部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

何故見たし・・・

僕の誕生日パーティーから暫く経ち
とある平日の夜。
いつものようにゴロゴロと
食事後の休憩を取っていたら、
「センパイ、映画を見ましょう‼︎」
と僕の愛しの彼女、七海さんがディスクを持って
そう言ってきた。
「いいよ、何の映画だい?」
「ふっふ〜〜それは見てからのお楽しみです」
「・・・嫌な予感がする」

そして映画が始まった。
「きゃ〜〜‼︎」
と隣で叫び声をあげる七海さん。
そしてかなりの強さで僕の腕を掴んでいる。
彼女が借りてきたのは話題になったパニックホラーだった。
とある密室に閉じ込められた数人の男女は主催者が
提案する死のゲームに巻き込まれていく話だ。
「セ、センパイは怖くないんですか⁉︎
ホラー苦手じゃないですか⁉︎
与謝野先輩、話が違うじゃないですか〜〜⁉︎」
「やっぱりあいつらか・・・」
まぁ寄りによってホラーを選んだ時点で怪しいと
思ってはいたけどさ・・・
「センパイ・・・」
と怯えた表情で僕を見る七海さん。
・・・やべぇ、めっちゃかわいい。
何だろう、この守ってあげたくなるような小動物は⁉︎
可愛いすぎるだろ〜〜⁉︎
なんなら今すぐ押し倒してしまいそうだよ⁉︎
その心の叫びを叫びながらも僕は
「確かに僕はホラーは苦手だよ?」
「で、でも全然怖がってないじゃいですか?
詐欺ですよ詐欺‼︎」
「待て待て、僕が苦手なのは幽霊なんかの心霊系だよ?」
「はい?」
「だから僕は今見たようなパニックやサイコ系の
ホラーは苦手じゃないんだ」
「な、な、何でですか⁉︎」
「パニックやサイコ系って実際にありそうだから
想像しやすいから、慣れちゃった。でも心霊系は
想像しにくいから苦手だな」
「そ、そんな〜〜私の今日の努力は?」
「てか、まずホラーが苦手なら借りなきゃいいのに」
「だ、だってセンパイに甘えるのに使おうと
思っていたのに〜〜」
「・・・別にそんな事しなくてもいいのに」
「え?」
と僕は七海さんを抱きしめた。
「そんな口実作らなくても僕にならいつでも甘えて
いいんだよ?だって君の彼氏だし」
そのまま彼女のさらさらしている黒髪を撫でた。
「センパイ〜〜‼︎」
「怖かったよね、よく頑張ったね〜〜」
と暫く七海さんを撫でていた。

「センパイ」
「ん?どうした?」
「一緒に寝ましょうよ〜〜」
と僕のベッドに座りながら言った。
「・・・まさかホラー見たから怖くなったから
とかいうオチじゃないよね?」
「ハハハ」
「図星だね」
・・・本当に嘘ヘタだね。
「だって怖いんですもん‼︎あの家に帰るまでの廊下も
無理です‼︎だから一緒に寝ましょう〜〜寝てください
お願いします〜〜‼︎」
とかなり頭を必死に下げていた。
「ええ〜」
・・・主に僕の理性の問題で。
「センパイの鬼‼︎鬼畜‼︎ドS‼︎
・・・でもそんなセンパイに惹かれるシビれる〜〜‼︎」
「変態か⁉︎」
・・・なんだろう、彼女と付き合うようになってから
彼女の変態的な面を見ることが多くなった気がするよ。
「センパイ〜〜助けてください〜〜‼︎」
「わかった、わかった」
と結局は僕が折れるのだった。
・・・そして七海さんにドキドキしすぎて一睡も
出来なかったというのも安定である。

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