転生王子は何をする?
第75話 入学前 11
「おやおやおや〜?ホルス君は、ローゼマリーさんが好きなのかな〜?恋、しちゃってるのかな〜?」
絶好の弄りネタを見つけたトリスは、満面の笑みを浮かべる。
「ちちちちち、違うよ!?ぼ、僕が結婚するとしたら、あんな人がいいな〜って思っただけで!」
「へ〜、そうなんだ。ならその結婚したいと思えるローゼマリーさんと、実際に結婚しちゃえばいいじゃん。お互いの家が、険悪って訳じゃないんでしょ?」
動揺をまったく隠せずに居るホルスを、更に追い詰めるトリス。
「ぼ、僕よりも、第1王子のベルトラン様とか、第2王子のクリストフ様とかと結婚した方が、彼女のためになると思うよ!」
ホルスは、苦しみ紛れに自身より身分の高い者の名を挙げる。だがそれを予想していたトリスは、更に逃げ道をなくしていく。
「う〜ん。確かベルトラン様は既にお2人ほど奥方がいらっしゃったよね?それとクリストフ様はお1人だけ溺愛なさっていて、『我が妻は1人で充分!』とか宣言なさっていたような?」
「くっ!何で貴族でもないトリスが、そんな宣言を知ってるんだ!なら!第3王子のトリスタン様ならどうだ!?」
「いや、どうだって言われてもね。トリスタン様は表舞台に出ようとしないから、無理じゃないかな?どんなに手を尽くしても調査できなかったし。」
自身の話題が出ることも予想していたトリスは、予定通りの返答をする。
「どんなに手を尽くしても?ってトリスは一体何者なんだい?調査って…。」
トリスの普通ではない発言に、ホルスも疑問を覚えたようで、トリスに問うてくる。
「ん?ただの趣味だけど?学園でもゆくゆくは、『情報通トリス』とか呼ばれたいんだけど。ホルスも何か情報が欲しければ、俺を頼ってくれ。」
にこやかな笑顔で、トリスは自身のプロフィールを予定通りにコントロールする。これからは情報通を売りに行動するのだ。その方が何かと動きやすいと判断したようだ。
「じょ、情報通トリス…。一体君は何処に向かうとしているのかな?ま、まぁそれよりも、今はメラニーに話を聞くのが優先じゃない?って、あれ?メラニーは?」
トリスの新たな一面に、若干顔を引き攣らせたホルスだったが、話題が変わったことにこれ幸いと食いつき、メラニーの居た方に目を向けるが見当たらなかった。
「ん?メラニーさん?それなら『ちちちちち、違うよ!?』のあたりでバルコニーから出て行ったけど?」
「え!?それって大分最初の方じゃないか!だ、誰かメラニーをもう一度呼んで来て〜!」
トリスのアイアンクローを何としてでも避けたいホルスは、大慌てでメラニーを呼ぶのだった。
「何か御用ですか?」
氷のごとく視線で主を見つめるメラニー。BL疑惑は無くなったようだが、一方で別の問題が発生してしまったようだ。心酔しているホルスが、他の女に気が惹かれているのは、見ていてどうやら面白く無いようだ。
トリスとしては、複雑な方がより面白いので全く問題無いのだが。いや、寧ろウェルカムだろう。
「う、うん。…出来れば、その虫けらを見る目をやめて頂きたいんですけど。」
「…分かりまし、虫けら、ではなくホルスト様。」
「今、仮にも主に対して虫けらって言ったよね!?トリス!メラニーが虐めてくるんだけど!」
「ドンマイ。それよりも、メラニーさん。ホルスを揶揄うのはその辺にして、情報をお願いできませんか?」
「はい、わかりました。ホルスト様を揶揄うのは面白いので、どうにも止められないんですよね。」
「えぇ、分かります。これほど揶揄いがいのある奴は、有史以来初なんじゃないのかと思いますよ。」
泣きついてくるホルスを、一言で切って捨てたトリスは、メラニーとニヤリと笑い合いながら、ホルスを揶揄う楽しさについて話し合う。
「トリス、メラニー。いい加減にしないと、いくら僕でも、怒るよ?」
言葉数少なく、しかし良い笑顔で、ホルスは周りに良く通る声で言う。
どうやら揶揄い過ぎたようで、大分お怒りのようだ。慌ててトリスとメラニーは平謝りする。
「「申し訳ありませんでした!」」
「…よろしい。…じゃあ、説明宜しくね。」
