創造主は暇だったので冒険者になった。
16.
ギギギギィィ━━
レッドシャイア城の巨大な玄関は、少し力を込めただけで、軋む音を立てながら勝手に開いた。中に踏み込むと真っ暗で、玄関より外の景色が闇に浮かび上がって見えた。
「ルナ、明かりを頼む。」
「りょーかいです。」
いつの間にか持っていたルナの杖の周りに、フワフワ浮かぶ光球が三つ。それらは大きさの割に強い光を放っていて、部屋の隅々まで見渡せる光量だった。この部屋はロビーだったのだろう。だだっ広い吹き抜けの部屋にはあまり家具や装飾の類は無く、正面に二階に通じる階段がある。床には真紅の絨毯が敷き詰められていた。
「何にも無いな。」
「そうですね、あの甲冑二体ぐらいでしょうか。」
ルナが二階のドアの前に佇む、二体の甲冑を指差す。甲冑の体はこちらに向いているのに、頭はお互いを見つめているような向きになっている。
─キィ─
突然、金属の擦れる音がした。辺りを見回す。
「…何の音だ?」
「甲冑…。」
クレアが答える。甲冑に目線を戻すと、さっきまで見つめあっていた頭が、こちらを向いていた。二体の甲冑はガシャガシャと音を立てながら、手に持った槍を構え、ゆっくりと階段を降りてき出した。
「仮想体支配の衛兵ですか。」
「ルナ、魔法だ。迎え撃つ。」
「分かりました。」
ルナが放った二発の光弾は甲冑に一発ずつ当たったが、甲冑の歩み足が一瞬止まっただけで、大した効き目は無さそうだった。
「ダメか…クレア、行くぞ。」
「承知。」
俺は駆け出し、クレアは掻き消えた。
レッドシャイア城の巨大な玄関は、少し力を込めただけで、軋む音を立てながら勝手に開いた。中に踏み込むと真っ暗で、玄関より外の景色が闇に浮かび上がって見えた。
「ルナ、明かりを頼む。」
「りょーかいです。」
いつの間にか持っていたルナの杖の周りに、フワフワ浮かぶ光球が三つ。それらは大きさの割に強い光を放っていて、部屋の隅々まで見渡せる光量だった。この部屋はロビーだったのだろう。だだっ広い吹き抜けの部屋にはあまり家具や装飾の類は無く、正面に二階に通じる階段がある。床には真紅の絨毯が敷き詰められていた。
「何にも無いな。」
「そうですね、あの甲冑二体ぐらいでしょうか。」
ルナが二階のドアの前に佇む、二体の甲冑を指差す。甲冑の体はこちらに向いているのに、頭はお互いを見つめているような向きになっている。
─キィ─
突然、金属の擦れる音がした。辺りを見回す。
「…何の音だ?」
「甲冑…。」
クレアが答える。甲冑に目線を戻すと、さっきまで見つめあっていた頭が、こちらを向いていた。二体の甲冑はガシャガシャと音を立てながら、手に持った槍を構え、ゆっくりと階段を降りてき出した。
「仮想体支配の衛兵ですか。」
「ルナ、魔法だ。迎え撃つ。」
「分かりました。」
ルナが放った二発の光弾は甲冑に一発ずつ当たったが、甲冑の歩み足が一瞬止まっただけで、大した効き目は無さそうだった。
「ダメか…クレア、行くぞ。」
「承知。」
俺は駆け出し、クレアは掻き消えた。
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