半魔族の少女は料理と共に

秋雨そのは

46話 料理とケルトさんの本気

前回と多少かぶります


 男子寮のご飯を作ってます。

 まさか、エンカに頼まれて。料理することになるとは思ってなかったんだけど。
 寮の調理師の方が休みで作る人が居ないんだって。
 勿論……受けました。私的にはここの素材は何があるのか気になったし。

 久しぶりに大勢の方に振る舞えるからね!
 男子寮と女子寮で2食作ることにした。

肉じゃが
ジョゴイモ(じゃがいも)を4等分、メンヌギを8等分にくし形切り、ジンジンをいちょう切りにする。
牛肉を食べやすい大きさに切る。
フライパンに油を入れ、中火くらいで牛肉を入れる。肉の色が変わったら。
野菜をメンヌギ、ジョゴイモ、ジンジンの順に入れ炒める。
水を2杯、酒を少量入れる。
弱火くらいで蓋をして10分程、砂糖少量、みりんを少量入れ、5分程する。
次に醤油を少量入れて蓋をしないで、6分程。その時、煮汁は底から返す。

野菜炒め
ナシュ(茄子)を乱切り、ピーメン(ピーマン)を細切り。メンヌギを薄切り。ジンジンを千切りにして。
豚肉を食べやすい大きさに切り、塩胡椒を振る。
フライパンに少量のサラダ油を引き、ショングとニンガを入れる。
香りが出てきたら、豚肉を入れよく焼く。
良い頃あいになったら、野菜を入れ、しんなりするまで炒める。
酒、醤油を入れ。混ざって来たら塩胡椒を振る。

 ある食材を使ってみたけど……。勝手に作ってよかったのかな?
 エンカが学校に電話するって言ってたけど……。

 そんな事を考えて作っていると。上からケルトさんが降りてくる。

「マリアさん!? 何でここに?」

「あ、ケルトさんおはようございます。男子寮と女子寮の担当していた調理師が休みだそうなので、私が作ってます」

 何やら驚いているけど、何でだろう? あ、そっか普通は男子寮に来ないもんね。
 周りの男子生徒も来ているみたいでこっちを見てる……は、恥ずかしい……。

「女子寮の方はもう終わりましたので、後はのんびりして女子寮の方で食べます」

 私は逃げるように言った。

「色々突っ込みたいのですが、今は食事に集中します」

 ケルトさんが食事が終わり、私たちはすぐそこの女子寮に着いた。
 さすがに、ケルトさんは中に入る勇気が無いのか外で待っているみたい。

 私は、そこそこ急いでご飯を食べた。
 そういえば、ご飯ってこの国扱っているのね。あるとは思わなかった。

 戻ってみると、ケルトさんと女神が話してたけど。昨日のことかな?
 余裕の時間で私たちは、教室に着く。

「意外と余裕が出ちゃいましたね」

「僕も余裕を持って起きたのに、マリアさんが先にいるなんて思わなかったですよ」

 さてと、席順はホワイトボードに……ホワイトボードってあったのね。
 席はケルトさんと隣同士、護衛と主人だからかな? あ、試験後は護衛は別の教室って書いてある。

 全員名前が長い……家名も入ってるからしょうが無いけど。前世の日本の学校じゃ考えられないよね。

 そんな事を思っていると、扉がバンッという音を立てて開かれる。

「オーッホッホ! 私が1番のり……じゃないですわね」

「そうです、後うるさいです。昨日先生の無茶振りに答えた。人ではありませんか」

 入ってきたのは、黄色の髪の長髪で、黄色の瞳で凄く、目立つ見た目ね。
 一方メイドは、青色の前髪を目まで伸びてるせいか。表情が見えない……軽く毒舌入ってたけど、これがこの人の主人とメイドの距離なんだろうね。

