fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

邪王とベオウルフ


「最近の世俗は野蛮性と残虐性を人間性ではないと思っている、それを駆除するためにとことんまで協調性と同調圧力を強いている、だから弱音や愚痴を言うものは迷惑がられる、自分から精神病院に行く奴はそれだけで、皆弱いやつなんだ、だから病名なんてつけられて当然、薬を飲まされて当然、心が弱いっていうのはそれだけで罪に近い、しかし、あの蝙蝠ドラキュラは心が強いが、他者からは怖いと思われた、だから連れてかれた、本人の意思は関係なしに彼本人は正常だ、だから押さえ込んだ意思は魔物のようになった、そりゃあ俺様の遺伝子を継いでいるんだ、俺様と同じ血液型なんだ、あの内なる血気盛んは俺様そのものだ、精神障害の主な原因は脳内化学物質の分泌異常だと言うが俺様なら分かる、あれは人間の悩みではない、獣の本能、闘争本能の話だ、暴れたい、闘いたい、そういう気持ちが独り歩きする、武道でも習わせておれば救われておった、グレてればよかった、お前には分かるか、我が弟子ベオウルフ」
「分かります、凶暴性をただ駆逐し男らしさを無くしたら、女が男を求めなくなるほどに軟弱になるのに、それを平和だと感じる悪」
「過保護に甘やかされてうれしいのは、鳶が鳶を生んだ場合だ、鷲を生んだのなら、鳶から鷲への甘やかしはプライドを傷つけ、屈辱感を植え付け、恥だと感じる、分かるか?」
「現代社会の病理って言うんでしょ、ヒトラーが言ってましたね、大人になっても大人に成りきれないのは異常に甘やかされたからだと、子供の方が大人より大人びいてる事もある、政治家はほとんど世襲で、甘やかされて育ったから大衆の気持ちは分からず、大衆も甘やかされ政治なんて分からなくなる、悪循環ですよ、昔なら男気を見せるだけで解決した、草食系男子ってのも弊害ですよねぇ…」
「はぁ、精神論を言う気はないのだが、心が病むというのも恥知らずな行為だ、トラウマに抗う事こそ人間讃歌、勇気なき現代社会など、関わる価値もない、いっそ勇気を育むための土台として現世を修羅道に落としたい」
「甘粕正彦みたいな事を言いますねぇ、俺としては、貴方の弟子になればいい、李書文に負けたのは俺の喧嘩の腕の未熟を呪う、だがマルタはいけねぇな、いつだってキリスト教にとって北欧神話を含めた全ての異教はかませ犬だ、価値観が違うのに自らの救済を押し付ける傲慢さは信じてる神がおかしいからそうなるんだよ、だから俺が今欲しいのは、神殺しの力だ、ヤハウェが死んだというのはどうにも胡散臭い話だ、大天使辺りが身代わりになって死んだんだろう、だったら俺達は、北欧神話の真骨頂をヤハウェに叩きつけるために強くなる、伯爵ドラキュラのように神をも恐れぬ力を持ちたい、あいつらの神様に不幸を味あわせてやりたい、俺達が満たされるのは間違った秩序に終止符をうった時だけだ、それが俺の王としての仕事でもある、偽りの神を殺す!そのための修行だ」

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