fate/badRagnarökーー魔王の名はアーリマンーー

家上浮太

魔昼・兄弟喧禍

カルナVSアルジェナ
『焼却の銃』VS『蒼白する剣』

その火蓋は、冬木中央公園にて。

駅前中心街から少し外れた場所にある、さっぱりした広めの公園。聖杯戦争のための霊脈加工によって後天的に霊地と化した土地。
第四次聖杯戦争の聖杯召喚地。冬木市民会館が建設途中であったが、戦闘の余波で焼け落ち、周囲一帯も火の海となった。その後、復興計画で自然公園として生まれ変わった。
火災の犠牲者の怨念が染み付いており、ある種固有結界じみた特異空間となっている。

そこを忌まわしき結界へと改造したのが『蒼白する剣』である、彼は怨霊を鬼へと変えていく、そして百鬼夜行の巡礼へと変貌した。
「兄貴は本当に何がしたいんだ?」
「蹴落とす奴を蹴落とし、踏み潰したい奴を踏み潰し、居心地の良い観客席を作るだけ」
「神を気取りたいのか?」
「失礼な、俯瞰したい気持ちは誰にでもある、小生の本音はただ見下したいだけ、だ」
「もう最低最悪だな」
「最凶だ、法に裁かれない悪を裁けるだろう、しかし人間の法則で裁けない邪悪もいる、それがこの小生、と言えばいいのかな」

「アルジェナ、どうしてそこまで堕ちた!」
「闇は等しく誰もが持っている、この現世は騙し騙されで卑怯でも姑息でも!勝者こそがいくらでも正義なのだ、ただの運が良い、それだけでも勝利したものは、愚かではない」
「英雄の誇りはどうした!」
「決まっている、まだ持っている、そして、英雄とはな、守るべき者のためにどんな事でもするんだ、精神が磨耗したり心が折れるなぞ三流よ! そう!勧善懲悪はこの世界にはもはやない、お前の流儀こそ邪悪なのだ!!」
「……それでも信じるべきモノがあるだろ!」
「お前はとある王族から奴隷に没落した女を見て、漸く、という気持ちで罵っただろ?」
「今は関係ないだろ」
「人間なら醜悪な一面がある、例えお前でもそういうのがある事に共感して感動した、俺が、この闇を受け入れたのはお前の汚点を知ったおかげだ、だから苦しむな、断罪してやるぞ、俺こそが黒かろうと正義なのだよ!」

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