「昨日は受かってよかったですね、私はマリア・トアネット・カールです。お名前を教えてもらっていいですか?」

「あ、僕はケルト・シライシです。よろしくお願いします」

「トアネット・カール家? 聞いたことありませんけど……」

 それは、作られたばかりだからね。昔、母親が名乗ってたらしいけど。家臣と共に何処かに嫁いだって話だし。国王情報です。

「お嬢様、名乗られては?」

「あ、ごめんなさい。私はメルト・ワリダート・ネールですわ! ご存知の通り、有名な商業家ですわ!」

「ごめんなさい、分からないです」

「な、なんですって!……」

 あ、凄く項垂れてる。だって聞いたこと無いんだもん。いや、引きこもりしてた人が言っていい事じゃないけどね。
 そんな様子に、メイドが追い打ちを掛ける。

「お嬢様、彼女は他国から来た人ですよ? 分かるわけないじゃないですか、それも出来たばっかりの貴族何ですから。馬鹿ですか?」

「あ、貴女はもう少し言葉の加減を知りなさい。かなりグサッと刺されましたわ」

 そうして、時間になるまで貴族の人と教師を待っていた。
 暇だったので、メルトさんに家の事を教えてもらった。

ワリダート・ネール家
家事関係の椅子を中心に各国から、注文を引き受けている商業家。現在も売れ行きに歯止めが無いため。年々黒字を連発しているとか。

 ただ、どうしても挨拶が女性はみんな「ごきげんよう」なのが慣れなくて、メルトさんに何度も指摘されていた。
 これでも、前世も平民よ?
 ケルトさんは基本的に喋らないで、微笑んでいるだけだ。
 テオドールさんやメオドールさんも居たが、話してない所みるとあまり仲良くはないのね。

 教師が来て、全員に声を掛ける。

「今日のは、護衛の方の試験だ。今から移動するぞ」

 昨日と同じ場所に、進む。あれ? 授業があるとか言ったような……?
 まぁ気にしないことにしましょう。

 護衛の試験は、単純に実力と。主を守れる勇気があるかを確認するテストだ。
 何でか今日も私達が最後のようだけど。昨日と同じ順番なのかな?

 試験を行う試験官は、本物の騎士を連れてきて行うみたい。
 3人程いる。大柄の男、小柄の子供の様な大人の男。細身の女性だ。
 若干女性が不機嫌なのは、何でだろう?

「それでは、それぞれ行っていく」


 試験は順調に進んでいく、基本的に昨日と同じくどちらかが合格ならいいみたい。
 1対1の実力、そして主人を守るために、攻撃を避けつつ防御するテスト。

 私達の番になった時、教師がまた、悪い顔していた。ケルトさんも2度目だと少し不機嫌になっていたけど。私はなだめた。

 試験官3人による。実力勝負、1対3の闘い。おかしくないですか……。本物が3人本気で相手するなんてケルトさんでも流石に……。
 横をちらりと見ると、ケルトさんが「大丈夫ですよ」と言ってくれたので私は、心配する必要ないんだと思い胸を撫で下ろす。

「初め!」

 4人は睨み合い、ケルトさんは普段何も持ってないんだけど。今回は剣を持ってきてるね。
 小柄な男が突っ込む……。単純な剣の振り下ろしだ。ただ、剣身が短いため横に避けてもすぐに追撃を加えてくる。それを足で蹴り飛ばす。
 その間に、大柄の男が斧を無双に振り回す。それを、ケルトさんは剣で全てを防いでいた。
 余裕がなくなった所を女の人が切り掛かる、またその動きを含め全員バラバラなので厄介。

 辛いかと思われた瞬間、3人の剣が別々な方向から来るのを……剣で上に吹き飛ばし無力化した。

「み、見事……」
「つ、強い……」
「あっぱれだな!」

 3人はそれぞれ感想を抱いていた。次は私の護衛なので、無力化はしてはいけないようだ。
 1人と違い難易度が段違いのはずなのだが……。
 それすらも、私を躍らせるような動きで相手を翻弄……そして時間まで傷1つ付けずに守りきった。

 大柄の男が笑いながらケルトさんと話している。

「うむ、見事見事……護衛でなければ、我らの騎士団に入っても。副団長レベルくらいにはなるだろう。惜しい」

「僕は、マリアさんを守りたいだけですからね……出来れば、もっと近づきたいんだけど」

「はっはっは! 惚れた女が居ては俺等じゃ敵わんな!」

 教師の方から、凄く舌打ちや睨み事が聞こえるけど。
 下手に動くと面倒だからね。

 ここはのんびり事態が進むのを待って、そのまま落ち着いてくれないかな~。
 そんな事は無いと分かっていたため。私は溜息を付いた。


次は、学校の案内?

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