転生王子は何をする?
第89話 入学式です
トリス達が馬車から降りると、そこは学園の門の前であり、既に人で溢れかえっていた。
「お〜、多いな。でも受験の時ほどじゃ無いな。」
「そうだね。落ちちゃった人とか、その両親とかは来ないんだしね。」
「おう。…何か視線がこっちに集中してないか?ホルスなら兎も角、俺まで何で見られてるんだ?」
トリスは頷きながらも、馬車から降りた瞬間から気になっていた視線について、ホルスに聞いてみる。
「ぼ、僕は兎も角って。でもまぁ、確かに視線は感じるね。僕の場合はよくパーティに出るから顔は知られてるからだと思うけど、トリスは何でだろうね?イケメンだから?」
「お前の口からその言葉を聞くと、無性に腹が立つんだが?…しかしホルスの言うことも一理あるな。この体、顔だけはイケメンだし、どうせ『ホルスト様と一緒にいらっしゃる方はどなたなんだ?見覚えないな。』とか、『若しかして何処かの貴族の秘蔵っ子かも!?』とか、『見た事無いけど、多分有力な貴族の御曹司だろうから、今の内に唾つけとこう!イケメンだし!』とか噂してるんじゃね?」
トリスの核心をついた呟きに、ホルスは苦笑いする。
「この体って、トリス。まるでトリスがその体を乗っ取ってるみたいな言い方じゃない?それにトリスは性格も十分にイケメンだよ?だから自信持ってよ!」
「そうか〜?…俺は結構根性がひん曲がってるのは自覚あるんだけどな?それにホルスに比べたら天と地の差はありそうだし。」
ホルスの『乗っ取ってるみたい』という言葉に、あながち間違っていないと思っているトリスは、表情に出さないように気をつけながらも、考え考え言葉を紡いでいく。
「僕のことは置いといて!トリスは顔も性格も、凄く好ましいよ!もしも僕が女性なら、多分トリスに一瞬で惚れてるよ!うん!」
「お、おう。分かったから、その虚しいもしも話をやめてくれ…。」
事実前世は勿論のこと、今生でも女性に縁がないトリスは若干落ち込みながらも、距離を詰めて力説してくるホルスを落ち着かせる。
「兎に角、トリスなら女性の1人や2人、余裕で引っ掛けられるだろうから、自信持ってね!」
「何そのすげぇ無責任な発言。これ程までに元気づけられない発破、初めてされたわ。…りょ、了解であります。」
ホルスの無責任な発言に、トリスは辟易としながら愚痴愚痴言うが、その瞬間ほのホルスの目に力が篭ったのが見えて、慌てて背筋を伸ばして敬礼するトリスだった。
『―――以上が、学園長である私からの話です。』
その言葉に、入学式に参加している者達から『やっとか…。』という空気が流れてくる。
トリス達新入生は、受付で本人確認をした後に、馬鹿でかい講堂みたいな場所に案内され、そこで入学式が執り行われることとなったのだが、やはり何処の世界でもお偉方の話は長いようだ。
最初は有力貴族から始まり、〆は学園長までの総勢4人の話は、実に1時間近く行われ、椅子があるとはいえ流石に新入生達は疲弊していた。しかしそれでも15,6歳の子供達が騒ぎ出さないのは、やはり『学園都市の最高峰に入学するんだ!』という責任感なのだろうか。
因みにトリスは話のうち9割は、速攻頭から抜け落ちるほど集中していなかったのだが。途中寝ようかとも思ったが、流石に平民という設定の自分がそんな命知らずの真似を敢行すれば、即退学ものであるため、必死に眠気を我慢し続けた1時間であった。
『ありがとうございました。では、次は新入生代表挨拶です。新入生代表、ホルスト・ラ・レンバッハ。壇上まで上がってください。』
司会進行の先生が、ホルスを呼ぶ。因みに魔道具を使っているようで、学園長と司会の声は、講堂の後ろの方に座っていたトリス達の元にも良く聞こえる。
「はい!」
ホルスは緊張気味に返事をしながら椅子から立ち上がり、中央の通路を通って壇上へと向かおうとする。
「頑張れ。」
「うん。」
トリスは小声でホルスを励まし、ホルスはそれに対して短く、しかし力強い声で返す。
それと同時に少し微笑んだため、近くに居た新入生達が男女問わず皆顔を朱に染める。
だがそんな事に気づかないホルスは、そのまましっかりとした足取りで、壇上へと向かうのだった。
