転生王子は何をする?
第38話 当たってほしくないものばかり当たりますよね
「9と11と13の最小公倍数は何だと思いますか?」
「え?最小公倍数?何ですか?それは。」
ローマンに対して数学の用語を言っても分からないようであったため、トリスは噛み砕いて説明する。するとすぐに理解したようだ。
「で、問題の答えを言ってください。」
「え〜っと、ちょっと計算して書くんで、ちょっと待っててくださいね…。…な!?1287!?ニーナさん!!急いで資料室から年表持ってきてください!!この世界の歴史のやつです!!」
「え?え?は、はい…。」
話についていけてなかったニーナは、戸惑いながらもローマンの尋常じゃない様子に気圧されて指示に従う。
小走りでギルドマスター室を出て行ったニーナを見送り、2人は向かい合って話し合いを始める。
「気づいてなかったんですか?」
トリスはちょっと呆れた風に言ってしまう。生態が分かっているのなら、誰でも気づきそうなものだからだ。
「し、しかしですね、最近と言ってもここ数ヶ月前に判明した事なんですよ。それに今までは最後攻めてきた時から何年経っているかを基準にしていたので、考えが及ばなかったのです…。それにしてもよく気づきましたね。」
普通の人なら魔人が攻めてくると聞けば、パニックになり通常の判断は出来ないだろう。しかしトリスは魔族の脅威は知らない。また数年の1度の繁殖期を聞いて、地球において数百年に1度大量発生する2種類の蝉の話を思い起こしたので、すぐに計算を始めたから気づけたのである。
「まぁ、そんな事は置いておいてですね。今回は何処の迷宮から湧いてくると思いますか?」
迷宮とは、発生理由が不明の魔物が湧いてくる場所で、所謂RPGのダンジョンである。魔族はその迷宮のどこかにあると言われている転移魔法陣で大陸間を移動して攻めてくる。迷宮はそれぞれの大陸に多く存在し、知られているだけでも100近くある。
ここトゥール王国には比較的多い9つのダンジョンがあり、国力もまぁまぁあるためか度々魔族の標的とされる。そのため迷宮の警備の厳しさは他の国とは比べ物にならないほど厳しく行われている。そのかいあってか魔族の侵攻の直前には兆候を捉え、毎回先手を打てているため大した被害は出ていないのが現状だ。
「実は王都から東に40キロほど行ったところに、隣国のキルシュ皇国との国境付近に無限の洞窟という迷宮があるのですが、そこに兆候が見られます。その迷宮は終わりが無いと思えるほど広大なため調査があまり捗ってはいませんが、皇国の兵力も借りて厳重体制に入っています。」
「成程。ところで兆候とはどういうものなんですか?」
ふと疑問に思ったトリスは、ローマンに問う。
「兆候というのはですね、迷宮内の魔物が居なくなることです。文字通りもぬけの殻となるのですよ。原因は分かりませんがね。もぬけの殻になってから最短1日から最長1ヶ月以内に侵攻を開始してきます。」
「…今回は、最大規模なんですよ?という事は1箇所とはとても思えないのですが…。」
トリスの言葉にローマンは眉間に深い皺を寄せて頭を抱えてしまう。
「…うう。そうなんですよね〜…。昨日、王国西部の海岸にある深淵の迷宮に魔物の減少傾向がみられたんですよ…。魔族によるものではなく、自然に減ることもあるので気に留めて無かったのですが、こうなってくると魔族によるものと考えるのが妥当ですか〜。」
ローマンがグチグチ言っていると、ギルド内が急に騒がしくなってきたのが耳に届いた。トリスとローマンは顔を見合わせ、思わず呟いてしまう。
「「嫌な予感がしますね。」」
すると部屋を出て資料を探していたニーナと、Bランク冒険者のマックスが勢い良くギルドマスター室に入って来た。
「大災厄は今から1287年前でした!」
「深淵の迷宮から魔族が出現したぞ!それと同時にどうやら無限の迷宮からも魔族が出現!どちらもこの王都を目指して侵攻中だ!」
2人同時に大きな声で喋り始めて、少々聞き取りずらかったが、トリスとローマンは内容を理解し、その予想通りの展開に溜息をつくしかなかったのだった。
