異世界に転生したので楽しく過ごすようです
第169話 俺の力のようです
「えっ?なにこれ。見にくい」
「俺もそう思う」
俺のステータス画面を女神に見せてすぐの会話だ。
スキルを取りすぎた事でステータス画面が格段に見にくくなっている。だが、裏を返せばそれだけのスキルがあるということだ。その全てが俺の力となっている。
「うわぁ……。これは引くわ……」
「俺もそう思う。だが、これだけやってもまだ遠く及ばない」
「でも戦い用はあるでしょう?」
「まぁな。ブーストのスキル。それと宝具召喚。これが未知数だからな。果たして俺にも使えるのか……」
「使えると思うよ?使えなかったらスキル取れないし」
「……なるほど」
確かに俺には獣化が取れなかった。そういう理屈だったのか。
「それとね。称号にあるスキルマスターって言うやつ。これ凄いやつだよ」
「そうなのか?」
「うん。スキルマスターはね、スキルを百個以上獲得した者に与えられる称号で、ステータスが大幅にアップするチートだよ」
「……チート称号ここに来てまだあるのか……」
正直、チートチート言ってるが、ユニークスキルの方がチートだ。どうやってもあれだけは取れなかった。やっぱり、個人でしか扱えない物なのだろう。
「ちょっと、ステージ移動して、色々確認してみたいんだがいいか?」
「私に聞かなくても、あなたの好きにすればいいよ。私はあなたについて行くだけだから」
「分かった。じゃあ行くか」
そうして俺はステージ移動を使った。
すると俺達の足元に、転移トラップにかかった時と同じ魔法陣が出てきて、俺達は光に包まれる。
俺達が来たのはサトシさんがいた、最後のステージ。そこなら魔物も何もおらず、ただサトシさんがいるだけ。少し迷惑かもしれないが、お邪魔させてもらおう。
「どうも。サトシさん」
『お、君か!こんなに早くに来るとは思ってなかったよ!』
「一週間ぶりですかね?」
『何言ってるんだい?二日くらいだよ?』
「あー。時間の流れが違うんだった」
『時間?』
俺はここと外で違う時間の流れ方をしている事を伝えた。
『なるほど。そんな事に……。逆精神と時の部屋みたいだね』
「まぁそんな感じです」
『それで君はここに何しにしたんだい?』
「ちょっと、俺のスキルを周りの人見られたくなかったので、ここで試そうかと」
『なるほどね。好きに使ってくれて構わないよ!何より見てて楽しそうだし』
「ありがとうございます。では……」
俺はサトシさんから離れて、広い空間の中心に立つ。まずはブーストの能力がどれくらいなのか調べてみることにする。
「まずは分身を二体出してと」
「なんで分身を出す必要があるの?」
「ブーストには段階があったろ?それを比較検証する為だ」
「おぉ、頭いい!」
「お前の頭が弱いだけだ」
馬鹿な女神は放っておいて、俺は作業に戻る。
分身を遠隔操作で操り、一体は何もかけず、もう一体はブースト1に、俺がブースト1とブースト2をかける。
まずは速度制限を解除した状態での比較だ。分身同士を走らせることにする。
スタートラインを作り、分身を並ばせる。後は合図でゴールまで走らせるだけ。
「じゃ、よーいドン!」
分身は寸分狂わず、同時にスタートし、速度制限を解除した方がほぼ二倍の速度で走る。
ブーストをするとここまで早くなるのか……。やはり戦う時はブーストは必要かもしれん。
俺の背後では女神がすごーいとか、はやーいとか言っている。馬鹿に見えるからやめて欲しい。
次は、筋力制限解除した状態での比較をする。
これは何もかけてない分身に重量操作をして、持ち上げた時の重さの比較をする。
とりあえず、走らせた分身をここまで戻ってこさせ、持ち上げる予定の分身に変形でダンベルになってもらう事にした。
「よし、じゃ分身の方から」
「了解」
ダンベルに一回触れた時に、重さをほぼゼロにする。そして分身がダンベルを持ち上げ、一定の速度で重くしていく。
結果、持ち上げる事が出来たのは三十秒まで。それ以上の重さは持ち上げる事は出来なかった。
俺も筋力制限解除した状態で同じ事をすると、結果はほぼ一分。ブーストした時としてない時では、大体二倍の筋力差があった。
