転生王子は何をする?

血迷ったトモ

第134話 とある休日のドタバタ 9(マルティナ編)

「そしてその後は、冒険者トリスとして活動してました。」

「魔王軍の殲滅の実績を持っている冒険者のトリスさんって、SSランクだったような…。」

SSランク冒険者という、世界に数える程しかいない存在が、目の前のトリスだと分かり、呆然と呟く。

「はい。あ、それと、カレンベルク商会の商品開発部を一任させてもらってます。」

今まででの話が受け入れられたならと、トリスは何気ない口調で商会との繋がりを口にする。

「…え!?あの謎の便利すぎる数々のアイディアの源泉は、トリス君なの!?」

するとマルティナは、今までで1番の驚きをみせる。

「お、驚きすぎじゃないですか?」

「えぇ!?だってあの天才発明者ですよ!?最近の噂では、15歳くらいの少年となっていましたが、そんな年で数々の歴史的な発明が出来るだなんて、凄いと思いませんか!?」

「その『天才発明者』とやらは目の前に居るんですがね。というかその噂、いやに的確すぎません?」

トリスは少しこそばゆそうな顔をするが、それよりも噂の方が気になったらしい。

「え?あ、確かに。…そんな事より、トリス君ってほんとに凄い人だったんだね!」

「い、いや、そんな事は。だって前世で当たり前だった事を、魔法で無理くり実現してるだけですので。」

トリスは、話題をすり替えられた事には何故か触れず、自身への過大評価を下げる事にしたようだ。
だがマルティナには、一蹴されてしまう。

「トリス君の凄い所は、誰でも、特殊な技能とか無くても、お手軽な価格で作る事を実現させている事だよ!しかも1人で儲けようとしないで、技術の公開とかも、積極的に行ってるよね?」

どれも事実なだけあって、返す言葉に悩むトリス。

「それは、現代っ子の俺だと、中世的な不便な生活はめんどくさいから、さっさと広めて生活レベルの改善を図りたかっただけだから、人のためって訳じゃないし…。」

トリスは言い淀む。『あ、これ絶対に負ける…』というデジャブを感じたからだ。

「…この話は終わり!」

するとマルティナは、不貞腐れた表情で呟く。

「むぅ。もっと言いたい事あったのに…。」

その言葉に、冷や汗が止まらないトリス。

「じゃ、じゃあお待ちかね、ステータスをお見せしますか。…腰、抜かさないで下さいね?」

若干苦し紛れの話題転換だが、それでも尚怪しい笑みを浮かべて言うトリス。

「ゴクリ…。」

先程までの言い合いを忘れ、思わず唾を飲むマルティナ。
そんなマルティナを尻目に、トリスは全てのステータスを元に戻し、そして市民証を懐から取り出して、表面を見せる。


名前:トリスタン・ラ・トゥール
種族:亜神
年齢:15歳
Lv: Error
HP:Error
MP:Error
STR: Error
VIT: Error
DEX:Error
AGI:Error
INT:Error
LUK:Error
スキル: 武神 魔神 鍛冶神 芸術神 
魔眼を統べる者 全耐性 限界突破 超成長 
超回復
称号: 神を笑わせた者 限界無き者 生物最強 創造神の加護 転生者 
トゥール王国第三王子 自然災害 
中級天然ジゴロ 魔族キラー 
SSランク冒険者 超越者 亜神 天才発明者
盗賊キラー 信仰されし者 魔物の天敵
女性の味方 億万長者 サブカルチャー好き
脅威の執念(趣味限定) 鈍感クソ野郎
マルティナ・アルムガルトの虜(new!)


「…あれ!?何かヤバいの追加されてる!?てか人じゃなくなっとる!?」

「と、虜…。」

何時の間にか人認定されなくなっている事に驚くトリスと、最後の称号から目が離せないでいるマルティナ。後者は顔が真っ赤になっている。

「つーか、newって何だよ!?今まででそんな機能無かったやろ!?いらんお世話や!!」

何やら機能を何時の間にか変えてきた創造神に、トリスは全力のツッコミを入れる。
すると、『ピコン』と市民証の称号部分に文字が浮かんでくる。

「え?『トリス君、初カノおめでとう。見てて、大爆しょ…とても感動したよ!君は中々頑固だから、恋愛感情をそうだとは認めないから、少しやきもきしながら見てたよ。これで晴れて君も、ピー(自主規制)して無事卒業が出来るね!良かった良かった。』…亜神なら、創造神にも攻撃は通るよな?ならあれしてこれして、ふむ…。行くか…。」

表示されたメッセージを読み上げるが、そのあまりの内容に、トリスの堪忍袋の緒は完全に切れたようで、薄く笑いながら物騒な事を呟いている。

「え、どこ行くの!?まさかこれ創造神様からのメッセージ!?と、取り敢えず落ち着いて!」

椅子から立ち上がったトリスの手を掴み、何処にも行かせまいとするマルティナ。

「え?どこって?そりゃ勿論奴の所だよ?幾ら神でも、やっていい事と悪い事の分別はつけないとね?」

トリスは感情の無い目をしている。
そんなトリスに、マルティナは顔を真っ赤にしながら言う。

「わ、私は!トリス君が、その、私が初めてって分かって、う、嬉しいよ?」

「…グハッ!?」

マルティナの表情と言葉が、完全にクリティカルヒットしたトリスは、鼻血を吹きながらソファに崩れ落ちる。
暗くなる意識の中、トリスは思った。

-あぁ…。こりゃあ、男は、惚れた女には一生勝てんわ…。-

こうしてトリスは、何やら柔らかいものに沈み込む感覚を覚えつつ、完全に気を失うのだった。

コメント

  • 血迷ったトモ

    次話は、ホルスとリアのデート回です。お楽しみに!

    2
  • 垂直抗力(元ラノベ大好きサムライ)

    ニヤニヤが止まらない

    5
  • 血迷ったトモ

    恥ずい…。穴があったら入りたい…。
    Byトリス

    2
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