黒套の復讐者

幻日刀飛

反省

目が覚めるとまず痛みで顔が歪む。
天井を見上げると布のようなだ、そして揺れているのをみると馬車の中にいるようだ。
痛む体にムチを打ち御者席の方へ行き幕の切れ目から顔を出す。
そこにはベルクートと背の高い人がいた。
「おっ、起きたか」
背の高い人が振り返る、ベルクートも振り返り喜びの表情を見せる。
「よかった!ひどいケガだったから...とにかくよかった。」
「おじさんは?ケガとか」
「兄ちゃんのおかげで傷一つなかったよ。ほんとにありがとうなぁ。」
それはよかったとほっとする。
「それにしても兄ちゃん強かったなぁ。」
「...全然だよ。」
「最後の魔獣には全く歯が立たなかった。」
ベルクートが少し焦りながら言う
「ワーウルフを何体も相手した後だったし、満身創痍だったじゃないか」
「でもあの最後の時いつもより動けたんだ」
「それでもビクともしなかった...」
すると背の高い人が
「動けたとしても真正面から突っ込むのは悪手だ。」
「一撃必殺があるならまだしも、相手は2倍近い体躯のライカンスロープだ」
「...」
もっともだラインはあの時頭に血がのぼり真正面から突っ込んだ。
体も動きワーウルフを失心させれる体術があるからと無策で突っ込み、蹴り、捕まれ、叩きつけられ、動けなくなった。
「しょうがないよ兄ちゃん、俺なんかワーウルフ1匹でおだぶつだったぜ。」
「それにあの断頭のヒューゴが助けにきたんだ。もう大丈夫だ」
「今は両断のヒューゴだ!」
背の高い人  ヒューゴが不機嫌そうに言う。
「そうだったね。すまんね。」
確かにあの魔獣ライカンスロープをきれいに両断されてたのをラインは思い出した。
「ライカンスロープって?」
ラインは聞いてみた
「ワーウルフの上位種で群れのリーダーだ」
「ワーウルフより大きいくせに早くてやっかいなやつだ。」
それを軽々倒すなんてすごい人なんだなっとヒューゴをじっと見る。
それに気づきヒューゴは言う
「まぁ、お前のおかげだ。ライカンスロープはお前にタゲとってたから俺は楽々後ろからやれたって訳だ。」
「たげ?」
「あぁ、ターゲットのことな」
なるほど。でもあの魔獣を1発で倒せるなんて、それだけでやっぱりすごい。

初めての戦闘で学ぶことはたくさんあった、今のままでは到底村のみんなのカタキをとることはできないと顔が暗くなる。
「とりあえずまだ安静にしてな兄ちゃん」
「...うん」

また馬車に揺られながら横になることにした。

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