“5人集”は個々の最強異能力を所持しているチート集団だった。【ほのぼの暮らすけどね、】

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第26話 軍師少女とドラゴン

 呼び止めた声に違和感を感じながら振り向いた。が、その顔を見ては一瞬にしてわだかまりがとけた。

 「なあ、あんた寒咲だよな。」
 「まったく、なんで“おーちゃん”が居るんだよ。」
 「お、おーちゃん言うな!」

 そう彼女は俺が通っていた高校の同級生である。

 けどそうなると、俺がさっき使った
掛ケ違ウ意識フォースカンチェスネス】がなぜ効いていないのか、それは...

 「にしても、面倒な能力だな。いや、おーちゃんっポイからそんな事も無いか。」
 「“おーちゃん”も“ポイ”も言うな!
というか私の能力を知ってるのか?」

「いやー、性格からしてな。」
「そ、そんな事を言うな!」

 彼女の名前は落水おちみず 織歌おりか 別名“おーちゃん”。彼女は高校の時にできた友達で隣の席になった事で仲良くなった。ずっとアスラが睨んでいた事があったが今はいい。

 おーちゃんと絡んでいるうちに彼女の色んな事に気が付いた。おーちゃんは平衡感覚がとても高く、周りに惑わされることも無く、状況を見極め判断する事が出来る。

 その為か彼女は高校で生徒会に入ったのであった。一応俺も生徒会メンバーと面識はあるのだが、その中でも彼女は軍師のような人物だ。

 その為、能力が厄介なのだ。

鑑定結果
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落水 織歌
Lv.32
【物理】Lv.12
【魔法】Lv.8
【耐性】Lv.9
【幸運】Lv.3
【成長】Lv.32

能力:<揺ルギ無イ意識ストロング・ウィル> Lv.28
 自分の持っている情報や意志を他人の意見や魔法を使われ阻害ても効果が無い能力。また、持っている情報や意志などは組み替えられてどのようにすればいいか勘で分かるようになる能力もあり、その情報や意志などを他人に上手く伝える為の力も能力に比例する。

現在:軍の指揮官レベルの指揮能力
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「にしても、久しぶりだなサクヤ。まさかこの異世界に来ているとは思って居なかったぞ。」

 「なんだよ、俺はだいたい知ってたぜこの異世界に全校生徒も教員も巻き込まれていることぐらい。」

「そうか。」

 俺たちの中で話が続いていたその時隣で音を立ててしゃがみこみ忠誠の意を表すかのようにニズが胸に手を当てていた。
 
「も、申し訳ございません!サクヤ様がオチミズ様と知り合いである事を知らずにのうのうと呼び捨てにしたりなど、多大なる迷惑申し訳ございませんでした!」

 急に凄く喋り始めた。ってかおーちゃんを様付けするとなると、こちらの世界に来て何かやったのだろうか。

「おーちゃん、この世界に来てから何したの?」

「え?知らないの?」

「いやー...うん知らない。」
 いや分かるんだけどね、分かるんだけど使いたくないのだよね。

 すると彼女は急にポケットから何かの魔法石のような物を取り出して来た。

 「これ。」
 「ん?それがどうかしたのか。」
 俺らにはただただ鮮やかに光っている者にしか見えないのだが。

「聞いてい驚きなさい。魔王の幹部の一人が持っていた魔法石よ。」
「へー、まじかー、すごーい。」
「全然ビックリしてないじゃない!」

「え?」
 ちょっと待て、たった数日間で魔王の幹部をやつけたの?幹部弱すぎだな、いやコイツらが強いのか?

「なあ一応聞いてはおくが。」
「ああ何だ。」

 俺は確認としておーちゃんに聞いた。
「お前達がここから来てどれぐらい月日が経ったんだ?」

「ん?もう1年ぐらい経つのじゃないか?」

「は?」
「え?」
 マジか、俺が来たのは数日前で学校のヤツらが1年前に来たのか?

 するとグーレが俺の服の裾を引っ張った。
 「話が盛り上がって来たところで申し訳ないのだが、とても悪寒がするのだがサクヤは何か感じんか?」
 「え?」

 また、俺の服の裾をトモリが引っ張った。
 「お兄ちゃん、あれドラゴンじゃない?」

するとトモリは西王都の第一正門と北王都の第二正門の中間の方向指を指した。確かに黒と赤の点のようなものがうっすらと動いているのが見える。

「ああそうだ、ドラゴンだ」

そんな捨て台詞を吐いてから、今夜の晩は踊らなきゃいけないようだ。

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