異世界で美少女吸血鬼になったので”魅了”で女の子を堕とし、国を滅ぼします ~洗脳と吸血に変えられていく乙女たち~
43 私は私のまま、私以外の誰かになってゆく
気づけばキシリーはベッドの上で眠っていた。
目を覚ますと、すでに窓から見える景色は茜色に染まっている。
さっきまで午前中だったはずなのに――昼寝にしては長すぎたか。
「おはようございます、キシリー」
隣にはラライラライが添い寝していた。
キシリーの小さな体は彼女の腕の中にすっぽりと収まり、そのぬくもりに全身を包まれている。
「(あれ……自分の部屋に戻ったはずなのに、なんでラライラライが。いや……違う、ここは……彼女の、部屋。私は、そっか、そうだった。リリィと別れたあと、この部屋に来て……)」
「あら、まだ寝ぼけているのかしら。あなたがどうしてもと言うから、手も出さずに添い寝していたというのに」
「……ごめん、ラライラライ」
「いいのよ、とても可愛い寝顔を見ることが出来たのですから」
寝顔はばっちり観察されていたらしい。
”可愛い”と言われたことと相まって、無性に恥ずかしくなって、キシリーは彼女の胸に顔を埋めた。
すると頭をぎゅっと抱きしめられ、暴力的とも言えるほどの豊満な肉の塊が顔を包囲する。
「むぐ……」
「ふふふ、素直なキシリーは本当に可愛らしいですわ。それに、あなただってこちらの方がずっと幸せでしょう?」
「……?」
ラライラライが何を言っているのかわからない。
キシリーが彼女の胸元から上目遣いで顔を見ると、ラライラライは目を細め、うっとりとした表情で両腕の力を緩めた。
くちゃ。
脳内で音がする。
キシリーは、彼女がキスを求めているのだと本能的に察し、顔を近づけた。
すると、薔薇の花弁のように赤い舌が口の中に挿入される。
……感覚はない、味も。
ただ、キスは求愛行動であるという事は知っていたから、精神的な面で興奮が高まり、体温は上昇している。
それにラライラライは気持ちよさそうだ。
だから、キシリーは自分が何も感じていなかったとしても、満足だった。
口が離れる。
唾液が糸を引き、2人を繋ぐ。
それはキシリーとラライラライが交合していた証。
そう思うと、ただの体液がやけにエロティックに思えた。
「これでも、何も感じていないと言うのでしょう? とても悲しいことですわ」
「別に……私は、ラライラライが気持ちよくなってくれればそれでいい」
「献身的ですのね。ああ、だからこそ嘆くのです。あなたほど自己犠牲的な人間が、なぜ幸せになれないのか、と」
ラライラライが憐れみ、頭を撫でる。
くちゅり。
すると、再びキシリーの脳内で粘着質な音が鳴り、彼女は――正気に戻った。
「っ……!? な、なに……なんで、私はここに……それに、今の……あんなことっ……」
口内に残る、ラライラライの感触。
キシリーは口を手で抑え、何度も首を横に振った。
「ママと話し合ったのです、どうするべきか、と。今のままではうまく魅了も出来ませんし、かと言って不感症を放置しておくのはあまりに可哀想ですから」
「何を……するつもりなの?」
「あなたの体を、わたくし好みに作り変えます」
ニイィ、とラライラライの口角が釣り上がる。
それは、狂気だ。断じて愛などではない。
キシリーは彼女の体を突き飛ばすと、体のバネだけでベッドから飛び降り、床に着地した。
「逃げられませんよ、今のあなたでは」
舌を噛んで死ぬのがベストだが、やはり思うように体は動かない。
まずはこの部屋からの脱出を試みる。
ラライラライは悠長に、ゆっくりとした動きでベッドを降りた。
その間に、キシリーはドアに近づく。
そしてドアノブを回そうとするが――くちゅ、という音がしたかと思うと、手から力が抜けてしまった。
「(また、あれだ。私の体は、もう支配されてるの?)」
実力差云々の問題ではない、自分の意思と関係なく勝手に体が動くのだ。
もはや死を選ぶことも出来ない。
それに今――ほら、目の前で微笑むラライラライを見ていると、脳がこう囁く。
”美しい”、”綺麗”、”素敵”、”愛してる”、”あの人の胸に飛び込みたい”、”私も一緒になりたい”。
気づけば、体は勝手に彼女に向かって歩きはじめていた。
抗う気持ちも湧いてこない。
ふらふらと、まるでアンデッドのように前進すると、ぽふっとそのまま胸に飛び込んだ。
