異世界の復讐者

4話

「やっとこれたよ...」
秋斗は静かな夏の終わりの残暑の残る夕暮れに柊家と書かれた墓石の前に立ち一人呟く。

「父さんごめん..最後まで信じてやれなくて」
「母さん..母さんはいったい何者なんだ?なんだよ..魔法?異世界?ウォーカー家?俺の頭はグチャグチャだよ?」
「悠里...痛かったよな?....悠里一緒にいてやれずごめんよ...」
秋斗は家族の墓標に一人一人に思いを伝える。

「多分三人とも生きてたら俺の今からする事どう思うかな?..やっぱ止めるかな..でもね..辞めないよ。俺は奴を必ず殺す。」

秋斗は自ら誓った思いを冷たい石の下で眠る家族に自ら意思をより強く決意するように再度誓う。

「プルループルルー」
「どうした?」

秋斗のスマホに電話が鳴る。秋斗はスマホをタッチし通話ごしの無機質な感情の無い声に耳を傾けた。

「マイマスター標的を捕捉しました。」
「よし!よくやった!」
電話の内容に思わず大きい声を出してしまう。
電話の相手は自ら作成した執事ロボット秋丸君8号改だった。内容は秋斗の命令で町中の監視カメラや衛星をハッキングしてマルクと手下達を探ささせていたことで進展がありその報告だった。

「今から買い物したらすぐ家に帰る、それまでに監視の対象の調査と接触した人物の洗いだし、追跡を行え。」
「了解しました。マイマスター。お気をつけてお帰り下さい。」
秋斗は監視の対象人物調査、かかわりのある人物の調査を命令した。秋斗の中で一番は敵のマルクであったが事件にかかわりのある敵は容赦するつもりはなかった。





*******************
「キンーコンーカーンコーンキンーコンーカーンコーン」

「帰ろっか..」
「うん..」
事件から約1ヶ月この場所にも心に傷をおう二人の少女がいた。

「秋斗大丈夫かな....」
「...辛いよね」
里香の小さな言葉に紫藤が何とも言えない言葉で返す。

「秋斗このまま学校辞めちゃ..っ!?」
「嫌っ!あっ..」
一ヶ月学校にこない秋斗の今後に里香が自傷気味に語ると被せぎみに紫藤が否定の言葉を言う。その言葉に里香が思わず紫藤を弄る

「ほほー由衣は秋斗と離れたくないと?」
「違っ..違っがくは無いけど....もう!里香ちゃんこそ柊君が学校いつくるのか毎日先生に確認しているの知ってるんだからね!」
「あひぃ!?」
里香の落ち込んだ二人の空気を変える為の弄りに思ったとおりに顔を真っ赤に反応する紫藤だったが紫藤のその後の言葉に里香が思わず反応する。
「なななんで..なんでその事を..」
「いつも授業始まるまでは寝てばかりの里香ちゃんが毎朝早くきて職員室に行くんだかきずかない方がね...」
「くぅぅ..」
秋斗の事が心配な里香は毎朝職員室に行き秋斗の事を担任に尋ねていた。そんな事がばれていると知られていた里香はこちらも顔を真っ赤に染めて小さく唸る。

お互い秋斗への気持ちを伝えあった事はないが薄々..いや完全にお互い相手の気持ちを知っているが深くは話したことなかった。

「また明日ね」
「うん。バイバイ」
太陽が沈む夕暮れに帰宅ルートで別れる二人、一人になり先ほどの会話を思いだし再度顔を真っ赤ににするが明日は秋斗が学校に来るのか考えまた落ち込む少女達であった。



****************

「例の件ですが完全に捜査終了って事で終わりました。署内にはもう少し調べた方が良いと言う言葉もありましたが私の方でなんとかさせて頂きました。」

「そうですか。それはご苦労様です。」

薄暗い部屋に脂ぎったお腹に額には緊張からか汗をかいた男が自らの手柄でなんとかなったとマルクに報告をしていた。

「で、ですので、約束の報酬を..へへ」

男の報酬の請求にマルクは部下に目で合図をする。

「お待たせいたしまた。こちらが報酬の2000万です。」
「おー!」
部下が持ってきたアタッシュケースにはいった札束を数える男

「そんな数えなくとも約束通り報酬はしっかりお支払しますよ。こちらも家族三人が殺されたと騒ぎ立てられたら後々の計画に問題があっても困りますからね。今後もよろしくお願いしますね春日警部捕」

「いやーこんなんでよければ何時でもお声かけ下さい。ですがこれでも尽力しているですよ?息子の方が「父はやってない!捜査をしてくれ!」って何度も何度も署まできましてね?ですので今後の報酬の方をもっ..ひっ!?」

「まて!」

春日が今後の報酬の値上げについての会話をしようとした時、マルクが今まで氷のような冷たい表情が一変しありえない言葉を耳にした事で咄嗟にさえぎる。

「今なんと言った?」
「いっ..いえ報酬の方はこれまでと同じ..いえこれまでより安くても...ひっ!」
「違う!その前だ!息子がどうこうと」
マルクの先ほどとは、全く違う鬼のような顔に汗が止まらない春日に息子と言う単語の説明を求めるマルク。

「はいぃ!息子ですが柊秋斗と言う高校生のガキが署に何度もやってきまして...」

「息子だと?おい!あの娘に子供は一人では無かったのかっ?」

春日からの説明に部下に殺意の混じった言葉で確認するマルク

「お、おい!今すぐ諜報担当を連れてこい」
「はいぃ!只今」
マルクの言葉に諜報担当をいますぐ呼ばないと代わりに自分が殺されると焦る部下はすぐさま命令した。

「わ、わたくしが諜報担当のひぃぃ!」
「子供は一人のはずでは?」

急ぎマルク達のいる部屋へやってきた諜報担当の部下はマルクの顔をみて悲鳴をあげる。
そんな部下に冷たい声で尋ねるマルク

「も、申し訳ありません。確認を
しっかりとブヒャぁ!」

マルクは謝罪する部下に帯刀するロングソードを躊躇なく降り下ろした。

「春日警部捕?」
「はいぃ!すいません。」
目の前で人が一瞬で殺された場面をみた春日は涙ながら謝る。
「別に謝る必要はありません。息子について知ってる事を教えて欲しいだけです。」
「はい!。柊秋斗16才、斉口市斉口高校に通う高校一年生。当日は友達と祭に行っていて不在でした。」
マルクの拒否不能のお願いに対して秋斗の情報を教える春日。

「斉口高校とは?」
「エ、エルディアで言う魔法学校みたいな物で高校一年生とは学年の単位みたいなものです。」
マルクの質問に絶対にミスの許されない部下が答える。

「明日その斉口高校とやらに行きます。ウォーカーの血は絶やさなければなりません。」
「ははっ!」
マルクの言葉に部下は頷き、聞いていた春日はエルディア?魔法学校?聞き慣れない単語に動揺しつつも今は無事帰る事だけを考えていた。




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