全体を通して、ブーストは身体能力――速度と筋力だけ――がほぼ二倍になることが分かった。もし獣化が出来ていたらどれ程の力を持つのか分からない。
「まぁ上々ってところか」
「へぇー!凄いね」
「でもな、ブースト使っても勇者達にあと一歩追いつけないんだよな」
「何か原因があるの?」
「そりゃあやっぱり、超越したかによるだろうな。レベルの上限がなくなるんだからそれだけステータスが上がるだろ」
「確かに」
「超越ってどうやってするんだよ……。いや、今はいいや。とりあえず、宝具召喚を試す」
俺は宝具召喚を発動させた。
すると地面が光り始め、そこから一枚の盾が現れた。
「まずは鑑定するか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〔アイギス〕
絶対の防御を誇る防具。所有者次第で盾や胸当て、その他の防具になる。???? ???専用
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「アイギスか……。確かアテナの盾だったよな?」
「うん。そうだね。神界では、胸当てとか盾とかその他諸々もアイギスって言ったりするけど」
「だから、防具なら何にでもなるって書いてあるのか。で、なんで俺の名前が『???』になってるんだ?」
「え?そうなの?バグかな?」
「この世界にバグなんてあんのかよ……」
まぁいっか。気にしたところで変わらんだろうし。
さて、アイギスだが、盾の状態だと少し扱い辛い。俺が使うのは刀だからな。やはり胸当ての方がいいだろう。
俺はアイギスを手に持って、胸当てになるように念じる。すると盾がどんどん形状を変えていき、最終的には胸当てに変わった。
本当に所有者次第でどうにかなるのか。これは便利だ。
「問題は強度なんだか……。女神、ちょっとだけ殴ってくれ」
「えぇ。私には無理だよ。自分の分身にやらせればいいじゃん」
「はぁ……。まぁそうするか……」
やはりと言ってはなんだが、女神は誰かに攻撃をする事が無理なようだ。自分で何とかするしかないな。
「じゃあ俺の分身よ。ブースト2まで使って胸当てを殴ってみてくれ」
「「了解」」
分身はブースト2まで解放すると、胸当ての前に立った。そして、片方の分身が胸当てを手に取り、もう片方の分身と顔を合わせると、何やら頷いて距離を取った。
一体何をするつもりなのかと、観察をしていると、胸当ねを持っていた分身が、それを上に高く投げた。
そして落下してくる胸当てを、もう片方の分身目掛けて殴った。
物凄い速度で飛んで来る胸当てをしっかり見据えて、ちゃんと殴って打ち返すもう片方の分身。
それからはラリーが続く。
分身達は楽しんでいるようで、どんどんエスカレートしていく。
最終的には、片方の分身がミスをして、胸当てが壁にめり込む形になった。
その様子を見ていた俺と女神とサトシさんは開いた口が塞がらない。
「と、とりあえずアイギスがどうなってるか見てみるか」
「そ、そうだね!」
「本当は、君って馬鹿なんじゃないのかい……?」
サトシさんの呟きは聞こえていたが、あえてスルー。俺も同じ事を思ってしまったからな。
そうして、壁にめり込んだアイギスを手に取って様子を確認する。するとどうだろうか。あれだけ殴られていたのに、へこみが全くない。それどころか傷すらついていない。
「これはすげぇな」
「何てったって宝具だし。宝具には宝具しか効かないよ。なんかほかの武器でも使うのかなって思ったのに素手とか……。馬鹿なの?」
「い、いや素手で殴ったの俺じゃないし」
「でも、あなたの分身でしょ?」
「まぁそうなんだが……」
あれは俺の意思ではない。遠隔操作をしていた俺の並列思考の内の一つだ。文句は俺には言わないで欲しい。
「とりあえず、分かったことはアイギスの耐久性よ検証は出来ないって事か。他に宝具もないし、どれほどで傷付くのか分からないからな」
「そだね。じゃあ戻る?」
「そうだな。する事はやったし戻るか」
「もう戻るのかい?」
「はい。今度来る時は遊びに来ます。その時はよろしくお願いしますね」
「そうか。楽しみにしてるよ」
「では、また」
そうして俺達は聖都へと戻った。
「俺もそう思う」
