半魔族の少女は料理と共に
48話 彼女の異変と謎の空間
少し前と被ります
僕達は、学園案内をしてもらっていた。それ自体は、退屈していた。
もしかしたら、彼女は楽しんでいるかもしれない。彼女は新しい物がある、学園にある物は全部新しく見えるだろう。
何時ものようにキラキラした表情で話していた……女神と。
――この国の学校は、東方の技術も取り入れてるため。剣だけで無く刀とかもあるらしいですよ――
東方の技術か、僕にはあまり聞いたこともないけど。彼女が頷いている所見ると知ってるのかもしれない。
そういえば、彼女は引きこもりだと言ってたけど。僕の知らないことまで知っていることが多い。
料理については、本の様な物を使っているためか。いいけど、技術に関しては僕が驚きを隠せないほど。
何かを知っていても、彼女は多分誤魔化してしまうだろう。
そんな事を思っていると、教師が立ち止まり。頭を向けてみると、校長室と書かれていた。
「ここが校長室だ」
そう、教師が言ってた。
貴族達は心なしか、浮足だっていた。多分、校長先生に挨拶して名前を覚えてもらいたいと思っているのだろう。
そんな中、何時もなら僕に何か言ってきそうな彼女を見ると。
真っ青な顔で、額から汗を流していた。
「今、大勢で押しかけるのはご迷惑になるため出来ないが。挨拶したい者はいるか?」
そんな声が教師から聞こえたが、僕はそれよりも彼女の尋常でない。怯え方に驚きを隠せなかった。
だけど、僕はそんな彼女を少しでも安心させる為、声を掛ける。
「マリアさん?」
「は、はい? 何でしょうか?」
僕の存在に気がついたのか、こっちを見ていた。すると彼女は周りを見渡し、貴族達が話してみたいと教師に詰め寄っていたのを見た。
ただ、何時もの様に。提案してみる、多分行くことは無いだろうと思っても。
彼女はあの場所、というよりはこの先に居る人物に怯えているようだった。
「行かなくていいんですか?」
「い、いい私は……」
彼女は無理な笑顔を浮かべるが、それを見た僕は胸を締め付けられた。
そこに居る人物は彼女に何をしたのか……。彼女は逃げる様なそんな雰囲気もあった。
「そうですか……」
僕は彼女を見守ろう、それだけでも彼女は安心してくれるだろうと思った。
そんな事をしていると、試験の前に話していた。メルトさんに中に入る人が決まったようだ。
僕は油断していた。
扉を開かれた瞬間そこに居た人物は……よく知っている人に凄く似ていたんだ。横にいる彼女に……。
慌てて横を見ると、倒れかけるマリアさんの姿が。
僕は音を立てないように、彼女を抱きとめる。小さく、彼女に話しかける。
「大丈夫ですか、マリアさん」
返事は無い、呼吸は浅く汗が止まる様子はなかった。
ただ糸が切れたように、意識がない。教師が心配そうに見ている。
「大丈夫か? 保健室なら案内したろ、そこへ行けよ」
この教師は何処まで、屑なんだと思った。普通の人なら駆け寄って、介抱を手伝ったり保健室へ連れて行く手伝いくらいするだろう。
でも、今はそんな事を気にしている暇じゃない。彼女の意識が消えたってことは……。
彼女がかけている、魔法……普段消している、角が見える事だ。
すぐに消えないだけマシだと思った。
女神は、なりを潜めたように何も言ってこない。
「体調悪くなるくらいなら、元から来なければいいのにな!」
教師の言葉に、周りの貴族達もクスクス笑っている。メルトさんは校長室の中で、仲間と言える人は誰もいない。
僕は、急いでマリアさんを抱え、保健室に入る。
中に入ると、白衣を来た女性がこちらを驚いたように見ていた。
「どうしたの!?」
「急に倒れたんです、僕では原因も分かりません」
僕は状況説明する前に、マリアさんをベットに寝かせる。
白衣の女性は、こちらに質問を投げかける。ただ、あの教師と違い。優しげな声での為安心が出来た。
「何があったの?」
「校長室の前で、話していたら顔を真っ青にしていて。息苦しそうにしてました」
彼女は、唸るとマリアさんの額に手をあてたり。汗を拭いたりして、様子を伺っていた。
すると確信とも言えない言葉が聞こえた。
「ストレスかもしれないわ」
「そうですか」
概ね、予想は出来た言葉だ。扉が開かれた瞬間に見えた、あの人のせいだと分かる。
僕は知っている……とは違うけど。彼女の手帳をナタルさんとハナさんの了承の上、見せてもらっていた。
あんな出来事があれば、記憶が無くなっていてもしょうが無いし。会った拍子に記憶がフラッシュバックする可能性もあった。
