努力の天才が異世界に転生しちゃったようですよ
プロローグ
桜が満開の季節。学校入学の季節。出会いが始まる季節。みんなが知っている春である。
俺の部屋では鳥の鳴き声の代わりに、スマホのアラームが鳴っていた。
いつも通りアラームを止め、二度寝に入る。が、
二度寝防止のアラームがなる。
「誰だよ。2回もアラームセットした奴。」
誰が2回セットしたのか、記憶の中を探ってみると、いた。中村悠希という男だ。
つまり、昨日の俺が2回セットしたのだ。
昨日の自分の行動を忌々しく思いながら、アラームを止めるため、スマホの画面をみる。
「は!?」
俺は思わず声を出してしまう。
スマホの画面には8時15分と表示されており、学校は8時30分から開始となっている。
家から学校まで自転車で20分かかる。かっ飛ばして15分でつくかどうか非常に怪しい。
昨日の俺!何時に目覚ましセットしてやがんだ!
そんな文句を心の中にしまい、俺は急いで制服に着替えて、昨日適当に置いたリュックを背負い、家を出る。
自転車に跨り、ペタルに足を掛け、全力で踏み込む。ハンドルは両手でしっかり握りしめ、腰を浮かせ、前のめりになりながらサドルを勢いよく漕いでいく。
正直、間に合うか分からない。ていうか間に合わない気がするが。
「おりゃゃゃぁぁ!!」
遅刻になってたまるかという強い気持ちで、近所迷惑になる事も人の目も気にせず、全力で叫んで漕いでいく。
学校の校門前の坂道を駆け上り、駐輪場に自転車を置き、3階にある教室に向かって走り出す。
間に合わないと悟り、遅刻する覚悟を決めた数人を抜きさり、鼻で笑ってやると、イラッとした表情をしてきた。
ちょっとした優越感に浸りながら、1階の階段に足をかけた時だった。
「キーンコーンカーンコーン」
学校のチャイムがなり始める。
俺は大慌てで階段を駆け上がる。3階に着くとすぐに2年B組と表札に書かれている教室へ向かう。
チャイムがな鳴り終わった直後。
勢いよくガラガラ!!とドアを開け、
「セーフゥゥ!!」
と声を大にして言ってみた。
俺はみんなの視線を集めながら、先生の判断に身をゆだねる。
結果は………
「アウトな。中村、席につけ。」
という慈悲のない言葉を投げつけられ、意気消沈。
息をハァハァ切らせながら自分の机に座る。
先生が仕切り直しに「コホン」と咳払いしようと拳を口に近づけたタイミングで
「遅れてすいませんでしたー」
という間抜けな謝罪をしながら入ってきた1人の生徒がいた。
そいつは俺を見るや否や、
「フッ」
鼻で笑いやがった。
何か言い返す気力も残ってなかった俺は、そのまま机に突っ伏すのだった。
そして放課後、俺はついさっき渡された全国模試の結果を見ては項垂れ、見ては項垂れを繰り返していた。
彼が手に持つ用紙には総合3位という文字が記載されており、ほとんどの生徒がこの結果を知れば凄いと彼を褒め称えるだろう。
しかし、このクラスに彼を褒める人はいない。
彼の事を去年から知っている生徒は、またいつもの事か。という物知り顔で教室を出ていく。
また、今年から彼のことを知った生徒は、痛い人を見るような目で彼を見てから教室を出ていく。
そんな痛い人に声をかける勇者が現れた!
「そんなに気にするな。また次があるから。な?」
彼は満面の笑みを顔に貼り付け、先程先生から受け取った模試の用紙をヒラヒラと見せてくる。
そこには安藤航という彼の名前と、総合1位という文字が記載されていた。
「結果見せてくんな。あと、お前に言われるのが1番ムカつくんだよぉ!」
そう怒鳴りながら、俺は彼の用紙をシッシッ!と払っていく。
一方、勇者から魔王にジョブチェンジした安藤航はニヤニヤと笑みを浮かべたまま、指を3本立てる。
「これで3連勝。いつになったら勝つのかなー?」
俺は苦し紛れに一言。
「、、、次は勝つ。」
「それ前回も聞いたよー?ねぇ、悠希の次っていつ?いつ僕に勝つんだい?教えてくれよー。」
ニヤニヤしながらこちらを見てくる航に対し、俺は
「あー!もう帰る!」
逃げの選択肢を選び、リュックを背負って席を立つ。
「あーごめんごめん。謝るから一緒に帰ろ」
航は謝る気すら感じられない態度で、謝罪の言葉をかけてくる。
俺はそれに深いため息を吐きながら
「んじゃ。帰るか」
、、、、別に1人で帰るのが嫌だったとかそんなのはないからな!
学校からの帰り道。俺は自転車を押しながら、航とたわいもない会話をしながら歩いていた。
「今日は天気がいいなぁ」
そう呟きながら俺は青々とした空を見上げ、ふと近くで建設中の建物が目に入った。
航も俺の目線を追うようにして、建物をみる。
その建物は今まさに崩れようとしているのだ。普通、建物は崩れない。
崩れないように作られているからだ。いくら建設中でもそんなことはほとんど無いはずだ。
しかし、崩れようとしている事実は変わらなかった。
そして、不運なことに母と娘の親子と思われる2人組が建物の真下にいた。
俺は見てしまった。そう見ちゃったんだ。
だから俺は走り出す。
そしてそれは航も同じだったようで、俺は自転車とリュック、航はリュックを投げ捨てて2人の下へ走る。
そして数秒後、建物が崩れる音が鳴り響き、俺の脳天に鉄骨が落ちた。
意識が消える直前、誰かの悲鳴が聞こえた気がした。その悲鳴を最後に俺は意識を手放した。
不定期更新です。次回話を早くあげるよう頑張ります。
俺の部屋では鳥の鳴き声の代わりに、スマホのアラームが鳴っていた。
いつも通りアラームを止め、二度寝に入る。が、
二度寝防止のアラームがなる。
「誰だよ。2回もアラームセットした奴。」
誰が2回セットしたのか、記憶の中を探ってみると、いた。中村悠希という男だ。
つまり、昨日の俺が2回セットしたのだ。
昨日の自分の行動を忌々しく思いながら、アラームを止めるため、スマホの画面をみる。
「は!?」
俺は思わず声を出してしまう。
スマホの画面には8時15分と表示されており、学校は8時30分から開始となっている。
家から学校まで自転車で20分かかる。かっ飛ばして15分でつくかどうか非常に怪しい。
昨日の俺!何時に目覚ましセットしてやがんだ!