俺のステータス画面を女神に見せてすぐの会話だ。
スキルを取りすぎた事でステータス画面が格段に見にくくなっている。だが、裏を返せばそれだけのスキルがあるということだ。その全てが俺の力となっている。
「うわぁ……。これは引くわ……」
「俺もそう思う。だが、これだけやってもまだ遠く及ばない」
「でも戦い用はあるでしょう?」
「まぁな。ブーストのスキル。それと宝具召喚。これが未知数だからな。果たして俺にも使えるのか……」
「使えると思うよ?使えなかったらスキル取れないし」
「……なるほど」
確かに俺には獣化が取れなかった。そういう理屈だったのか。
「それとね。称号にあるスキルマスターって言うやつ。これ凄いやつだよ」
「そうなのか?」
「うん。スキルマスターはね、スキルを百個以上獲得した者に与えられる称号で、ステータスが大幅にアップするチートだよ」
「……チート称号ここに来てまだあるのか……」
正直、チートチート言ってるが、ユニークスキルの方がチートだ。どうやってもあれだけは取れなかった。やっぱり、個人でしか扱えない物なのだろう。
「ちょっと、ステージ移動して、色々確認してみたいんだがいいか?」
「私に聞かなくても、あなたの好きにすればいいよ。私はあなたについて行くだけだから」
「分かった。じゃあ行くか」
そうして俺はステージ移動を使った。
すると俺達の足元に、転移トラップにかかった時と同じ魔法陣が出てきて、俺達は光に包まれる。
俺達が来たのはサトシさんがいた、最後のステージ。そこなら魔物も何もおらず、ただサトシさんがいるだけ。少し迷惑かもしれないが、お邪魔させてもらおう。
「どうも。サトシさん」
『お、君か!こんなに早くに来るとは思ってなかったよ!』
「一週間ぶりですかね?」
『何言ってるんだい?二日くらいだよ?』
「あー。時間の流れが違うんだった」
『時間?』
俺はここと外で違う時間の流れ方をしている事を伝えた。
『なるほど。そんな事に……。逆精神と時の部屋みたいだね』
「まぁそんな感じです」
『それで君はここに何しにしたんだい?』
「ちょっと、俺のスキルを周りの人見られたくなかったので、ここで試そうかと」
『なるほどね。好きに使ってくれて構わないよ!何より見てて楽しそうだし』
「ありがとうございます。では……」
俺はサトシさんから離れて、広い空間の中心に立つ。まずはブーストの能力がどれくらいなのか調べてみることにする。
「まずは分身を二体出してと」
「なんで分身を出す必要があるの?」
「ブーストには段階があったろ?それを比較検証する為だ」
「おぉ、頭いい!」
「お前の頭が弱いだけだ」
馬鹿な女神は放っておいて、俺は作業に戻る。
分身を遠隔操作で操り、一体は何もかけず、もう一体はブースト1に、俺がブースト1とブースト2をかける。
まずは速度制限を解除した状態での比較だ。分身同士を走らせることにする。
スタートラインを作り、分身を並ばせる。後は合図でゴールまで走らせるだけ。
「じゃ、よーいドン!」
分身は寸分狂わず、同時にスタートし、速度制限を解除した方がほぼ二倍の速度で走る。
ブーストをするとここまで早くなるのか……。やはり戦う時はブーストは必要かもしれん。
俺の背後では女神がすごーいとか、はやーいとか言っている。馬鹿に見えるからやめて欲しい。
次は、筋力制限解除した状態での比較をする。
これは何もかけてない分身に重量操作をして、持ち上げた時の重さの比較をする。
とりあえず、走らせた分身をここまで戻ってこさせ、持ち上げる予定の分身に変形でダンベルになってもらう事にした。
「よし、じゃ分身の方から」
「了解」
ダンベルに一回触れた時に、重さをほぼゼロにする。そして分身がダンベルを持ち上げ、一定の速度で重くしていく。
結果、持ち上げる事が出来たのは三十秒まで。それ以上の重さは持ち上げる事は出来なかった。
俺も筋力制限解除した状態で同じ事をすると、結果はほぼ一分。ブーストした時としてない時では、大体二倍の筋力差があった。
全体を通して、ブーストは身体能力――速度と筋力だけ――がほぼ二倍になることが分かった。もし獣化が出来ていたらどれ程の力を持つのか分からない。
