転生王子は何をする?
第19話 漸く着きました
慌てて走り去るマルティナを見送った後、トリスは再び目的地へと向かう。
「はぁ、何かどっと疲れた〜。…いやいや。これから本番だ。気を取り直さないとな。」
トリスは呟きつつも路地裏に入り、魔道具を再起動させてから屋根に飛び上る。
「さて、グレゴールちゃんの位置はどこかな〜?」
先程の男達の言葉遣いを馬鹿にできないようなことを言いながら、屋根から屋根へと飛び移っていく。
因みにその男達はトリスがのした後、全員を縄で手を繋いでそれぞれに『強姦魔』という紙を貼っておいたので、今頃は騎士団のお世話になっている頃だろう。
「ふむふむ。マップからするとカレンベルク商会の事務所に居るらしいな…。」
好都合とばかりにニヤリとしながら言うと、更に速度を上げて走る。すぐに『カレンベルク商会』と大きく看板の出た二階建ての建物を発見した。街並みは一階建てが多いため、かなり目立っている。それにプラスして敷地面積も400メートルトラックの半分程はありそうなので、より拍車がかかっている。
「マップで見ていて分かってたけど、大分大きな商会なんだな。これは大分期待が出来そうだ。」
トリスは商会事務所の2階の窓から中へと滑り込む。内部は木張りの6畳ほどの部屋になっていて、今まで住んでいたのは石造りの城であったため、どこか日本に帰ったかのような気分になり安心感が湧いた。
だが今の目的はグレゴールを探し出すことなので、急ぎ足で扉を開けて廊下に出る。勿論、近くに人が居ないかスキルの武神に含まれている気配探知で確認しつつだが。
廊下に出てまっすぐに進む。しばらく廊下を進むと突き当りになっていた。そして扉があり、その中にグレゴールの位置がマーカーで表示されていた。
しかしトリス自身で扉を開ければ当然何か居るとバレるため、どうしようかとトリスは頭を悩ませる。
-誰かお茶でも運びに事務所の人が来るだろうし、10分位は待ってみるか。待ってみて誰も来なければ、普通に入ればいいしな…。-
と、トリスは考えるが待つ必要は無かったようで、すぐに廊下の先に書類を抱えた人間族の女性の姿が見えた。
『コンコン』
「失礼します。書類をお持ちしました。」
中からグレゴールが返事をする。
『入ってくれ。』
その返事を待ってから女性はドアノブに手を出すかける。その女性は書類を抱えているためか、大きく扉を開けたので『チャンス!』とトリスは心の中で叫びながら隙間から突入する。
「?」
すると女性は部屋に入る寸前で首を傾げる。
「どうした?」
その様子を不思議に思ったグレゴールが女性に問う。
「いえ、なんでもありません。私のすぐ横を何かが通り過ぎたような風が吹いたので。」
その言葉にトリスは冷や汗をかく。
-くっ!この装備にもまだ改良の余地はあるな!まぁ気配は感じ取れないだろうから大丈夫だろうけどな。-
その後は特に何の問題も無く女性とグレゴールはやり取りをし、女性は部屋をあとにする。
その間話をしている間、トリスは部屋の隅に潜んでいたが、女性の位置情報が部屋から遠ざかって行くのを確認してから魔道具の機能を全て切る。
そして机に向かって何やら書類仕事をしているグレゴールに声をかける。
「どうも、こんにちは。」
数秒間を置いた後、グレゴールは驚きで叫ぶ。
「…は!?だ、誰だ!?」
「ちょっと静かにしてください。『防音結界』。」
防音結界とは、風属性の初級魔法であり、術者から一定距離の空間内で発生した音を、その効果の範囲外には聞こえないようにできる魔法である。
「魔法!?き、君の目的はなんだね!?…あれ?子供?」
慌てていたが、すぐに目の前に居るのが子供であると分かり、少々落ち着きを取り戻したようだ。
だが次の言葉で余計に混乱してしまう。
「まぁ、子供かどうかは置いておいて、それよりも商談をしません?儲け話があるんですけど。」
こうしてトリスは夢の第一歩を踏み出すこととなったのだ。
