部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

れっつ ぱーてぃ〜?

そうして祝われるはずの主役が状況を読み込めないまま
誕生日会が始まるのであった。
「てか僕の誕生日よく覚えていたね?」
毎年僕の誕生日は2年生の大会と被る事から
毎年忘れられる。
「大会が終わった後に2年生で何か忘れてないか?
という話になりまして・・」
「それでカレンダーを見たら先輩の誕生日だという
事が判明しまして・・・」
「2年生全員で準備していました」
と織田、森、与謝野さんが話し
「私や司馬も手伝いながら、今日やろうとしていた
ところです」
と七海さん。
「へぇ〜〜」
「ちょっとセンパイ?今日の主役なんですから
もう少し喜びましょうよ?」
「わ〜い嬉しいなー」
僕が棒読み気味に喜ぶと
「・・・はぁ」
七海さんはため息をつき
「最近、大会や日常で夏目先輩と喧嘩ばかりで
疲れていませんか・・・?」
「まぁ確かに疲れたね・・・」
・・・僕はそっちよりもあなたに隠し事をされた方が
精神的に辛かったですけどね。
「なので後輩一同、センパイにサプライズを
することにしました!」
「いぇ~い!」
と森
「わ~いパチパチ!」
と与謝野さん。
「あ、ありがとう?」
「センパイ・・・何故疑問形なんですか?」
「い、いや~今まで誕生日祝われたことないからね」
・・・毎年誕生日には親が帰ってはくるものも
一緒にというのはほとんどなく、新鮮だった。
「私、いつもセンパイにはとてもお世話になって
いる中で何もセンパイに返してないと思いまして・・・」
「いやいや君からはいつも僕は色んなものをもらってるよ?
・・・後輩たちの前でのろけていいのなら今いうけど?」
「セ、センパイ!?それは・・」
「「「それは是非聞きたいです!」」」
と2年生全員が身を乗り出してきた。
「そうだね~~~」
「センパイ話すんですね!?」
「まず朝イチの笑顔と声がいいよね。笑顔で挨拶してきて
その笑顔で僕も元気をもらうからね」
「ち、ちょっと!」
「そしてご飯食べるときの表情かな。食べる味によって表情がコロコロ
変わって楽しいんだ。辛い物を食べたときなんか若干涙目だし」
「センパイ!もう!」
「そしてたまに食べ過ぎて、ハムスターみたいに
なるのもこれまた可愛いんだ~
・・・どうした森達?」
2年生を見ると全員が胸を押さえていた。
「甘い・・!」
「甘すぎる・・・これは!」
「ある意味一種の化学兵器・・・」
「のろけていいと言ったのはそっちだよね?」
「ここまでの破壊力だとは思っていなかったんです!
・・・平塚を見てください!」
と七海さんを見ると顔を真っ赤にしていた。
「センパイのバカ!人たらし!天然!」
・・・酷い言われようだ。
「なんか僕悪口言ったかな?」
「自覚がないのが責められない~!」
「と、とりあえず先輩は主役なんですから中心にどうぞ!」
と一足先に復活?した織田にせかされるまま席についた。

「センパイの誕生日を祝って乾杯~」
「「「乾杯!」」」
「乾杯」
と僕はコーラを、他はビールを持って乾杯となった。
「にしても、よくこんな装飾準備できたね」
「もともと今日、森の部屋で行うはずでした」
と与謝野さん。
「そうなのか?」
「はい。今日の午前中で準備が全て終わったので、センパイに
電話をしようと思ったのですが、全然つながらなくて・・・」
「寝てました」
「ですよね・・・そしてやっと電話につながったと思ったら
平塚と喧嘩してますし」
「それに関しては反省してます・・」
「そうですよ、全く!」
・・・人の心も知らないで。
「それで、なんならセンパイの家でやってしまえという
ことになりました!」
「・・・僕の許可は無しかい?」
「・・・・」
「おい、目をそらすな」
「あ、あとで許可をもらうつもりでした~~
・・・テヘッ!」
「・・・七海さん、明日の朝ごはん抜きね(ニコッ)」
「センパイ~!そんな薄情な~!」
「そして2年生も止めような?」
「「「すみません、ノリノリでした」」」
「お前らは部費2倍な」
「「「本当にすみませんでした!」」
「まったく・・・」

素直にお礼を言えばいいのに照れくさくて言えない僕だった。




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