転生ついでに最強を目指す

花鳥月下

転生

………ん?
此処はどこだろう…薄紫の奇妙な四角い空間の中で呟く。見ると、体の傷も癒え、下半身も戻っていた。
「お帰り、我が息子よ」
……何かおっさん臭いかな?このセリフ。
そんなことを考えていた刹那、誰もいないはずの空間に、自分意外の声が響いた。
『こんにちは、シラユキ様。私は女神、とだけ名乗っておきます。』
ソコには、神々しい光を纏った金髪金眼の、絶世の美小女がいた。彼女は少し幼さの残る顔をしており、身長は一五〇センチ位だろう。実に可愛らしい可憐な女の子だ。
…………素晴らしい。
ん?何?俺がロリコンだと!?違う!俺は断じてロリコンではない!!

それにしても……この状況、そして女神……此処は黄泉の世界か何かなのかな?
「女神様、僕は天国にでも行くんですか?それとも地獄ですか?」
『いいえ』
『貴方には、異世界に転生してもらいます。』
女神様は、淡々と、心の籠もらない声で告げた。
「……………え?」
そしてこの顔である。
現在、夢雪はとんでもない馬鹿面である。
効果音を付けるとしたら、‘‘ばびょびょびょーーん,,がお似合いだ。
『……プッ…ククッ……ッ……』
女神様が笑いに悶えているのがわかる。
ムカつくけどめっちゃかわいいな。
「転生って…ラノベみたいな感じですか?」
『大体合ってます。』
「じゃあチート能力とか……!」
そう!異世界転生と言えばチート能力!!
これで俺も最強無双ハーry
『無理です。』
「………え?」
『ここで与えられるのはステータス、天職、
種族、地位、そして、ランダムの神の恩恵です。スキルに関しては、現在あなたが最も秀でている物が最終派生してスキルとなります。ステータスは、こちらがランダムに振り分けますが、高くしたいものに関してはご要望に沿います。まぁ、精々1.5倍程度
です。よくて常人の2倍程度です。それでは、
この水晶に手をおいてください。』
なんだ、チートが得られる訳じゃないのか……
若干の期待外れを胸に、言われた通り水晶に
手を置いた。
すると、機械的な言葉が脳に直接話しかけてきた。
『種族を選んで下さい』
エルフ族
竜人族
人族
獣人族
魚人族
○族×○族
───────────────────
なる程、こういう感じか。俺はエルフ族と人族のハーフ、『ハーフエルフ』にした。
『地位を選んで下さい』
国王
帝王
貴族
族長
町長
村長
村人
町人
奴隷
────────────────────
俺は貴族を選んだ。位は子爵にしておこう。
────────────────────
『天職を選んで下さい』
魔術師
剣士
戦士
守護者
治癒士
精霊術士
召還士
商人
弓士
騎士
探索士
道化師
───────────────────
……あ’’ぁーーー迷う!!
取り敢えず魔術師、精霊術士、召還士に絞ったけれど!……女神様に聞こうかな。
「女神様女神様、僕に一番適切な天職は何ですか?」
『そうですねぇ……貴方は種族がハーフエルフなので…精霊術士とかお似合いです。』
「なる程」
言われるがままに精霊術士を選択した。
『ステータスの振り分けに移ります。高くしたいステータスの要望を教えて下さい。』
今度は女神様が直接話しかけてきた。夢雪は数秒後に口を開いた。
「それでは、魔力で。」
『ええ、承知いたしました。』
その瞬間、女神様が光に包まれる。当たりは煌めきだし、薄紫の空間は白き輝きにより満ちている。髪を逆立たせ、目を瞑りながら合掌している姿は、何よりも美しく、神々しかった。
『汝、数多の神に選ばれし者。創造神カマナの庇護を授ける。神の加護の下、邪神を討たれよ。我、アルナージ・レイ・フィラセム神。此処に一片の希望をもたらす。』
そして、女神様はこちらに近づいてきた。
少し頬を赤らめながら。

ちゅっ

次の瞬間、俺の唇に柔らかい感触が伝わった。呆然としている俺をよそに、彼女はしゃべりだした。
『こ、ここここここれはしぇんべつです!
わわ私は気に入った相手には構うことなくするのでしゅ!ですから、ふぁ、ファーストキスなんかじゃないんですからね!……あと、これでステータスが貴方の肉体に反映されます。先程のは儀式です。マァギシキダケナラアクシュデモヨイノデスガ……』
「何か言いましたか?」
『い、いえっ何も』
「そうですか。」
そう言えば、皆思っているであろう疑問に答えよう。ズバリ、‘‘何故少女漫画のテンプレのような出会いを期待する女々しい童貞野郎が美少女にキスされてもキョドらないのか,,だろう?答えはそう!驚きすぎて臨界点を越えて、逆に冷静になってしまったのさ!ハッハッハッ!
『では、魔法陣の上にお乗り下さい。これより、異世界転生をします。』
いよいよか…緊張してきたな~。
『それでは、行ってらっしゃい』
その言葉を聞いた数秒後、眩しいひかりに包まれたと思うと、俺の意識は途絶えた。
そして、次に目を覚ましたのは─────



──見知らぬ天井の下だった。──

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