部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

随分急だな

しばらく頭を撫でていると、すっかり機嫌が
良くなった七海を連れ、森達の元に帰った。
一緒に帰る時も手を繋ぎながら僕の方にもたれ
かかってきたので、僕が驚いてしまった。
その際に彼女を見ると悪戯っ子のような笑顔を
していた。
とりあえず七海が可愛いというのを改めて分かった。
・・・まぁ帰ったら3人から質問責めにあったのは
しょうがないだろう。

その後、海で夕方まで遊び、そろそろ帰る時間になった。
「さて、そろそろ暗くなるし帰ろうか?」
「いやいや先輩、何言ってんすか?」
「ん?だって今日は帰るだろ?
・・・おい、まさか⁉︎」
嫌な予感がしたので後輩達を見ると
「何と‼︎今日は泊まりで〜す‼︎」
と七海が言うと
「「「おぉ〜〜‼︎」」」
と驚く3人。
「いや、お前ら知ってただろ・・・?」
「俺ら知らないっす〜」
と森がわざとらしい返事をしたので、僕の想像は
確証に変わった。
「・・・泊まるなら先に言ってくれよ」
「それに関してはすみません。なにせ3日前に
決まったので」
「3日前・・・随分急だな」
「実は私の親戚が経営している旅館があるんです」

与謝野さん曰く
ーー近くに親戚が経営している旅館がある。

ーー友達連れて遊びにいらっしゃい、と言われた

ーー宿泊代はこちらが出す

ーー人数は5、6人ぐらいまでいいと言われた。

ーーなので同期の森、織田を誘い

ーー親しい僕と七海を呼んだ。

事の始まりはこうらしい。

「はぁ・・・」
こんな事もあるんだなと僕が思っていると
「さぁさぁ先輩、乗って乗って。今からその旅館まで
案内します〜」
「あ、あぁ・・・」
「与謝野先輩、本当にいいんですか?
私やセンパイがついていっても・・・」
七海の質問はもっともだろう。
森や織田は同期だからわかる。
だが僕や七海はいいのだろうか?
与謝野さんとは仲はいいだろうけど・・・
「いいの、いいの。ほら同期って男子だけだから
女子も1人欲しかったし。そして平塚を呼ぶとしたら
国木田先輩を呼べばくるかな〜と思ってね」
「僕は七海ホイホイかい?」 
「その例え間違ってないっすね‼︎
ほら先輩いると必ず平塚もいますしね‼︎」
と森が言った。
・・・まぁ間違ってないけどね。
さっきから一言も発していない織田を見ると
「大丈夫だ・・・うん、大丈夫だ。頑張れ俺・・・」
めちゃくちゃ緊張していた。
「織田先輩⁉︎大丈夫ですか?」
「あ、うん。俺は大事だよ?」
織田よ、全然大丈夫に見えないよ・・・?
「吉晴ったら私の親戚に会うのに緊張しているの〜
大丈夫だって、みんないい人だよ?」
と与謝野さんが織田のフォローをするが・・・
「だって、これってある意味、桜の家族に
会いに行くようなものだぞ?
・・・緊張しないはずがないだろう」
「あ、そ、そうだね・・・」
と織田に言われて、照れ始める与謝野さん。
「あ〜あ確かに緊張するよな」
・・・だってほんの10日前に僕も体験したし。
「そうなんですか先輩?
というか平塚のご両親に会いに行ったんですね?」
「まぁ成り行きで・・・」
「ちなみにどうなりましたか?」
「普通に仲良くさせていただいているよ」
「さすが大先輩・・・‼︎尊敬します‼︎」
「大丈夫‼︎いざとなれば俺が織田の良いところ沢山
話してやるからよ‼︎」
と森が胸を張って言っているが
「「「お前、人見知りじゃん」」」
七海以外から総ツッコミをされていた。

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