転生ついでに最強を目指す

花鳥月下

死亡

ほがらかなる春の日、白雪夢雪しらゆきむせつは入学式に向かうべく歩いていた。
今年、夢雪はある決意を胸に歩いていた。
道の途中には曲がり角があり、夢雪は毎年毎年少女漫画のテンプレのような出会いを期待して通る。いつもはここで女子が来るのを待ち、いざ来たら飛び出そうとするも持ち前の小心チキンっぷりで飛び出せず、端から見たら『頭おかしいのかアイツ?』といった感じになっている。
しかし、今年は違った。
(俺も今年から高校デビューなんだ…!いつまでもこんなんじゃだめだ!今年こそ!美少女とのフラグを立て!キャッキャウフフな高校生活を果たすんだぁぁー!!)
……本当に頭どうかしているんじゃあないだろうか?暫く待っていると、うっすらと人が見えた。
その瞬間心臓が高鳴り始めた。 

(ドクッドクッドクッドクッドクッドクッ)

周りがまるで無音になったみたいな感覚に襲われる。
(やっとだ!ここで飛び出せば楽しい高校生活が送れるんだ!動け、小心者の脚チキンレッグ!でもこれでもし相手がブサイクだったら…ええい!ままよ!!)
そして、彼は飛び出した。
……そこが車道という事を忘れて。
刹那、夢雪は吹き飛んだ。それはもう見事なまでに。空中で三回転ぐらいして地面に落ちた。
「グゲェッ!??」
(上がってたー!!高校デビューで安全確認忘れてたー!!)
「う……ゲボァッ!」
ビチャビチャッと血を吐いた。
そこで異変に気づいた。
(さっきから下半身の感覚が無い……もしかして……?)
恐る恐る下半身を見た。いや、下半身が有った場所を見た内蔵の飛び出た肉の断面図と言うのが正しいのかもしれない。
「あ’’ぁぁぁぁーー!!!??グッ、げぁば!?」
声が出せない…喉が擦り切れたようだ。
そして俺は、白雪夢雪の人生は、こんなにも
呆気なく、そして、馬鹿らしく幕を閉じた。






ハズだった。

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