2人の綺麗なお辞儀を見たホルスは、お怒りモードから一転、即通常モードに切り替えて、メラニーに話を促すのだった。
絶好の弄りネタを見つけたトリスは、満面の笑みを浮かべる。
「ちちちちち、違うよ!?ぼ、僕が結婚するとしたら、あんな人がいいな〜って思っただけで!」
「へ〜、そうなんだ。ならその結婚したいと思えるローゼマリーさんと、実際に結婚しちゃえばいいじゃん。お互いの家が、険悪って訳じゃないんでしょ?」
動揺をまったく隠せずに居るホルスを、更に追い詰めるトリス。
「ぼ、僕よりも、第1王子のベルトラン様とか、第2王子のクリストフ様とかと結婚した方が、彼女のためになると思うよ!」
ホルスは、苦しみ紛れに自身より身分の高い者の名を挙げる。だがそれを予想していたトリスは、更に逃げ道をなくしていく。
「う〜ん。確かベルトラン様は既にお2人ほど奥方がいらっしゃったよね?それとクリストフ様はお1人だけ溺愛なさっていて、『我が妻は1人で充分!』とか宣言なさっていたような?」
「くっ!何で貴族でもないトリスが、そんな宣言を知ってるんだ!なら!第3王子のトリスタン様ならどうだ!?」
「いや、どうだって言われてもね。トリスタン様は表舞台に出ようとしないから、無理じゃないかな?どんなに手を尽くしても調査できなかったし。」
自身の話題が出ることも予想していたトリスは、予定通りの返答をする。
「どんなに手を尽くしても?ってトリスは一体何者なんだい?調査って…。」
トリスの普通ではない発言に、ホルスも疑問を覚えたようで、トリスに問うてくる。
「ん?ただの趣味だけど?学園でもゆくゆくは、『情報通トリス』とか呼ばれたいんだけど。ホルスも何か情報が欲しければ、俺を頼ってくれ。」
にこやかな笑顔で、トリスは自身のプロフィールを予定通りにコントロールする。これからは情報通を売りに行動するのだ。その方が何かと動きやすいと判断したようだ。
「じょ、情報通トリス…。一体君は何処に向かうとしているのかな?ま、まぁそれよりも、今はメラニーに話を聞くのが優先じゃない?って、あれ?メラニーは?」
トリスの新たな一面に、若干顔を引き攣らせたホルスだったが、話題が変わったことにこれ幸いと食いつき、メラニーの居た方に目を向けるが見当たらなかった。
「ん?メラニーさん?それなら『ちちちちち、違うよ!?』のあたりでバルコニーから出て行ったけど?」
「え!?それって大分最初の方じゃないか!だ、誰かメラニーをもう一度呼んで来て〜!」
トリスのアイアンクローを何としてでも避けたいホルスは、大慌てでメラニーを呼ぶのだった。
「何か御用ですか?」
氷のごとく視線で主を見つめるメラニー。BL疑惑は無くなったようだが、一方で別の問題が発生してしまったようだ。心酔しているホルスが、他の女に気が惹かれているのは、見ていてどうやら面白く無いようだ。
トリスとしては、複雑な方がより面白いので全く問題無いのだが。いや、寧ろウェルカムだろう。
「う、うん。…出来れば、その虫けらを見る目をやめて頂きたいんですけど。」
「…分かりまし、虫けら、ではなくホルスト様。」
「今、仮にも主に対して虫けらって言ったよね!?トリス!メラニーが虐めてくるんだけど!」
「ドンマイ。それよりも、メラニーさん。ホルスを揶揄うのはその辺にして、情報をお願いできませんか?」
「はい、わかりました。ホルスト様を揶揄うのは面白いので、どうにも止められないんですよね。」
「えぇ、分かります。これほど揶揄いがいのある奴は、有史以来初なんじゃないのかと思いますよ。」
泣きついてくるホルスを、一言で切って捨てたトリスは、メラニーとニヤリと笑い合いながら、ホルスを揶揄う楽しさについて話し合う。
「トリス、メラニー。いい加減にしないと、いくら僕でも、怒るよ?」
言葉数少なく、しかし良い笑顔で、ホルスは周りに良く通る声で言う。
どうやら揶揄い過ぎたようで、大分お怒りのようだ。慌ててトリスとメラニーは平謝りする。
「「申し訳ありませんでした!」」
「…よろしい。…じゃあ、説明宜しくね。」
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