「何か事情がありそうね、この角の事もそうだけど」
「はい、口外はしないで貰えると……助かります」
「……分かったわ、他人ならまだしも。うちの生徒だもの約束するわ」
僕はホッとした。この場所でもまだ味方してくれる人がいるのだと。
ただ、と付け足すと彼女は。
「校長先生はお子さんは、居ないと言っていたけど……」
彼女はマリアさんの顔をまじまじ見ていた。僕も凄く似ていたと思う……だから確信を持てた。
角は生えていても、親と顔が似てもおかしくはない。
もっとも父親はもういないけど。だけど、何故かあの母親の顔見た時に違和感を覚えたんだ。
若すぎると。
こっちに来る前に、母親はこっちに来ていたらしい。国王が言った事は本当だった。子供を産んで、12年も経っている。少しくらい老けていてもおかしくはない。
あれで30代後半なのだから。だけど、あの母親は見た目は20代のそれと変わらず。いっそ美しいと言える肌を持っているだろう。
「まぁいいわ、彼女が覚めるまで貴方はここに居なさい。本当なら、置いて行かせるんだけど……」
ストレスなら近くに気を許している人が居ないと危ない、と言ってくれた。僕はその言葉に甘えようと思う。
流石に来た人に見せる訳には行かないのか、レースで彼女のベットの周りを隠してくれた。
すると突然、脳内に声が聴こえる。
――ケルトさ~ん! 今大丈夫ですか?――
「はい、どうしたんですか?」
――少し、いえ。かなり大事なことなので……ちょっと聞いてもいいですか?――
「大事な事? マリアさんの過去については、ある程度は知ってますけど……」
――それの全貌と……会わせたい人が居るんですよ。少しの間、意識を離すようですけど――
「分かりました?」
つい、疑問形になってしまった。唐突な事に僕は、少し動揺していたのかもしれない。
――なら、ちょっと目を瞑ってくださいね~――
そう言われたので僕は、目を閉じた。
その瞬間意識が離れる様な感覚があった。
気が付くと真っ白な空間の様な場所が見えた。
そこには、女神さんと……女性が立っていた。
――白雪 葵さん、呼びましたよ! 挨拶してはどうですか?――
なるほど、彼女はシラユキ・アオイと言うらしい。
ただ、違和感を覚えた。よく知っている人の……雰囲気を纏っているから。
「本当に来るとは思わなかったわ、女神もちゃんと説明したか不安になるし」
「あの……、貴女は? 僕の事を知っているようですけど」
少し、彼女は寂しそうな顔した。マリアさんだったら、こんな顔しないけど。したらこんな顔なんだろうな。
「そう……ですね。良く知っています。ずっと横で見守ってくれました」
ずっと……横に……やっぱり、確信した訳ではないけど僕は自然と口に出していた。
この事実だけは、確かめたかった。僕の大事で大好きな彼女の事だから。
「マリアさん……なんですね」
「……はい」
彼女は少し、戸惑うような口調で言った。
マリアさんは表情はすぐに出ていたが、悲しみや怒りの表情はあまり見たことがなかった。
でも彼女は、笑ったり戸惑ったり、少し寂しいそんな表情をしていた。
――相変わらず、まどろっこしいですね~――
「貴女がマイペースで空気読まないだけよ」
「そうです、女神さんも少しは空気読んで下さい」
つい、彼女と突っ込んでしまった。でも彼女は笑ってくれたので良いと思った。
――最近、お2人の私への扱いが雑な気がします……私女神なんですよ~――
「何時もがだらしなさ過ぎる上に、信用はしても少し頑張ってほしいわ」
何時も様子に僕は、ホッとした。僕は間違っていなかった。彼女なんだと。
でも、聞いてみたかったことがある。
「なんで、その姿なんですか?」
「そうですね、これが生前の姿と言ったほうがいいですね」
――その説明じゃ分かる訳ないじゃないですか、いわゆる転生と言うやつでして――
僕は混乱する頭に、女神が詳しく教えてくれる。
彼女は、別の世界で死んで。この世界に来た人らしい。当然理解は出来なかったけど……そういう物として受け入れた。
それで彼女が、いっぱい知っているのは。その時の記憶を持っているためであるらしい。
「それで、本題はなんですか?」
「意外と切り替え早かった!」
――いいじゃないですか、このままグダるよりは――
わからないことは、一旦置いておくことにした。
女神の目的は、マリアさんの過去である。こんなことまでして呼ぶ理由とは?
