転生王子は何をする?
第11話 魔法の練習をしよう 2
「では早速魔法を使ってみせてくれ。」
アリアーヌの非常識さに呆然としていたトリスだが、暫くすると『まぁ、エルフだしこんなものか?』と思い始め、どうにか気を取り直すことが出来た。いくらエルフさんでもここまで非常識では無いのだが。
兎も角アリアーヌの言葉にトリスは頷き、取り敢えず上級魔法の中でも被害が少なそうな氷属性の『霧の国』を発動しようと決めた。なるべく少量の魔力を消費するように意識しながら、手に魔力を集めてキーワードを口にする。
「『霧の国』!!」
瞬間、トリスが手を向けていた方向に、扇型に氷の世界が現れた。扇型の先端まで10キロはあるようだ。
「…は?」
あまりの状況に、アリアーヌは間抜けな声しか出せないようだ。
「…ふぅ。やっぱり魔法を使う感覚は妙な感じだな。」
この状況を引き起こした本人は、呑気にも魔法を使った感想を述べている。
数秒後、再起動したアリアーヌは問う。
「…魔力の消費量は?」
その問に、トリスは創造神の加護による恩恵で表示させているMPの残量を見る。視界の左上に、MP:295/300とある。だがすぐに満タンに回復した。
「えっと、5ですね。それも数秒で回復しましたが。」
「なっ!?これだけのことをしておきながら消費量が5だと!?それと効果範囲も広すぎるぞ!?」
MPが数秒で5も回復するのもおかしいことなのだが、それよりも消費量の方がありえないのでそちらまで気が回らないアリアーヌであった。通常、上級魔法は半径数キロが限界で、しかも100以上は魔力を消費する筈である。どれだけトリスが非常識なのかが良く分かる結果である。
「そうですか?これでもなるべく気をつけて減らしたんですがね。まったく!オチオチ魔法も使えないなんて、折角のファンタジー世界が無駄になってしまうじゃないか。」
自身の力の異常さに気付きながらも、その力を己の欲望に使わないトリスに安堵を覚えつつも、アリアーヌは恐怖していた。
-この子は本気でやばいな。下手したら都市どころか、世界まで滅ぼしかねんぞ?願わくば、トリスが悪事に手を染めたり、世界を征服するとか言い出さないで欲しいものだな。-
頭を抑えつつも考えるアリアーヌを見て、『あ、若しかして恐怖されてる?』と思ったトリスは宣言する。
「師匠、大丈夫ですよ。」
「え?」
「だから、私は世界征服なんてめんどくさいことはしませんし、元がただの一般人で気の弱い奴だったので犯罪にも手を染めるつもりはありませんしね。第一、そんなつもりならコソコソとステータスを隠したりしないですしね。」
信用されていないことに少々寂しさを覚えるが、トリスは笑顔で言う。
「…そうか。」
そんなトリスの言に安心したのか、アリアーヌはホッと溜息をつく。
「えぇ、大丈夫です。」
念押しでトリスは頷きながら言う。
それを見て、アリアーヌは困ったような表情をする。
「まぁ、その、なんだ。別にお前自身の人柄を疑っている訳ではないのだから、そんな寂しそうな顔をするな。」
「!バレましたか。」
笑顔に隠した感情を見破られるとは思っていなかったトリスは、苦笑を浮かべる。
「当然だ。なんといっても、私はお前の師匠だからな。」
アリアーヌはキメ顔でトリスに言う。
そんなアリアーヌをありがたく思うと同時にからかいたくなったトリスは感謝の言葉を大袈裟に伝える。
「…はい。ありがとうございます。そんな素敵な師匠の期待に応えられるよう、これから行動で示していきますね。」
「褒めても何も出ないぞ?」
「師匠の照れた顔が拝めますので、それで十分ですよ。」
トリスは、ここぞとばかりにアリアーヌをからかう。
「なっ!?ば、馬鹿にするな〜!!」
アリアーヌは顔を真っ赤にして叫ぶが、むしろトリスにからかいの材料を提供することとなるのだった。
