異世界に転生したので楽しく過ごすようです
第86話 今後について話すようです
「……早速なんだが皆を頼りたい。いいか?」
俺は少し遠慮気味にそう尋ねた。流石にさっきまでの流れから、無遠慮に話を進めることはしない。
皆は小さくではあったけれど確かに頷いてくれた。
「ありがとう。……それで話に移るんだが、その前に俺の以心伝心で伝わったのはどこからだ?全部ならいいんだが途中までしか伝わってないのなら初めから説明するが」
「ほぼ最初からだと思うわ。私が以心伝心を受け取ったのは、レンがあなたに報告をした直後だったもの」
「他の皆も一緒か?」
俺が聞くと皆が頷いた。
皆もジュリが受け取った時と同じ時に受け取っていたという事か。なら、話は早い。
「皆に伝わっているようだから詳しくは省くが、あれはあくまで俺の推測に過ぎない。もしかしたら間違いだということもある。俺はほぼ間違いないと踏んでいるが……」
「私達も同じ考えです。あの時私が見たナユタ様は様子がおかしかった、というのも根拠の一つです」
そうか。やはりレンも感じていたか。
「私達はそれを見てないから分からないけれど、あなた達二人が言うのなら間違いないわね」
「操られているのは確定。今の問題は操られてるのが勇者だってこと」
「ミルの言う通りだ。勇者の純粋な強さは今の俺達を遥かに超えている。そんな奴を止める手立てが俺達にはない。操り状態を解くことが出来ればあるいはとも思うのだが……」
「マスター、今勇者ってどこにいるのー?」
「それなんだよなあ」
そこからまず分からない。どこにいるのか突き止めなければ、勇者を止めるだのなんだの言っても意味が無い。
「まだ帝都にはいると思うんだが、何せ誘拐だ。どこかに連れて行っているのは分かるのだが、俺の感知範囲から転移で消えるんだ。相当遠くに連れていってるのだろう。そこに行こうにも後を付けることができないんだ」
「ち、ちなみになんですけど、あるじさまの感知範囲って……」
「あぁ、大体帝都全域位だ。そんなに広くはない」
「じゅ、十分広いですよ……」
よく良く考えれば帝都全域をカバーしている俺の感知外に出るということは帝都から居なくなってるという事じゃん。そこから考えれば……。
「少なくとも帝都には留まらずにどこかに飛んでるんだろうな。それにタクマ達が操られているのを加味すると、行き先は教皇がいる所か?……ってことは聖都、もしくは聖国の何処かってところか」
「んー?どういう事なのー?」
ゼロには少し難しかったようだ。わかるように説明してあげよう。
「タクマ達は操られてるって言ったろ?だとしたら誘拐して得をするのは操っている奴だ。それでタクマ達を操っているのは教皇だって分かってるから、教皇がいる場所の可能性が高い。となると、聖都が一番可能性が高いが、誘拐した人を収容する場所があるかもしれないから、それが聖国のどこかにあるはずなんだ」
「んー、なんとなくわかったー!」
なんとなくでも分かってくれたようで何よりだ。
「じゃあこれからどうする?勇者を助けに行く?」
女神が俺に問う。
「いや、今は無理だ。今の俺達では到底敵わない相手だし、何より情報が少ない。もう少し帝都に留まって情報収集した方がいいだろうな」
情報収集出来ても、強くなければ意味が無いのだが、それはどうにかするしかない。
「そういえば、狙われているのは武道会の予選落ちした選手だったわよね?」
「正確には分かりませんが、予選落ちした選手が行方不明者として出ているので可能性は高いかと」
「だったら予選落ちした人達を一箇所に集めれれば自ずと勇者が出てくるんじゃないかしら?」
「その発想はなかった……」
操られている状態で、周りの状況を判断できるなら不審がられるかもしれない。だが、俺の予想では、操られている時に状況判断なんて出来ない。
理由としてはあんなに怪しい格好で人を担いでいたら明らかに目立つから。誘拐するならもう少し目立たないようにするものだ。
これならやってみる価値はあるかもしれん。
だが、一つ程問題があるんだよなあ。
「やるとしても、どうやって一箇所に集めるかが問題だな」
「なにかイベントをやる」
「イベントか……。内容にもよるだろうが今からイベントをするとなると骨が折れるぞ」
ミルの言うように、なにか興味の引けるもので釣るっていうのはいいかもしれん。だが、何をすればいいのかわからん……。
「主様。現在進行形で、興味を引くのにもってこいのイベントが行われていますよ。それを利用してみてはいかがですか?」
「そうか!武道会か!エルシャさんに事情を説明すれば何とかなるかも……ってちょっと待て」
完全に忘れていた。これは状況によっちゃやばい事だぞ……。
「ん?どしたの?」
呆けた顔で女神が聞いてくる。
「昼休憩に入って、一体どれくらいの時間がたった?」
「一時間と五十五分。それがどうしたの?」
「おいおいマジかよ!話し合いは中止だ!次の試合、俺だったわ!遅刻しちまう!」
うぉー!まさか朝に引き続き、昼までこんなことになるとはー!