僕たちは女神の話を聞くために耳を傾けた。少し、マリアさん……シラユキさん? が不安そうな顔をしていたけど。
次は、過去の全貌!
僕達は、学園案内をしてもらっていた。それ自体は、退屈していた。
もしかしたら、彼女は楽しんでいるかもしれない。彼女は新しい物がある、学園にある物は全部新しく見えるだろう。
何時ものようにキラキラした表情で話していた……女神と。
――この国の学校は、東方の技術も取り入れてるため。剣だけで無く刀とかもあるらしいですよ――
東方の技術か、僕にはあまり聞いたこともないけど。彼女が頷いている所見ると知ってるのかもしれない。
そういえば、彼女は引きこもりだと言ってたけど。僕の知らないことまで知っていることが多い。
料理については、本の様な物を使っているためか。いいけど、技術に関しては僕が驚きを隠せないほど。
何かを知っていても、彼女は多分誤魔化してしまうだろう。
そんな事を思っていると、教師が立ち止まり。頭を向けてみると、校長室と書かれていた。
「ここが校長室だ」
そう、教師が言ってた。
貴族達は心なしか、浮足だっていた。多分、校長先生に挨拶して名前を覚えてもらいたいと思っているのだろう。
そんな中、何時もなら僕に何か言ってきそうな彼女を見ると。
真っ青な顔で、額から汗を流していた。
「今、大勢で押しかけるのはご迷惑になるため出来ないが。挨拶したい者はいるか?」
そんな声が教師から聞こえたが、僕はそれよりも彼女の尋常でない。怯え方に驚きを隠せなかった。
だけど、僕はそんな彼女を少しでも安心させる為、声を掛ける。
「マリアさん?」
「は、はい? 何でしょうか?」
僕の存在に気がついたのか、こっちを見ていた。すると彼女は周りを見渡し、貴族達が話してみたいと教師に詰め寄っていたのを見た。
ただ、何時もの様に。提案してみる、多分行くことは無いだろうと思っても。
彼女はあの場所、というよりはこの先に居る人物に怯えているようだった。
「行かなくていいんですか?」
「い、いい私は……」
彼女は無理な笑顔を浮かべるが、それを見た僕は胸を締め付けられた。
そこに居る人物は彼女に何をしたのか……。彼女は逃げる様なそんな雰囲気もあった。
「そうですか……」
僕は彼女を見守ろう、それだけでも彼女は安心してくれるだろうと思った。
そんな事をしていると、試験の前に話していた。メルトさんに中に入る人が決まったようだ。
僕は油断していた。
扉を開かれた瞬間そこに居た人物は……よく知っている人に凄く似ていたんだ。横にいる彼女に……。
慌てて横を見ると、倒れかけるマリアさんの姿が。
僕は音を立てないように、彼女を抱きとめる。小さく、彼女に話しかける。
「大丈夫ですか、マリアさん」
返事は無い、呼吸は浅く汗が止まる様子はなかった。
ただ糸が切れたように、意識がない。教師が心配そうに見ている。
「大丈夫か? 保健室なら案内したろ、そこへ行けよ」
この教師は何処まで、屑なんだと思った。普通の人なら駆け寄って、介抱を手伝ったり保健室へ連れて行く手伝いくらいするだろう。
でも、今はそんな事を気にしている暇じゃない。彼女の意識が消えたってことは……。
彼女がかけている、魔法……普段消している、角が見える事だ。
すぐに消えないだけマシだと思った。
女神は、なりを潜めたように何も言ってこない。
「体調悪くなるくらいなら、元から来なければいいのにな!」
教師の言葉に、周りの貴族達もクスクス笑っている。メルトさんは校長室の中で、仲間と言える人は誰もいない。
僕は、急いでマリアさんを抱え、保健室に入る。
中に入ると、白衣を来た女性がこちらを驚いたように見ていた。
「どうしたの!?」
「急に倒れたんです、僕では原因も分かりません」
僕は状況説明する前に、マリアさんをベットに寝かせる。
白衣の女性は、こちらに質問を投げかける。ただ、あの教師と違い。優しげな声での為安心が出来た。
「何があったの?」
「校長室の前で、話していたら顔を真っ青にしていて。息苦しそうにしてました」
彼女は、唸るとマリアさんの額に手をあてたり。汗を拭いたりして、様子を伺っていた。
すると確信とも言えない言葉が聞こえた。
「ストレスかもしれないわ」
「そうですか」
概ね、予想は出来た言葉だ。扉が開かれた瞬間に見えた、あの人のせいだと分かる。
僕は知っている……とは違うけど。彼女の手帳をナタルさんとハナさんの了承の上、見せてもらっていた。
あんな出来事があれば、記憶が無くなっていてもしょうが無いし。会った拍子に記憶がフラッシュバックする可能性もあった。
