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生きる理由

珠沙

明里の理由

セミはなき、日が照りつける、残暑の残る日であった。その日のことを仙台明里はそう記憶している。ただし、暑さを苦手とするはずの明里にとってそれはささいな問題にしかならなかった。
更埴理あやが死んだ。9年、厳密に言うと離れていた時期があったため6年か。苦楽を共にした友人が死んだ。自らの手で死を選びとったのだ。
この事実を明里は意外なほどあっさり受け入れた。彼女たちの仲を知るものは不気味だと、薄情ものだと言い、知らぬものは所詮他人の死などそんなものだと言った。
明里は唯一無二の友人が似合わぬ花に囲まれて眠っているのを見て、ひとり拳を握りしめた。
自らの手で、必ず彼女の未練を果たすと。

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