転生王子は何をする?

血迷ったトモ

第25話 またまたテンプレ

「では、明日の正午過ぎから試験を始めますので、出来れば朝からギルドに顔を出しておいて下さい。」

どこか呆れたように言うニーナ。どうやらトリスのことを、完全にアホな人だと認識したようだ。しかしトリスは一向に構う様子もなく、質問する。

「この辺りで良い宿屋はありますか?」

「この辺りでしたら、少々値は張りますが宿屋『平和の礎』がお薦めですね。ここから道なりに真っ直ぐ王城の方へと進めば、看板が出ているのですぐに分かると思います。あそこは料理も美味しく、防犯にも気を使っていますので、お金に余裕のある冒険者は結構利用されていますよ。」

「なるほど。分かりました。じゃあ今日はそこに行ってみます。」

トリスは軽く会釈してからギルドをあとにする。一応地図で宿屋を検索しつつ歩き出すと、ギルドから4つの赤いマークの点が出てくるのが地図に表示された。

「何だこれ?」

通常では知り合いは青、他人はオレンジで表示されるのを確認している。しかし赤は見た事が無いのだ。大体は予想外がつくが、念の為路地裏に入り気配を消して様子を見ることにした。

『おいっ!彼奴はどこ行きやがったんだ!?』

『知るか!一本道の筈なのに、もう見えねぇじゃねぇかよ!』

『落ち着け!俺にはあっちの路地裏に入って行った様に見えたぞ。』

『よし、追うか!』

そんな声が聞こえてきた。予想通り、敵対者は赤表示になるようだ。そしてトリスが脇に居るとも知らずに、路地裏へと駆け込んで行く。そして少し大通りから離れた場所まで来たところで、トリスは後から声をかける。

「よ!お前達!目当ての人物は見つかったのか?」

「な!?」

「いつの間に後に!?」

「しかしこれは丁度いいぞ!まさかノコノコ自ら姿を現すだなんてな。」

「そうだな!」

男達は頭の悪い会話をしている。そんな様子に、トリスは嘲笑を浮かべながら問う。

「で、俺を探して何の用だ?ま、お前らみたいなアホの考えることなんて、誰でも分かるけどな。」

「うるせぇ!分かってんならさっさと金出しやがれ!」

「このDランクパーティ白狼の爪が、ありがたく使ってやるからよ!」

男達は口々に勝手なことを言ってくる。しかしその隙に弓使いと思しき男は、少しトリスから距離を取っている。流石にただのゴロツキとはレベルが違うようだ。しかし所詮はDランク。トリスの煽りに見事に乗ってしまう。

「なに?白狼の爪?プッ!思いっ切り名前負けしてるじゃん!」

「てめぇ!立場分かってんのか!?死ね!!」

先走った前衛職の男が剣を抜いて斬りかかってくる。弓使いが完全に配置につく前にだ。そうなれば当然連携は取れなくなる。
数分後、路地裏には仲良くおねんねしている4人の男の姿があったそうな。


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