「何か事情がありそうね、この角の事もそうだけど」
「はい、口外はしないで貰えると……助かります」
「……分かったわ、他人ならまだしも。うちの生徒だもの約束するわ」
僕はホッとした。この場所でもまだ味方してくれる人がいるのだと。
ただ、と付け足すと彼女は。
「校長先生はお子さんは、居ないと言っていたけど……」
彼女はマリアさんの顔をまじまじ見ていた。僕も凄く似ていたと思う……だから確信を持てた。
角は生えていても、親と顔が似てもおかしくはない。
もっとも父親はもういないけど。だけど、何故かあの母親の顔見た時に違和感を覚えたんだ。
若すぎると。
こっちに来る前に、母親はこっちに来ていたらしい。国王が言った事は本当だった。子供を産んで、12年も経っている。少しくらい老けていてもおかしくはない。
あれで30代後半なのだから。だけど、あの母親は見た目は20代のそれと変わらず。いっそ美しいと言える肌を持っているだろう。
「まぁいいわ、彼女が覚めるまで貴方はここに居なさい。本当なら、置いて行かせるんだけど……」
ストレスなら近くに気を許している人が居ないと危ない、と言ってくれた。僕はその言葉に甘えようと思う。
流石に来た人に見せる訳には行かないのか、レースで彼女のベットの周りを隠してくれた。
すると突然、脳内に声が聴こえる。
――ケルトさ~ん! 今大丈夫ですか?――
「はい、どうしたんですか?」
――少し、いえ。かなり大事なことなので……ちょっと聞いてもいいですか?――
「大事な事? マリアさんの過去については、ある程度は知ってますけど……」
――それの全貌と……会わせたい人が居るんですよ。少しの間、意識を離すようですけど――
「分かりました?」
つい、疑問形になってしまった。唐突な事に僕は、少し動揺していたのかもしれない。
――なら、ちょっと目を瞑ってくださいね~――
そう言われたので僕は、目を閉じた。
その瞬間意識が離れる様な感覚があった。
気が付くと真っ白な空間の様な場所が見えた。
そこには、女神さんと……女性が立っていた。
――白雪 葵さん、呼びましたよ! 挨拶してはどうですか?――
なるほど、彼女はシラユキ・アオイと言うらしい。
ただ、違和感を覚えた。よく知っている人の……雰囲気を纏っているから。
「本当に来るとは思わなかったわ、女神もちゃんと説明したか不安になるし」
「あの……、貴女は? 僕の事を知っているようですけど」
少し、彼女は寂しそうな顔した。マリアさんだったら、こんな顔しないけど。したらこんな顔なんだろうな。
「そう……ですね。良く知っています。ずっと横で見守ってくれました」
ずっと……横に……やっぱり、確信した訳ではないけど僕は自然と口に出していた。
この事実だけは、確かめたかった。僕の大事で大好きな彼女の事だから。
「マリアさん……なんですね」
「……はい」
彼女は少し、戸惑うような口調で言った。
マリアさんは表情はすぐに出ていたが、悲しみや怒りの表情はあまり見たことがなかった。
でも彼女は、笑ったり戸惑ったり、少し寂しいそんな表情をしていた。
――相変わらず、まどろっこしいですね~――
「貴女がマイペースで空気読まないだけよ」
「そうです、女神さんも少しは空気読んで下さい」
つい、彼女と突っ込んでしまった。でも彼女は笑ってくれたので良いと思った。
――最近、お2人の私への扱いが雑な気がします……私女神なんですよ~――
「何時もがだらしなさ過ぎる上に、信用はしても少し頑張ってほしいわ」
何時も様子に僕は、ホッとした。僕は間違っていなかった。彼女なんだと。
でも、聞いてみたかったことがある。
「なんで、その姿なんですか?」
「そうですね、これが生前の姿と言ったほうがいいですね」
――その説明じゃ分かる訳ないじゃないですか、いわゆる転生と言うやつでして――
僕は混乱する頭に、女神が詳しく教えてくれる。
彼女は、別の世界で死んで。この世界に来た人らしい。当然理解は出来なかったけど……そういう物として受け入れた。
それで彼女が、いっぱい知っているのは。その時の記憶を持っているためであるらしい。
「それで、本題はなんですか?」
「意外と切り替え早かった!」
――いいじゃないですか、このままグダるよりは――
わからないことは、一旦置いておくことにした。
女神の目的は、マリアさんの過去である。こんなことまでして呼ぶ理由とは?
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