「え?最小公倍数?何ですか?それは。」
ローマンに対して数学の用語を言っても分からないようであったため、トリスは噛み砕いて説明する。するとすぐに理解したようだ。
「で、問題の答えを言ってください。」
「え〜っと、ちょっと計算して書くんで、ちょっと待っててくださいね…。…な!?1287!?ニーナさん!!急いで資料室から年表持ってきてください!!この世界の歴史のやつです!!」
「え?え?は、はい…。」
話についていけてなかったニーナは、戸惑いながらもローマンの尋常じゃない様子に気圧されて指示に従う。
小走りでギルドマスター室を出て行ったニーナを見送り、2人は向かい合って話し合いを始める。
「気づいてなかったんですか?」
トリスはちょっと呆れた風に言ってしまう。生態が分かっているのなら、誰でも気づきそうなものだからだ。
「し、しかしですね、最近と言ってもここ数ヶ月前に判明した事なんですよ。それに今までは最後攻めてきた時から何年経っているかを基準にしていたので、考えが及ばなかったのです…。それにしてもよく気づきましたね。」
普通の人なら魔人が攻めてくると聞けば、パニックになり通常の判断は出来ないだろう。しかしトリスは魔族の脅威は知らない。また数年の1度の繁殖期を聞いて、地球において数百年に1度大量発生する2種類の蝉の話を思い起こしたので、すぐに計算を始めたから気づけたのである。
「まぁ、そんな事は置いておいてですね。今回は何処の迷宮から湧いてくると思いますか?」
迷宮とは、発生理由が不明の魔物が湧いてくる場所で、所謂RPGのダンジョンである。魔族はその迷宮のどこかにあると言われている転移魔法陣で大陸間を移動して攻めてくる。迷宮はそれぞれの大陸に多く存在し、知られているだけでも100近くある。
ここトゥール王国には比較的多い9つのダンジョンがあり、国力もまぁまぁあるためか度々魔族の標的とされる。そのため迷宮の警備の厳しさは他の国とは比べ物にならないほど厳しく行われている。そのかいあってか魔族の侵攻の直前には兆候を捉え、毎回先手を打てているため大した被害は出ていないのが現状だ。
「実は王都から東に40キロほど行ったところに、隣国のキルシュ皇国との国境付近に無限の洞窟という迷宮があるのですが、そこに兆候が見られます。その迷宮は終わりが無いと思えるほど広大なため調査があまり捗ってはいませんが、皇国の兵力も借りて厳重体制に入っています。」
「成程。ところで兆候とはどういうものなんですか?」
ふと疑問に思ったトリスは、ローマンに問う。
「兆候というのはですね、迷宮内の魔物が居なくなることです。文字通りもぬけの殻となるのですよ。原因は分かりませんがね。もぬけの殻になってから最短1日から最長1ヶ月以内に侵攻を開始してきます。」
「…今回は、最大規模なんですよ?という事は1箇所とはとても思えないのですが…。」
トリスの言葉にローマンは眉間に深い皺を寄せて頭を抱えてしまう。
「…うう。そうなんですよね〜…。昨日、王国西部の海岸にある深淵の迷宮に魔物の減少傾向がみられたんですよ…。魔族によるものではなく、自然に減ることもあるので気に留めて無かったのですが、こうなってくると魔族によるものと考えるのが妥当ですか〜。」
ローマンがグチグチ言っていると、ギルド内が急に騒がしくなってきたのが耳に届いた。トリスとローマンは顔を見合わせ、思わず呟いてしまう。
「「嫌な予感がしますね。」」
すると部屋を出て資料を探していたニーナと、Bランク冒険者のマックスが勢い良くギルドマスター室に入って来た。
「大災厄は今から1287年前でした!」
「深淵の迷宮から魔族が出現したぞ!それと同時にどうやら無限の迷宮からも魔族が出現!どちらもこの王都を目指して侵攻中だ!」
2人同時に大きな声で喋り始めて、少々聞き取りずらかったが、トリスとローマンは内容を理解し、その予想通りの展開に溜息をつくしかなかったのだった。
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