転生王子は何をする?
第81話 入学前 17
トリス一行が和気藹々としていた時、研究所の最深部に居たフォルツ王国所属の研究者、マッド・サイエンスはその白髪交じりの頭を抱えていた。
「こ、こんな事が!高々ガキ3人に私の研究所が潰されるのか!」
そう。この男こそ全ての黒幕であり、この研究所の取締役である。
何故この男がこんな事をしているのかということを説明するには、まずはフォルツ王国の説明をせねばならないだろう。
フォルツ王国は数千年前からある、元々大陸に覇を称える超大国であり、現在のトゥール王国も領土であった。何故超大国であったのかというと、やはり現トゥール王国にある大量のダンジョンから産出される素材だ。その素材を目当てに、街がダンジョンの近くに形成され、人が集まり大量の金銭が動く。また、フォルツ王国西部は海に面していたため、別大陸のウェルト大陸とも交易が盛んであり、天井知らずの国力の伸びを誇っていた。
また、フォルツ王国を治める王は、歴代賢王ではないがそれなりの責任を持って、真剣に統治していたため、広大な領土をトラブルも特に無く治めることに成功していた。
たが300年ほど前、ある時悪辣な王が誕生してしまう。当時その王は第6王子という微妙な立場であったのだが、既に王位を継承していた第1王子やその他の兄弟を、その知略を以てして暗殺、あるいは濡れ衣を着せて修道院送りにしたりし、王位を乗っ取ってしまったのだ。
また、徐々に腐ってきていた東部の貴族達がその王に賛同し、勢力を拡大していってしまう。そしてその王は人間族至上主義であり、国内に居た獣人やエルフ達他種族を捕らえては、処刑若しくは奴隷落ちにしていった。
それにブチ切れのが当時侯爵家であったトゥール家を中心にした西部の貴族達だ。彼らは交易が盛んであったため、他種族とは切っても切れない関係を築いていた。そのため良き隣人である他種族に対する突然の仕打ちに、それはもう烈火のごとくブチ切れて、西部貴族の総力をあげて王に反旗を翻した。
しかし腐っても元大国。豊富な資源を持つ西部と、特に資源の産出する場所の無い東部とで、2つの勢力に別れてしまっていたが、その程度ではそれまで築き上げてきた財でどうにか持ち堪えることに成功した。
そして西部の貴族達が反旗を翻してから20年後、東部でクーデターが起こり、あっさりと王は討ち取られて戦争は終結する。
だが20年も経てば東部は東部で、西部は西部での統治機構はほぼ別物となってしまっていて、また交易等を行う面から、『フォルツ王国』と名乗るのは他種族が嫌がるためトゥール侯爵家は独立を宣言し、今に至るのだった。
そんな歴史を持つフォルツ王国だが、あっさりと討ち取られたかのようにみえた王は、生きながらえていたのだ。実は内乱は彼の策略であり、財源の乏しさから負けるのは間違いないため、自身の血と野望を残すため、態と一線を退いたのだ。
そんな事実は歴史の闇に葬られ、現在彼の子孫はフォルツ王国の宰相を務め、王族を裏から操り日々野望のための下準備を行ってきた。その一環として行われたのが、魔族と人間族との融合による強大な戦力確保だ。
「…我らが野望のため、何としてでもここは死守せねばならない。こうなったらリスクはあるが、奴を解放するしかないか…。おい!検体番号234を侵入者の下に解き放て!」
「りょ、了解しました!検体番号234!解放します!」
マッドは周りに居た部下達に呼びかけ、リスクのある賭けに出る。魔王と人間族の融合作品。これが彼の切り札であり、史上最強の作品だ。
詳しい説明は省くが、魔王特有のスキルを持ち、人間族ではありえないほどの魔力量を誇る、大陸でも指折りの達人が、数人がかりで苦労して倒すような正真正銘の化け物だ。
「…ゴ、グゥア。」
そんな化け物が、物理的にも魔法的にも厳重に封印されていた檻から解き放たれる。
「め、命令だ。侵入者達を今すぐ始末して来い。」
体躯は人間族とそれほど変わらないというのに、何故か感じる圧倒的な圧力に気圧されつつ、マッドは命令を下す。
「ガ。グアアアア!」