「お〜、多いな。でも受験の時ほどじゃ無いな。」
「そうだね。落ちちゃった人とか、その両親とかは来ないんだしね。」
「おう。…何か視線がこっちに集中してないか?ホルスなら兎も角、俺まで何で見られてるんだ?」
トリスは頷きながらも、馬車から降りた瞬間から気になっていた視線について、ホルスに聞いてみる。
「ぼ、僕は兎も角って。でもまぁ、確かに視線は感じるね。僕の場合はよくパーティに出るから顔は知られてるからだと思うけど、トリスは何でだろうね?イケメンだから?」
「お前の口からその言葉を聞くと、無性に腹が立つんだが?…しかしホルスの言うことも一理あるな。この体、顔だけはイケメンだし、どうせ『ホルスト様と一緒にいらっしゃる方はどなたなんだ?見覚えないな。』とか、『若しかして何処かの貴族の秘蔵っ子かも!?』とか、『見た事無いけど、多分有力な貴族の御曹司だろうから、今の内に唾つけとこう!イケメンだし!』とか噂してるんじゃね?」
トリスの核心をついた呟きに、ホルスは苦笑いする。
「この体って、トリス。まるでトリスがその体を乗っ取ってるみたいな言い方じゃない?それにトリスは性格も十分にイケメンだよ?だから自信持ってよ!」
「そうか〜?…俺は結構根性がひん曲がってるのは自覚あるんだけどな?それにホルスに比べたら天と地の差はありそうだし。」
ホルスの『乗っ取ってるみたい』という言葉に、あながち間違っていないと思っているトリスは、表情に出さないように気をつけながらも、考え考え言葉を紡いでいく。
「僕のことは置いといて!トリスは顔も性格も、凄く好ましいよ!もしも僕が女性なら、多分トリスに一瞬で惚れてるよ!うん!」
「お、おう。分かったから、その虚しいもしも話をやめてくれ…。」
事実前世は勿論のこと、今生でも女性に縁がないトリスは若干落ち込みながらも、距離を詰めて力説してくるホルスを落ち着かせる。
「兎に角、トリスなら女性の1人や2人、余裕で引っ掛けられるだろうから、自信持ってね!」
「何そのすげぇ無責任な発言。これ程までに元気づけられない発破、初めてされたわ。…りょ、了解であります。」
ホルスの無責任な発言に、トリスは辟易としながら愚痴愚痴言うが、その瞬間ほのホルスの目に力が篭ったのが見えて、慌てて背筋を伸ばして敬礼するトリスだった。
『―――以上が、学園長である私からの話です。』
その言葉に、入学式に参加している者達から『やっとか…。』という空気が流れてくる。
トリス達新入生は、受付で本人確認をした後に、馬鹿でかい講堂みたいな場所に案内され、そこで入学式が執り行われることとなったのだが、やはり何処の世界でもお偉方の話は長いようだ。
最初は有力貴族から始まり、〆は学園長までの総勢4人の話は、実に1時間近く行われ、椅子があるとはいえ流石に新入生達は疲弊していた。しかしそれでも15,6歳の子供達が騒ぎ出さないのは、やはり『学園都市の最高峰に入学するんだ!』という責任感なのだろうか。
因みにトリスは話のうち9割は、速攻頭から抜け落ちるほど集中していなかったのだが。途中寝ようかとも思ったが、流石に平民という設定の自分がそんな命知らずの真似を敢行すれば、即退学ものであるため、必死に眠気を我慢し続けた1時間であった。
『ありがとうございました。では、次は新入生代表挨拶です。新入生代表、ホルスト・ラ・レンバッハ。壇上まで上がってください。』
司会進行の先生が、ホルスを呼ぶ。因みに魔道具を使っているようで、学園長と司会の声は、講堂の後ろの方に座っていたトリス達の元にも良く聞こえる。
「はい!」
ホルスは緊張気味に返事をしながら椅子から立ち上がり、中央の通路を通って壇上へと向かおうとする。
「頑張れ。」
「うん。」
トリスは小声でホルスを励まし、ホルスはそれに対して短く、しかし力強い声で返す。
それと同時に少し微笑んだため、近くに居た新入生達が男女問わず皆顔を朱に染める。
だがそんな事に気づかないホルスは、そのまましっかりとした足取りで、壇上へと向かうのだった。
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