fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

喜権

「随分とハイカラな服着てるじゃねぇかよ」
異界を統べる恐怖の大王の喜権が坂田金時の金髪オラオラファッションを見て褒めた。
「そう言うお前こそ俗に成ったな鬼の王!」
ため息をついて鬼の王は、現実を解説した。
人間形態、豹柄ネクタイに赤色スーツ上下。
悪霊めいた何かは異様に真実を吐き出した。
「おう、崇拝されてこそ鬼神様なのだがな」
「純粋な鬼種はもういないのに、一番の純粋な鬼種だった貴様はなぜ、そうなったのだ」
「とてつもない霊力を持った立ったばかりの赤ん坊が見せた度量に惚れたんだ、この俺様を見て言ったのが『遊ぼ』だ、あんな小せぇのに、世界を既に退屈だと認識していた、天才は天から才能を鬼才は鬼から才能をそれだから奴にあらゆる叡智をくれてやった、奴の退屈を満たすため、奴の渇きの感覚を共有した、奴が退屈を感じれば感じるほど不満足が多くなるほど不自由と嘆くほどに渇きは強くなる、だから可愛い子には旅をさせろと言うんだよ、可愛い子には鬼が憑きやすいから」
「旅させたらどうせ殺戮の日々を歩むのだろ?そんなのお前が導く破滅でしかない!」
「ニャルラトホテプと一緒にされてはたまらん、自らの業を潰れぬ奴は破滅願望を持ったとしてもそんなの来ないんだよ、てめぇのように俺の客を騙し討ちで殺す事で業に潰れた奴と俺様の主様を同一視しては困るんだよ」
「誤魔化すな!俺は!俺は………………彼女を」
「取り繕うな、鬼は人間にぶっ殺されればいい業を持っている、鬼ってのは咎の塊だし影歴史の悪役だ、おめぇ達退魔や西洋の下らねぇ神の代行者そういうのが影歴史に入る、たまたま民草の目についたら英雄譚にされるだけだ、だが、もう勧善懲悪が成立するほど現代社会は甘くない、さぁ圧殺してやんぜ?」

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