そんな文句を心の中にしまい、俺は急いで制服に着替えて、昨日適当に置いたリュックを背負い、家を出る。
自転車に跨り、ペタルに足を掛け、全力で踏み込む。ハンドルは両手でしっかり握りしめ、腰を浮かせ、前のめりになりながらサドルを勢いよく漕いでいく。
正直、間に合うか分からない。ていうか間に合わない気がするが。
「おりゃゃゃぁぁ!!」
遅刻になってたまるかという強い気持ちで、近所迷惑になる事も人の目も気にせず、全力で叫んで漕いでいく。
学校の校門前の坂道を駆け上り、駐輪場に自転車を置き、3階にある教室に向かって走り出す。
間に合わないと悟り、遅刻する覚悟を決めた数人を抜きさり、鼻で笑ってやると、イラッとした表情をしてきた。
ちょっとした優越感に浸りながら、1階の階段に足をかけた時だった。
「キーンコーンカーンコーン」
学校のチャイムがなり始める。
俺は大慌てで階段を駆け上がる。3階に着くとすぐに2年B組と表札に書かれている教室へ向かう。
チャイムがな鳴り終わった直後。
勢いよくガラガラ!!とドアを開け、
「セーフゥゥ!!」
と声を大にして言ってみた。
俺はみんなの視線を集めながら、先生の判断に身をゆだねる。
結果は………
「アウトな。中村、席につけ。」
という慈悲のない言葉を投げつけられ、意気消沈。
息をハァハァ切らせながら自分の机に座る。
先生が仕切り直しに「コホン」と咳払いしようと拳を口に近づけたタイミングで
「遅れてすいませんでしたー」
という間抜けな謝罪をしながら入ってきた1人の生徒がいた。
そいつは俺を見るや否や、
「フッ」
鼻で笑いやがった。
何か言い返す気力も残ってなかった俺は、そのまま机に突っ伏すのだった。
そして放課後、俺はついさっき渡された全国模試の結果を見ては項垂れ、見ては項垂れを繰り返していた。
彼が手に持つ用紙には総合3位という文字が記載されており、ほとんどの生徒がこの結果を知れば凄いと彼を褒め称えるだろう。
しかし、このクラスに彼を褒める人はいない。
彼の事を去年から知っている生徒は、またいつもの事か。という物知り顔で教室を出ていく。
また、今年から彼のことを知った生徒は、痛い人を見るような目で彼を見てから教室を出ていく。
そんな痛い人に声をかける勇者が現れた!
「そんなに気にするな。また次があるから。な?」
彼は満面の笑みを顔に貼り付け、先程先生から受け取った模試の用紙をヒラヒラと見せてくる。
そこには安藤航という彼の名前と、総合1位という文字が記載されていた。
「結果見せてくんな。あと、お前に言われるのが1番ムカつくんだよぉ!」
そう怒鳴りながら、俺は彼の用紙をシッシッ!と払っていく。
一方、勇者から魔王にジョブチェンジした安藤航はニヤニヤと笑みを浮かべたまま、指を3本立てる。
「これで3連勝。いつになったら勝つのかなー?」
俺は苦し紛れに一言。
「、、、次は勝つ。」
「それ前回も聞いたよー?ねぇ、悠希の次っていつ?いつ僕に勝つんだい?教えてくれよー。」
ニヤニヤしながらこちらを見てくる航に対し、俺は
「あー!もう帰る!」
逃げの選択肢を選び、リュックを背負って席を立つ。
「あーごめんごめん。謝るから一緒に帰ろ」
航は謝る気すら感じられない態度で、謝罪の言葉をかけてくる。
俺はそれに深いため息を吐きながら
「んじゃ。帰るか」
、、、、別に1人で帰るのが嫌だったとかそんなのはないからな!
学校からの帰り道。俺は自転車を押しながら、航とたわいもない会話をしながら歩いていた。
「今日は天気がいいなぁ」
そう呟きながら俺は青々とした空を見上げ、ふと近くで建設中の建物が目に入った。
航も俺の目線を追うようにして、建物をみる。
その建物は今まさに崩れようとしているのだ。普通、建物は崩れない。
崩れないように作られているからだ。いくら建設中でもそんなことはほとんど無いはずだ。
しかし、崩れようとしている事実は変わらなかった。
そして、不運なことに母と娘の親子と思われる2人組が建物の真下にいた。
俺は見てしまった。そう見ちゃったんだ。
だから俺は走り出す。
そしてそれは航も同じだったようで、俺は自転車とリュック、航はリュックを投げ捨てて2人の下へ走る。
そして数秒後、建物が崩れる音が鳴り響き、俺の脳天に鉄骨が落ちた。
意識が消える直前、誰かの悲鳴が聞こえた気がした。その悲鳴を最後に俺は意識を手放した。
不定期更新です。次回話を早くあげるよう頑張ります。
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