fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

ネオ・ソロモン


「善は劣化する、悪は贅沢になる、綺麗は汚くなる、汚いは綺麗になる、白は純黒になり、黒は純白になる、善悪の彼岸の理だ」

『焼却の銃』は、二人いる。
未来の英霊であるアサシン。
そのマスターの陰陽師とね。
陰陽師が、怪訝そうに問う。
「貴方の道徳観は狂ってる」
「倫理観もだな、人間の成長は戦争により飛躍する、科学も医術も国家も急成長する、完全なる平和は来ない、だが秩序は生まれる、それは混沌を意図的に操る事によって世界の負荷をコントロールするからだ、そして人間の進化とは倫理到達点に達成する事だよ?」
「……兄よ、それはなんという考えをしている、残虐性を発揮すれば人の種として向上して、新たなる悪意の形が生まれるなんて……」
「だがそれが事実だ」
マシュ・キリエライトは否定したくても否定できない、幾つもの特異点がそれを証明する、歴史を重ねる事に人は罪深くなるのだ。
「ですが、人間の善意も変わります」
苦々しくもそう問いたのは先輩のおかげか。
「そうだな、筋違いの偽善が蔓延り、自尊心を満たす偽善が跋扈し、本来救われるべき社会的弱者に罵倒を送り悪と断じてきたよな」
「なんでそこまで人間に希望を見いだせないのですか?」
「小生にはかつて救世主の資格が持っていた、藤丸立香のように世界精神の意思に選ばれ救済をした、だが飽き飽きした、なんでこんなにも醜い者達をこの小生が救わないといけないのか、うんざりした、ある日突然冷めたのだよ、小生は全ての救世主の最も忌むべきイフであり、アンチテーゼ、こう名乗るのが一番相応しいのだろう、アンチキリスト」
陰陽師が青褪めた。
「アンチキリスト」
「その通り、では救世主に対抗できる策を練ろう、日ユ同祖論は知っているかな、知らない?まぁここでは魔術王ソロモンと天文学的な確率で、この小生は末裔という事実のみを簡潔に提示する、ソロモンは人理焼却式の黒幕だ、人類悪だ、とことんゲスな男だ、人々の悲しむ姿を見たいだけで、彼は罪を犯す」
「それは違う!」
知らないはずなのにそれを否定せずにはいられない、記憶はないけどマシュは否定する。
「そこら辺はどっちでもいいし、どうでもいい、では次にジェイルオルタナティブを知っているかな、全てのモノには代わりがいるという事。誰かが何かしなくても別の誰かがその代わりとなるものをやるという事だが」
「偶然、そのソロモンの代わりになったと?」
「偶然なんてない、全ては必然」
「兄はパチプロかギャンブラーになればいい、そこまで運が良いならさっさと成れ」
「未来予知は出来ないが、場の風を読む力、流れを読む力は持っている、啓示はYHVHがもう死んだから出来ないがその前に第三宝具によって神から十の指輪と真の叡知を得ている、それらでさえ小生の求める真実ではない、真実のために闘うのも馬鹿馬鹿しい、なぜなら何かの間違えで悪役なのに主人公補正がついてしまった、バグだね、どんな相手にも絶対に勝つと決まっている因果確立、運が良すぎてたまらん、まぁ血族の基本能力だがな、賭場の仕切りを平家物語の頃からして、自身もまた博打狂、博徒の祖、しからば刮目せよ、兄弟喧嘩だけが我々を満たすのだ!」
「不味い、来るぞ!」
アサシンが叫んだ。
彼の宝具、自己のDNAの情報を漁り、血統に入ってる人物なら、能力や知識を出せて、それが英雄や英霊なら、能力や知識、さらには、その存在の宝具まで使用できる、血術。
血を操るどころか、血を支配する能力だ。
「ブラッド・インストール・ソロモン、誕生の時きたれり其は全てを修めるものアルスアルマデルサロモニス

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