アリアーヌの非常識さに呆然としていたトリスだが、暫くすると『まぁ、エルフだしこんなものか?』と思い始め、どうにか気を取り直すことが出来た。いくらエルフさんでもここまで非常識では無いのだが。
兎も角アリアーヌの言葉にトリスは頷き、取り敢えず上級魔法の中でも被害が少なそうな氷属性の『霧の国』を発動しようと決めた。なるべく少量の魔力を消費するように意識しながら、手に魔力を集めてキーワードを口にする。
「『霧の国』!!」
瞬間、トリスが手を向けていた方向に、扇型に氷の世界が現れた。扇型の先端まで10キロはあるようだ。
「…は?」
あまりの状況に、アリアーヌは間抜けな声しか出せないようだ。
「…ふぅ。やっぱり魔法を使う感覚は妙な感じだな。」
この状況を引き起こした本人は、呑気にも魔法を使った感想を述べている。
数秒後、再起動したアリアーヌは問う。
「…魔力の消費量は?」
その問に、トリスは創造神の加護による恩恵で表示させているMPの残量を見る。視界の左上に、MP:295/300とある。だがすぐに満タンに回復した。
「えっと、5ですね。それも数秒で回復しましたが。」
「なっ!?これだけのことをしておきながら消費量が5だと!?それと効果範囲も広すぎるぞ!?」
MPが数秒で5も回復するのもおかしいことなのだが、それよりも消費量の方がありえないのでそちらまで気が回らないアリアーヌであった。通常、上級魔法は半径数キロが限界で、しかも100以上は魔力を消費する筈である。どれだけトリスが非常識なのかが良く分かる結果である。
「そうですか?これでもなるべく気をつけて減らしたんですがね。まったく!オチオチ魔法も使えないなんて、折角のファンタジー世界が無駄になってしまうじゃないか。」
自身の力の異常さに気付きながらも、その力を己の欲望に使わないトリスに安堵を覚えつつも、アリアーヌは恐怖していた。
-この子は本気でやばいな。下手したら都市どころか、世界まで滅ぼしかねんぞ?願わくば、トリスが悪事に手を染めたり、世界を征服するとか言い出さないで欲しいものだな。-
頭を抑えつつも考えるアリアーヌを見て、『あ、若しかして恐怖されてる?』と思ったトリスは宣言する。
「師匠、大丈夫ですよ。」
「え?」
「だから、私は世界征服なんてめんどくさいことはしませんし、元がただの一般人で気の弱い奴だったので犯罪にも手を染めるつもりはありませんしね。第一、そんなつもりならコソコソとステータスを隠したりしないですしね。」
信用されていないことに少々寂しさを覚えるが、トリスは笑顔で言う。
「…そうか。」
そんなトリスの言に安心したのか、アリアーヌはホッと溜息をつく。
「えぇ、大丈夫です。」
念押しでトリスは頷きながら言う。
それを見て、アリアーヌは困ったような表情をする。
「まぁ、その、なんだ。別にお前自身の人柄を疑っている訳ではないのだから、そんな寂しそうな顔をするな。」
「!バレましたか。」
笑顔に隠した感情を見破られるとは思っていなかったトリスは、苦笑を浮かべる。
「当然だ。なんといっても、私はお前の師匠だからな。」
アリアーヌはキメ顔でトリスに言う。
そんなアリアーヌをありがたく思うと同時にからかいたくなったトリスは感謝の言葉を大袈裟に伝える。
「…はい。ありがとうございます。そんな素敵な師匠の期待に応えられるよう、これから行動で示していきますね。」
「褒めても何も出ないぞ?」
「師匠の照れた顔が拝めますので、それで十分ですよ。」
トリスは、ここぞとばかりにアリアーヌをからかう。
「なっ!?ば、馬鹿にするな〜!!」
アリアーヌは顔を真っ赤にして叫ぶが、むしろトリスにからかいの材料を提供することとなるのだった。
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