「まぁ上々ってところか」
「へぇー!凄いね」
「でもな、ブースト使っても勇者達にあと一歩追いつけないんだよな」
「何か原因があるの?」
「そりゃあやっぱり、超越したかによるだろうな。レベルの上限がなくなるんだからそれだけステータスが上がるだろ」
「確かに」
「超越ってどうやってするんだよ……。いや、今はいいや。とりあえず、宝具召喚を試す」
俺は宝具召喚を発動させた。
すると地面が光り始め、そこから一枚の盾が現れた。
「まずは鑑定するか」
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〔アイギス〕
絶対の防御を誇る防具。所有者次第で盾や胸当て、その他の防具になる。???? ???専用
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「アイギスか……。確かアテナの盾だったよな?」
「うん。そうだね。神界では、胸当てとか盾とかその他諸々もアイギスって言ったりするけど」
「だから、防具なら何にでもなるって書いてあるのか。で、なんで俺の名前が『???』になってるんだ?」
「え?そうなの?バグかな?」
「この世界にバグなんてあんのかよ……」
まぁいっか。気にしたところで変わらんだろうし。
さて、アイギスだが、盾の状態だと少し扱い辛い。俺が使うのは刀だからな。やはり胸当ての方がいいだろう。
俺はアイギスを手に持って、胸当てになるように念じる。すると盾がどんどん形状を変えていき、最終的には胸当てに変わった。
本当に所有者次第でどうにかなるのか。これは便利だ。
「問題は強度なんだか……。女神、ちょっとだけ殴ってくれ」
「えぇ。私には無理だよ。自分の分身にやらせればいいじゃん」
「はぁ……。まぁそうするか……」
やはりと言ってはなんだが、女神は誰かに攻撃をする事が無理なようだ。自分で何とかするしかないな。
「じゃあ俺の分身よ。ブースト2まで使って胸当てを殴ってみてくれ」
「「了解」」
分身はブースト2まで解放すると、胸当ての前に立った。そして、片方の分身が胸当てを手に取り、もう片方の分身と顔を合わせると、何やら頷いて距離を取った。
一体何をするつもりなのかと、観察をしていると、胸当ねを持っていた分身が、それを上に高く投げた。
そして落下してくる胸当てを、もう片方の分身目掛けて殴った。
物凄い速度で飛んで来る胸当てをしっかり見据えて、ちゃんと殴って打ち返すもう片方の分身。
それからはラリーが続く。
分身達は楽しんでいるようで、どんどんエスカレートしていく。
最終的には、片方の分身がミスをして、胸当てが壁にめり込む形になった。
その様子を見ていた俺と女神とサトシさんは開いた口が塞がらない。
「と、とりあえずアイギスがどうなってるか見てみるか」
「そ、そうだね!」
「本当は、君って馬鹿なんじゃないのかい……?」
サトシさんの呟きは聞こえていたが、あえてスルー。俺も同じ事を思ってしまったからな。
そうして、壁にめり込んだアイギスを手に取って様子を確認する。するとどうだろうか。あれだけ殴られていたのに、へこみが全くない。それどころか傷すらついていない。
「これはすげぇな」
「何てったって宝具だし。宝具には宝具しか効かないよ。なんかほかの武器でも使うのかなって思ったのに素手とか……。馬鹿なの?」
「い、いや素手で殴ったの俺じゃないし」
「でも、あなたの分身でしょ?」
「まぁそうなんだが……」
あれは俺の意思ではない。遠隔操作をしていた俺の並列思考の内の一つだ。文句は俺には言わないで欲しい。
「とりあえず、分かったことはアイギスの耐久性よ検証は出来ないって事か。他に宝具もないし、どれほどで傷付くのか分からないからな」
「そだね。じゃあ戻る?」
「そうだな。する事はやったし戻るか」
「もう戻るのかい?」
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「そうか。楽しみにしてるよ」
「では、また」
そうして俺達は聖都へと戻った。
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