そんなキシリーの頬にラライラライは両手で触れると、自分の顔の方を向かせた。
またキスをするつもりらしい。
求められている、そう思うとキシリーはとにかく嬉しくて、どこまでも舞い上がって、頬を染めて、自ら口を開いて舌を見せつけた。
ラライラライも同じように舌を出し、彼女の舌とぴたりとくっつける。
やがて2人の舌はゆっくりと動き始め、独立した生き物のように絡みついた。
「んご……ふっ……!?」
さらにラライラライは顔を傾け、口を開き、食らいつくように深く口を口を重ねる。
そして、キシリーの体内に”影”を注ぎ込んだ。
「ごっ……んぐっ、くっ……んふうぅっ、ぐ……っ、んくっ……んうぅ……っ」
完全に脳を操られているキシリーは、注ぎ込まれるそれを嬉々として受け入れた。
口いっぱいのそれを自ら嚥下する。
体内に侵入したそれは、胃袋まで到達すると、怪しく蠢き、じわじわと体全体へと染み込んでいった。
「んっく……ぷはぁっ……へっ……へえぇ……んへぇ……っ」
口を離しても、キシリーは舌をだらんと出したままで、瞳を潤ませながら愛しい人を見つめている。
「今の、何をしたかわかりますか?」
「頭の中、みたいなの……が、全身に……回って」
「その通りです。脳を作り変えるのは昨晩やりましたから、今日は体を作り変えて、2人一緒に気持ちよくなれるようにしようかと思いまして」
2人は言葉を交わしながらベッドに座り、そしてキシリーだけが横になった。
もはや逃げようという気は全く残っていない。
「細く、薄く、腕にすっぽりと収まってしまう体というのも魅力的ですが、やはり女性らしく肉が付いている方がわたくしは好みですから」
ラライラライはそう言うと、キシリーの素足に手を当てた。
すると足の指先からふくらはぎにかけて、内側から押し出すように何かが膨らみだす。
キシリーは、ゾクゾクとした甘く不可思議な感覚に、布団をきゅっと握りながら、声を出すのを耐えているようだ。
そうこうしている間にも、足の変形は進んでいく。
少しずつ、体に負担をかけすぎないようにふくらはぎは膨らんでいき、折れそうなほどか細かった足は、女性らしく艶めかしい、肉感のある部位へと変わってゆく。
それ以外の部分の変形はまだ終わっていないせいか、太ももと比べるとやけにアンバランスだった。
「さあ、どんな具合でしょうか」
ラライラライがふくらはぎに手を伸ばし、指先を肌に沈ませると――
「ひゃうんっ!?」
キシリーは可愛らしい声で鳴いた。
「いまのは……もしかして」
「そう、感覚をね、作り変えて繋ぎ変えて呼び起こしたのです。とても気持ちよかったでしょう?」
その問いかけに、キシリーは恥ずかしそうにうつむきながらも、無言で頷く。
「それなら、今度はもう少し上に行きましょうか」
ラライラライの指先が、足のラインをなぞるようにつぅ――と登っていき、布越しの太ももに触れた。
どくん。
すると、変形が始まる。
先程よりも脳に近いからか、ゾクゾクとした感覚はさらに大きく、はっきりとしていた。
「ぁ……ぅ」
キシリーもその感覚に耐えきれず、思わず声が漏れる。
それでも我慢する彼女の姿を、ラライラライは心底愛おしそうに見つめていた。
変形は進行する。
太ももは内側から膨らんでいき、むっちりとした、触れがいのある豊かな肉へと変貌する。
「んふふふ、とても魅力的な体になっていますよ、キシリー」
「ふあぁっ! あっ、あぅ……んぁっ……」
ラライラライの手が太ももを揉みしだくと、キシリーから甘い声が漏れた。
生まれて初めての”他者から触れられる感覚”は、今のラライラライを心の底から愛している彼女には、少々刺激が強すぎたようだ。
ぐちゅ。
意識を切り替える。
本音のリアクション見たさに、ラライラライは意地悪く、彼女を正気に戻す。
そのまま続けて、太ももを揉み続けた。
「ひぅっ、ううぅ……いや、だ……私の、体がぁっ……」
「どうしたのですかキシリー、さっきまで気持ちよさそうに喘いでいたではないですか」
「違うっ、違うぅ、今のは……あれはぁっ……!」
ぐちゃ。
再び脳のスイッチが切り替わり、キシリーの目はとろんと蕩けた。
「んぁっ、あんっ……ラライラライ、とっても気持ちいい……もっと、もっと触って欲しいっ」
「ふふふふっ」
ラライラライの指先は、今度は腹部に当てられた。
