黒套の復讐者

幻日刀飛

戦闘

ラインはベルクートに声を出さないようにジェスチャーをし、手で大きな木の方に誘導してしゃがむように指示した。
周囲を囲まれているので戦闘を避けることは不可能だ。努めて冷静に戦闘態勢に移った。
相手の力量もわからないで戦うのは避けたかったが、仕方がない。

ラインの武器は自身の体だ、祖父に小さい頃からしごかれて村の中でも祖父以外には負けたことはない。
ただそれが魔獣に通用するかはわからない。
そしてさっき話に聞いて連携が得意らしいので
ここは先手必勝

ベルクートはとにかく怯えていた、おそらくワーウルフに囲まれているのだろう。
普通に考えて助かるわけがない、少年にはワーウルフから助けられたが先程とは状況が違う。
単体のワーウルフを突き飛ばした隙に逃げたのと、囲まれたのでは違いすぎる。終わったと思った。
その瞬間少年が消えた。

ベルクートには消えたように見えたが、ラインは単にワーウルフの囲みの真ん中に突っ込んだ。
いきなりトップスピードで駆け出して体躯のいいワーウルフの直前でしゃがみ込み足払いをする。
中央にいたワーウルフもいきなり目の前に人間が現れたと思ったら消えたように思った。
そして視界がいきなり空に変わって下顎をつかまれて地面に頭を叩きつけられて「がふっ」っと息を漏らし意識を失った。
ラインの速攻はワーウルフにも通じた。
だが油断せず流れるように腰の短剣でトドメをさす。
このへんは狩りで慣れたものである。
視認できるワーウルフが右に2体左に1体
素早く短剣をしまいながら、また一気に加速し1体の方にステップし、そっちに行くと見せかけて急に方向転換2体いる方の後方に回り込む。
ワーウルフも虚をつかれたのとあまりのスピードにラインを見失う。
ワーウルフが振り向いた頃には顔付近まで飛び上がっていたラインの回し蹴りでまた1体倒し、短剣で息の根も止める。

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