すると検体番号234と呼称されていた存在は、雄叫びあげながら、勢い良くトリス達の居る方向へと駆け出すのだった。
「こ、こんな事が!高々ガキ3人に私の研究所が潰されるのか!」
そう。この男こそ全ての黒幕であり、この研究所の取締役である。
何故この男がこんな事をしているのかということを説明するには、まずはフォルツ王国の説明をせねばならないだろう。
フォルツ王国は数千年前からある、元々大陸に覇を称える超大国であり、現在のトゥール王国も領土であった。何故超大国であったのかというと、やはり現トゥール王国にある大量のダンジョンから産出される素材だ。その素材を目当てに、街がダンジョンの近くに形成され、人が集まり大量の金銭が動く。また、フォルツ王国西部は海に面していたため、別大陸のウェルト大陸とも交易が盛んであり、天井知らずの国力の伸びを誇っていた。
また、フォルツ王国を治める王は、歴代賢王ではないがそれなりの責任を持って、真剣に統治していたため、広大な領土をトラブルも特に無く治めることに成功していた。
たが300年ほど前、ある時悪辣な王が誕生してしまう。当時その王は第6王子という微妙な立場であったのだが、既に王位を継承していた第1王子やその他の兄弟を、その知略を以てして暗殺、あるいは濡れ衣を着せて修道院送りにしたりし、王位を乗っ取ってしまったのだ。
また、徐々に腐ってきていた東部の貴族達がその王に賛同し、勢力を拡大していってしまう。そしてその王は人間族至上主義であり、国内に居た獣人やエルフ達他種族を捕らえては、処刑若しくは奴隷落ちにしていった。
それにブチ切れのが当時侯爵家であったトゥール家を中心にした西部の貴族達だ。彼らは交易が盛んであったため、他種族とは切っても切れない関係を築いていた。そのため良き隣人である他種族に対する突然の仕打ちに、それはもう烈火のごとくブチ切れて、西部貴族の総力をあげて王に反旗を翻した。
しかし腐っても元大国。豊富な資源を持つ西部と、特に資源の産出する場所の無い東部とで、2つの勢力に別れてしまっていたが、その程度ではそれまで築き上げてきた財でどうにか持ち堪えることに成功した。
そして西部の貴族達が反旗を翻してから20年後、東部でクーデターが起こり、あっさりと王は討ち取られて戦争は終結する。
だが20年も経てば東部は東部で、西部は西部での統治機構はほぼ別物となってしまっていて、また交易等を行う面から、『フォルツ王国』と名乗るのは他種族が嫌がるためトゥール侯爵家は独立を宣言し、今に至るのだった。
そんな歴史を持つフォルツ王国だが、あっさりと討ち取られたかのようにみえた王は、生きながらえていたのだ。実は内乱は彼の策略であり、財源の乏しさから負けるのは間違いないため、自身の血と野望を残すため、態と一線を退いたのだ。
そんな事実は歴史の闇に葬られ、現在彼の子孫はフォルツ王国の宰相を務め、王族を裏から操り日々野望のための下準備を行ってきた。その一環として行われたのが、魔族と人間族との融合による強大な戦力確保だ。
「…我らが野望のため、何としてでもここは死守せねばならない。こうなったらリスクはあるが、奴を解放するしかないか…。おい!検体番号234を侵入者の下に解き放て!」
「りょ、了解しました!検体番号234!解放します!」
マッドは周りに居た部下達に呼びかけ、リスクのある賭けに出る。魔王と人間族の融合作品。これが彼の切り札であり、史上最強の作品だ。
詳しい説明は省くが、魔王特有のスキルを持ち、人間族ではありえないほどの魔力量を誇る、大陸でも指折りの達人が、数人がかりで苦労して倒すような正真正銘の化け物だ。
「…ゴ、グゥア。」
そんな化け物が、物理的にも魔法的にも厳重に封印されていた檻から解き放たれる。
「め、命令だ。侵入者達を今すぐ始末して来い。」
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コメント
小説書いてみたいけど内容が浮かばない人
これは危ないかな?(・_・;)