きゅっと締まり、筋肉が浮き上がっていた腹は、肉が摘めそうな少しだらしない形状へと。
枝のように細かった腕は、思わず揉みたくなってしまうような、肉の揺れる有様へと。
そして――
「あっ、あぁっ、あ、あひっ……ひううぅうっ……!」
「あら、心臓に近いから負担が大きいのかしら。でもあと少しよ、頑張って、キシリー!」
「んぁっ、ああぁぁぁぁあぁああああっ!」
慎ましやかだった胸は、幼い体にはあまりに不釣り合いな、豊満な膨らみへと。
それぞれが、ラライラライの思うがままに改造されていった。
そして、全体的に丸みを帯びた彼女の肉体を見て欲望を堪えきれなくなったラライラライは、覆いかぶさるようにキシリーの体を抱きしめた。
豊満な胸と胸が触れ合い、ひしゃげる。
太ももとふくらはぎの肉と肉が、ふにゅりと絡み合う。
先程までのか細い少女の抱き心地とは明らかに違う、理想的な、いつまでも抱いていた体がそこにはあった。
キシリーもラライラライの背中に腕を回し、変わってしまった自分の体を誇るように、相手に押し付ける。
「へっ、えへへっ、ん、んへっ、ひぅっ……あ、はぁっ……すごいっ、体って……ん、こんなに、触れ合うだけで……気持ちいい、ものだったんだぁ……っ」
「そうですよ、これを今まで知らなかっただなんて本当にもったいない。ですが実は、まだ仕上げが残っているんです」
「まだ……すごいのが、あるの? それ、してっ! 早くちょうだいっ!」
「そう慌てなくともすぐにあげますわ、ほら」
ラライラライは、キシリーの頬に手を当てた。
すると顔の内側で影が蠢き、再びラライラライの理想を実現する。
今度は見た目の変化はない。
だが、嗅覚はラライラライたちの匂いをより鋭敏に感知することが出来るようになっているし、口は普通の人間よりも遥かに敏感になっている。
そして、前回のリベンジと言わんばかりに唇を重ねると、キシリーの舌を丁寧に舐め、愛でた。
「はふぅ、ぷちゅ……んっ、くぅ……にちゃ……ちゅ、ふ、んっ……」
本日三度目のキスにして初めて、キシリーはその快楽を知ることとなった。
粘膜同士が絡み合う感覚。
それは、抱き合い、肉を触れ合わせる心地よさとは比べ物にならない。
混ざり合い、1つになっているのでは無いかと錯覚してしまうほどの一体感。
そして、より濃く感じられるラライラライの雌の匂いに、甘い――あまりに甘い、彼女の唾液。
キシリーはそれらを必死で自らの身体に取り込み、吸収させた。
「(好き、好き、好きぃっ、ラライラライ大好きぃっ! なんで私、こんなに素敵なこと、嫌がってたんだろ……!)」
鼻息を荒くしながら、少しでもこの想いが届きますように、と必死で抱きつくキシリー。
ぐちゅ。
だがその時、ラライラライの悪戯心が残酷に彼女の正気を目覚めさせた。
また、である。
「(いや、いや、いやぁっ! なんで、私……こんなのやだ、こんな気持ち悪いのに、気持ちいいの、やだぁっ……!)」
だが今度は少々様子が違った。
キシリーの腕は強くラライラライの背中に回されたまま、離れる様子はない。
肉体の興奮が最高潮に高まっている今、いくら今更理性を取り戻した所で、抗えるものではないのだ。
頭ではいけないことだと理解しているのに、体がそれを求めている。
甘い唾液は、自分の口の中に注ぎ込まれる度に、自然と舌の上で転がして、じっくり味わった上で飲み込んでしまうし。
誘われると、気づけば自らの意思でラライラライの口内を愛撫しているし。
体でも交わるように、ぴたりと密着させた肌をくねらせ、こすらせていた。
「んっ、んんんっ! ぷはっ……は、ちゅっ、んぷっ……ちゅ、ぱ、むちゅ……ぅっ、んううぅっ………!」
2人の情事は、半吸血鬼となり、底なしとなったラライラライの欲望が収まるまで続けられた。
最後の方は、ぐったりとしたキシリーが一方的に襲われているだけだったが、それでも、彼女の体に刻み込まれた記憶は消えない。
もっとも、いくら姿形を変えようとも、キシリーの体に施された魔法に対する耐性は消えては居ない。
まだ、魅了の魔法はまったく進行していないのだ。
いっそ早くに堕ちてしまえれば、楽になれたというのに。
彼女はまだ正気を失えないまま、2人に弄ばれ続ける――
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