創造主は暇だったので冒険者になった。

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4.

「こちらです。ではごゆっくり。」
「どうも、世話になるよ。」
案内された部屋は、一番奥の部屋だった。部屋に入ると、勝手に部屋に明かりが灯る。光源は見当たらない。
─なるほど、これが『魔法』か─
部屋には『タンス』『机』『椅子』そして『ベッド』があるだけの質素な作り。フィアに来る前から人間の観察をしていたから初めて見たわけでも、用途が分からないわけでもなかったが、一つずつ触ってみたくなった。何より気を惹かれたのはベッドだ。人間達はこれで睡眠欲を満たしていた。触ってみるとフカフカしていて、飛び込んでみたくなる。だが今はまだ眠くは無かったので、グルグルとなる腹を落ち着かせてからに取っておいた。

一階の酒場に降りて席に着いてはみたが、何が美味しいかとかいうのは分からない。と言う事で、先程から皿やグラスを持って走り回っている青年に声を掛けてみた。
「君、いいかい?」
青年は一通りオーダーが終わったらしく、丁度一息付いているところだった。
「あ、はい!」
青年は自分が呼ばれているのに気づくと、すぐに飛んできた。
「悪いね、休んでるところを。食事をしたいんだが何が美味いか分からんのでね。君の美味いと思うものを持ってきてくれるかい?」
「え、僕のですか?構いませんけど…すぐ持ってきます。」
  しばらくして、さっきの青年が料理の乗った皿を持って来た。料理を紹介しながら次々並べていく。
「お待たせいたしました。パンとポタージュと、レタスのサラダです。」
青年は皿を並べ終えて、続けた。
「質素な食事ですが、美味しいのは確かです。」
青年の言葉に相槌を打ちながら、パンに手を伸ばす。持ってみると弾力がある。少し甘い。
「僕はそれをポタージュに浸すのが好きなんです。」
「なるほど。」
青年の勧め通りに浸してみる。パンは白いポタージュを吸い込んで、少し大きくなった気がする。垂れないように気を付けて、一口。
「これは美味い!」
パンは先程のように口の水分を奪うことは無く、逆にジューシーになっている。それにポタージュの味も付いていて、味が濃い。次に『サラダ』と呼ばれたものに手を付ける。これには銀の矛のようなものが付いていた。確か人間はフォークと呼んでいて、これで食べ物を串刺しにして口に運んでいた。見様見真似で刺してみる。『レタス』という黄緑の葉は意外と歯応えがあり、シャキシャキして美味しい。少し塩の味がした。

青年のオススメという三品はどれも美味く、あっという間に食べ終えてしまった。
「いやぁ美味かった。君のおかげで良い食事が出来たよ。」
「ありがとうございます。お代は二四ウルトになります。」
「はいこれ。また来させてもらうよ。」
「ありがとうございました。」
青年にお代を渡して、二階の部屋に戻った。

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