「はぁ、何かどっと疲れた〜。…いやいや。これから本番だ。気を取り直さないとな。」
トリスは呟きつつも路地裏に入り、魔道具を再起動させてから屋根に飛び上る。
「さて、グレゴールちゃんの位置はどこかな〜?」
先程の男達の言葉遣いを馬鹿にできないようなことを言いながら、屋根から屋根へと飛び移っていく。
因みにその男達はトリスがのした後、全員を縄で手を繋いでそれぞれに『強姦魔』という紙を貼っておいたので、今頃は騎士団のお世話になっている頃だろう。
「ふむふむ。マップからするとカレンベルク商会の事務所に居るらしいな…。」
好都合とばかりにニヤリとしながら言うと、更に速度を上げて走る。すぐに『カレンベルク商会』と大きく看板の出た二階建ての建物を発見した。街並みは一階建てが多いため、かなり目立っている。それにプラスして敷地面積も400メートルトラックの半分程はありそうなので、より拍車がかかっている。
「マップで見ていて分かってたけど、大分大きな商会なんだな。これは大分期待が出来そうだ。」
トリスは商会事務所の2階の窓から中へと滑り込む。内部は木張りの6畳ほどの部屋になっていて、今まで住んでいたのは石造りの城であったため、どこか日本に帰ったかのような気分になり安心感が湧いた。
だが今の目的はグレゴールを探し出すことなので、急ぎ足で扉を開けて廊下に出る。勿論、近くに人が居ないかスキルの武神に含まれている気配探知で確認しつつだが。
廊下に出てまっすぐに進む。しばらく廊下を進むと突き当りになっていた。そして扉があり、その中にグレゴールの位置がマーカーで表示されていた。
しかしトリス自身で扉を開ければ当然何か居るとバレるため、どうしようかとトリスは頭を悩ませる。
-誰かお茶でも運びに事務所の人が来るだろうし、10分位は待ってみるか。待ってみて誰も来なければ、普通に入ればいいしな…。-
と、トリスは考えるが待つ必要は無かったようで、すぐに廊下の先に書類を抱えた人間族の女性の姿が見えた。
『コンコン』
「失礼します。書類をお持ちしました。」
中からグレゴールが返事をする。
『入ってくれ。』
その返事を待ってから女性はドアノブに手を出すかける。その女性は書類を抱えているためか、大きく扉を開けたので『チャンス!』とトリスは心の中で叫びながら隙間から突入する。
「?」
すると女性は部屋に入る寸前で首を傾げる。
「どうした?」
その様子を不思議に思ったグレゴールが女性に問う。
「いえ、なんでもありません。私のすぐ横を何かが通り過ぎたような風が吹いたので。」
その言葉にトリスは冷や汗をかく。
-くっ!この装備にもまだ改良の余地はあるな!まぁ気配は感じ取れないだろうから大丈夫だろうけどな。-
その後は特に何の問題も無く女性とグレゴールはやり取りをし、女性は部屋をあとにする。
その間話をしている間、トリスは部屋の隅に潜んでいたが、女性の位置情報が部屋から遠ざかって行くのを確認してから魔道具の機能を全て切る。
そして机に向かって何やら書類仕事をしているグレゴールに声をかける。
「どうも、こんにちは。」
数秒間を置いた後、グレゴールは驚きで叫ぶ。
「…は!?だ、誰だ!?」
「ちょっと静かにしてください。『防音結界』。」
防音結界とは、風属性の初級魔法であり、術者から一定距離の空間内で発生した音を、その効果の範囲外には聞こえないようにできる魔法である。
「魔法!?き、君の目的はなんだね!?…あれ?子供?」
慌てていたが、すぐに目の前に居るのが子供であると分かり、少々落ち着きを取り戻したようだ。
だが次の言葉で余計に混乱してしまう。
「まぁ、子供かどうかは置いておいて、それよりも商談をしません?儲け話があるんですけど。」
こうしてトリスは夢の第一歩を踏み出すこととなったのだ。
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