田と与謝野さんがとそれぞれ
手を繋いで歩いている写真が数枚
添付されていた。

「センパイ‼︎」
と七海が駆け込んできた。
「七海か」
「・・・その顔はメール見たんですね?」
「ああ、見たよ。おかげで目が覚めたよ」
とりあえず七海を心配させるわけにはいかず
冗談を言って誤魔化そうとした。
「センパイ・・・」
と言った七海の顔がとても悲しそうだった。
「どうしたの?」
「センパイは笑っているつもりなんでしょうけど
・・・顔、全然笑顔じゃないです」
バレたか・・・
「流石七海だね、お見通しか」
「私が、というよりもセンパイが隠すの
苦手なだけですよ。
・・・センパイ、ごめんなさい」
と七海の目から涙が溢れてきた。
「ちょ、ちょっと⁉︎何で泣くのさ⁉︎」
「私が甘える場所をもう少し考えておけば
センパイが停部になる事は無かったです・・
ごめんなさい」
「いやいや、七海は悪く無いよ。
年長者の僕がもう少し考えておけば
よかっただけさ。
・・・だから七海は悪くないよ」
「で、でも‼︎」
「それよりも今回の停部のタチが
悪いところは僕と織田だけっていう
彼氏側を停部にさせたんだよね。
・・・魂胆丸見えだよ、夏目」
と夏目が考えている事を想像すると
ますますイライラしてきた。
「どういう事ですか?」
「まず停部解除の条件だけど
僕が七海と、織田が与謝野さんと
別れる事がその1だろうね。
そして七海か与謝野さん、もしくは
2人ともを僕と織田をネタに脅して
無理矢理付き合わせるかな・・・」
「いくらなんでもそんな・・・」
と七海が驚いた様子だが僕は知っている。
夏目はそういう人間だと言う事を。
伊達に3年一緒にいるわけではない。
「さて、これからどうするか・・・」
と考えていたら、七海のスマホが鳴った。
「・・・センパイ、夏目先輩から
メール来ました」
「見せて」
七海からスマホを借りて、メールを見ると

「国木田について話がある。
今日の正午部室に来い。
尚、国木田には秘密で来い」

メールを見終わった僕はため息をつき
「案の定すぎるだろ・・・あの馬鹿は‼︎」
「・・・返事はどうしますか?」
「無論、断れ‼︎
あと織田、与謝野さんを僕の家に呼んで‼︎」
「は、はい‼︎」
とつい感情的になってしまった。
・・・さて、これからどうするか。




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コメント

  • ノベルバユーザー239382

    夏目あやつ下衆の極みやね

    1
  • あいす/Aisu

    ふぁ!?こ れ は や ば い ぞ

    2
  • ペンギン

    これから、どうなっていくのかドキドキワクワクです!

    3
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