正反対の僕と彼女~2人の関係の行方~

梅谷シウア

#2 2.水着選び~彼女の頼みのようで~

海に行くという話が出て5日、吹奏楽部の定期演奏会がようやく終わり週末には海に行くことになっている。
 朝起きて早々、結華の放った一言で水着を買いに行くことになった。
「水着を買いに行くのはいいけど、僕に選ばせるのはやめてね」
「えーっ、面白くない。まあ、選ばせるんだけどね」
 晴人と結華は着替えてから、最寄り駅まで歩く。そしていつもと同じ方面に向かう電車に乗る。
「こっちだっけ? 逆じゃない? いつもの大型商業施設でしょ」
「待ち合わせがあるんだよね」
 晴人と結華は定期を使い学校の最寄り駅で降りる。
「ここ? 待ち合わせって? 学校の知り合い?」
「そうだよ。はるくんも知ってる子と待ち合わせ」
 そっかと言って、晴人は飲み物を買いに行く。戻ってくる頃には結華の近くに新たに2人女子の人影が見えた。
「遅いよ、はるくん。もうみんな揃ったよ」
「おはよー、晴人」
「あなたも付いてくるのね」
「おはよう、泉さん、習志野さん。僕はまあ荷物持ちみたいなもんだよ」
 4人は晴人の家の方に向かう電車に乗り、晴人の家の最寄り駅からさらに3個先の駅に向かう。そこには某大型商業施設があり、多くのものがそろう。虚しさで押しつぶされるので、1人で行ってはならないとのうわさもある。
「ここね。平日なのにすごい人の量」
「いつ来てもすごいねー。どこから回る?」
 泉はいつものように乗り気なようで、看板を見ながら話を進める。
「水着を買いに来たのよね? さっさと水着売り場に行けばいいじゃない」
「水着も置いてる店も色々あるからね」
「僕は自分の選んできていいよね?」
 晴人は面倒事になる気がしてその場から逃げ出そうとする。しかしそのその願いもかなわず、結華によって連行される。
「僕はなにすればいいの? このフロアって女性モノのしかないし、男は彼女に連れられて来てるし、僕すっごく怪しい目で見られてるんだけど」
 いいから、いいからと女性用水着を売っている店に連れ込まれた。もちろん店内には女性客しかおらず、1人きょろきょろとしていた晴人は店員に目を付けられていた。
「ねえ、僕も水着ないし買ってきていいよね」
 晴人はそう言い残してそのフロアを後にする。そして1つ下のフロア、紳士服フロアの片隅にある水着売り場に行く。
「さて、この辺のシンプルなのでいいかな」
 晴人は黒のシンプルな水着を買うと、書店へと向かう。書店に着いてから何度か結華から電話もかかって来たが、晴人は気にすることなく小説や参考書を探し続けた。結華からの電話もなくなり10分ほど経った頃、晴人は突然謎の衝撃に襲われる。
「なに? なにごと?」
 晴人は恐る恐る後ろを振り向くと、そこには不満げな顔をした結華と泉、無理やり連れてこられたと思われる習志野がいた。
「なんで、電話に出ないの? はるくん冷たい」
「そうだよ、せっかくみんなで来たんだから一緒に選ぼうよ」
「いや、僕がいても不審なだけだし、無理やり連れてこられたわけだし」
 晴人は買った水着の入った袋を見せる。
「私たちのは決まってないから、戻って決めるよ。はるくん」
 晴人は仕方なく手元に置いておいた参考書と文庫本を手早く購入し、3人に連れられ元の店に戻る。
 そこからは、まず結華がいくつもの水着を持ってきてはファッションショーのように試着を繰り返しては感想を求めてくる。結華の納得のいく水着で、なおかつ晴人の感想に納得いくまで、時間にして40分ほど店員に睨まれながら過ごした。さらに習志野、泉と続き水着を買い終わる頃には時計の長針は2時を指していた。
 ようやく買い物が終わった4人は、施設内にあるカフェで話しながら、少し遅めの昼ご飯を食べていた。
「ところで、はるくん」
「どうしたの、ゆいねえ?」
「なんか私の時と凛ちゃんの時反応かなり違ったよね?」
「そんなことないよ」
「あんまり変わったとは思えなかったけど」
「いや、はっきり変わってたじゃん。なんで私の時は棒読みで似合ってるなのに、凛ちゃんの時は一瞬見とれてから、照れて似合ってるなの?」
 結華は的確に、晴人の反応の違いを指摘して文句を言う。そんなことないと晴人は言いながらも、そうなってたなと思い出し照れる。
「そんなことないよね」
 結華は晴人に問うが、晴人の照れた顔を見てしまい少し顔を赤らめた。

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