黒套の復讐者

幻日刀飛

結果

凄まじい怒号でラインは体勢を崩し何とか着地する。
お姉さんはクルッと向き直りラインを確認した後、先程通った扉の方を見て言う
「なんで止めたんですか?私がやられるとでも?」
すると体格のいい壮年の男性がこちらに歩いてきながら
「まさか、続けていたら間違いなくそこの少年が倒れていただろう。」
「ではなんでですか?」お姉さんは少しムッとしていた。
「少年ケガは大丈夫か?」
「へっ?...だっ大丈夫です。」
「背中のだぞ。」と言われギクッとする。
「えっと...大丈夫みたいです。」
「どういうことですか?」お姉さんは何が何だかわからずラインと男性を交互に見る。
「少年、威勢がいいのはいいが自分の体の状態は把握しとくべきだ。1発は軽く入っていただろうがそのあとの反撃で確実に傷が開いていたぜ。」
「えっ!?ラインさんケガをしていたの!?」
「クリスもまだまだだな。」と男性は無造作にラインの後ろから服をめくり確認した。
お姉さんが傷跡をみて驚いていた。
「えっと...すいません。」
「そんな、ラインさん謝らないで下さい。全然気づかなかった私が悪いんです。」
「いえ、こっちが登録してクエストを受け                            ないとダメなので...」
「なんでぇ訳ありか」
「いえ...ただお金がなくて稼がないとダメなんです。」と恥ずかしくなり顔が熱くなる。
「まぁ、いいや合格だ。クリスDランクで登録してやりな。」
「いきなりDからですか!?」
「まぁ元Cランクのランサーを手玉にとったんだ充分だろう。」
クリスは少し不服そうだ。
「距離をとっている時から少年の術中だったんだよ。あの滑らかの動きであんないきなり乱れるわけねぇよ。少年がわざと隙を作ったんだよ。」
「そして急激にトップスピードで回り込まれ見失ったんだ。次の瞬間には少年は飛び蹴りの体勢でストップをかけた。」
「ストップをかけなかったらクリスも力を解放しただろう。そうなったら少年は倒れてただろうな。」
「そうですか。すいません感が鈍っているようです。」
「そこまでじゃねーよ。少年のスピードは1級品だ。俯瞰(ふかん)で見てたから俺はとらえやすかったが、目の前ならオレも仰天してただろうな」
「だが少年は対武器の動きがぎこちなかったな。」
「あっ、組手はよく祖父としてたんですが無手でしかしたことがなくて...」
「なるほどなるほど」男性は何故か少し嬉しそうに返す。
そして3人で扉の方へ歩き受け付けに戻る。

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