皆、あっ、みたいな顔してるし。完全に忘れてた。
「ちょっと俺今から急いで会場に向かう!皆は、特にジュリは、急いで会場までこい!」
「わ、分かったわ!」
俺はそう言って会場まで急いで走った。基本屋根の上を走る。その方が人とぶつかる可能性もないし、遠くを見渡せる。
そして、俺は会場まで一気に転移した。
俺は少し遠慮気味にそう尋ねた。流石にさっきまでの流れから、無遠慮に話を進めることはしない。
皆は小さくではあったけれど確かに頷いてくれた。
「ありがとう。……それで話に移るんだが、その前に俺の以心伝心で伝わったのはどこからだ?全部ならいいんだが途中までしか伝わってないのなら初めから説明するが」
「ほぼ最初からだと思うわ。私が以心伝心を受け取ったのは、レンがあなたに報告をした直後だったもの」
「他の皆も一緒か?」
俺が聞くと皆が頷いた。
皆もジュリが受け取った時と同じ時に受け取っていたという事か。なら、話は早い。
「皆に伝わっているようだから詳しくは省くが、あれはあくまで俺の推測に過ぎない。もしかしたら間違いだということもある。俺はほぼ間違いないと踏んでいるが……」
「私達も同じ考えです。あの時私が見たナユタ様は様子がおかしかった、というのも根拠の一つです」
そうか。やはりレンも感じていたか。
「私達はそれを見てないから分からないけれど、あなた達二人が言うのなら間違いないわね」
「操られているのは確定。今の問題は操られてるのが勇者だってこと」
「ミルの言う通りだ。勇者の純粋な強さは今の俺達を遥かに超えている。そんな奴を止める手立てが俺達にはない。操り状態を解くことが出来ればあるいはとも思うのだが……」
「マスター、今勇者ってどこにいるのー?」
「それなんだよなあ」
そこからまず分からない。どこにいるのか突き止めなければ、勇者を止めるだのなんだの言っても意味が無い。
「まだ帝都にはいると思うんだが、何せ誘拐だ。どこかに連れて行っているのは分かるのだが、俺の感知範囲から転移で消えるんだ。相当遠くに連れていってるのだろう。そこに行こうにも後を付けることができないんだ」
「ち、ちなみになんですけど、あるじさまの感知範囲って……」
「あぁ、大体帝都全域位だ。そんなに広くはない」
「じゅ、十分広いですよ……」
よく良く考えれば帝都全域をカバーしている俺の感知外に出るということは帝都から居なくなってるという事じゃん。そこから考えれば……。
「少なくとも帝都には留まらずにどこかに飛んでるんだろうな。それにタクマ達が操られているのを加味すると、行き先は教皇がいる所か?……ってことは聖都、もしくは聖国の何処かってところか」
「んー?どういう事なのー?」
ゼロには少し難しかったようだ。わかるように説明してあげよう。
「タクマ達は操られてるって言ったろ?だとしたら誘拐して得をするのは操っている奴だ。それでタクマ達を操っているのは教皇だって分かってるから、教皇がいる場所の可能性が高い。となると、聖都が一番可能性が高いが、誘拐した人を収容する場所があるかもしれないから、それが聖国のどこかにあるはずなんだ」
「んー、なんとなくわかったー!」
なんとなくでも分かってくれたようで何よりだ。
「じゃあこれからどうする?勇者を助けに行く?」
女神が俺に問う。
「いや、今は無理だ。今の俺達では到底敵わない相手だし、何より情報が少ない。もう少し帝都に留まって情報収集した方がいいだろうな」
情報収集出来ても、強くなければ意味が無いのだが、それはどうにかするしかない。
「そういえば、狙われているのは武道会の予選落ちした選手だったわよね?」
「正確には分かりませんが、予選落ちした選手が行方不明者として出ているので可能性は高いかと」
「だったら予選落ちした人達を一箇所に集めれれば自ずと勇者が出てくるんじゃないかしら?」
「その発想はなかった……」
操られている状態で、周りの状況を判断できるなら不審がられるかもしれない。だが、俺の予想では、操られている時に状況判断なんて出来ない。
理由としてはあんなに怪しい格好で人を担いでいたら明らかに目立つから。誘拐するならもう少し目立たないようにするものだ。
これならやってみる価値はあるかもしれん。
だが、一つ程問題があるんだよなあ。
「やるとしても、どうやって一箇所に集めるかが問題だな」
「なにかイベントをやる」
「イベントか……。内容にもよるだろうが今からイベントをするとなると骨が折れるぞ」
ミルの言うように、なにか興味の引けるもので釣るっていうのはいいかもしれん。だが、何をすればいいのかわからん……。
「主様。現在進行形で、興味を引くのにもってこいのイベントが行われていますよ。それを利用してみてはいかがですか?」
「そうか!武道会か!エルシャさんに事情を説明すれば何とかなるかも……ってちょっと待て」
完全に忘れていた。これは状況によっちゃやばい事だぞ……。
「ん?どしたの?」
呆けた顔で女神が聞いてくる。
「昼休憩に入って、一体どれくらいの時間がたった?」
「一時間と五十五分。それがどうしたの?」
「おいおいマジかよ!話し合いは中止だ!次の試合、俺だったわ!遅刻しちまう!」
うぉー!まさか朝に引き続き、昼までこんなことになるとはー!
皆、あっ、みたいな顔してるし。完全に忘れてた。
「ちょっと俺今から急いで会場に向かう!皆は、特にジュリは、急いで会場までこい!」
「わ、分かったわ!」
俺はそう言って会場まで急いで走った。基本屋根の上を走る。その方が人とぶつかる可能性もないし、遠くを見渡せる。
そして、俺は会場まで一気に転移した。
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