fly

ゆあもち

fly "重なり"

彼は僕の翼がもう飛ぶことができない程に大きくなったことに気づいていた。
初めて気づいてくれた人だった。
そんな彼は僕のことが羨ましくて憎たらしくて大好きだったらしい。
「こんな僕に失望した?」
と聞くと彼は
「そんな訳ない。飛ぼうが飛ばまいがキミは君だよ」
「それに僕はキミという人間が好きだよ」
と答えてくれた。
恋人同士が囁くような甘い言葉ではなく、親が自分に言ってくれるような暖かい言葉で胸にストンと落ちた。
そしてその瞬間、彼は僕の翼をもぎ取ってくれた。重すぎて使い物にならないぼくの翼を。
それは暴力なんかじゃなくて、僕への愛で、助けだった。


「翼がなくても飛べるよ」

その言葉は僕の新しい翼で、彼と同じ羽へとなった。

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