半魔族の少女は料理と共に
40話 少女の起こした奇跡
ユニーク4000突破、感激の涙が……
私は街の大広場、商店街、料理通り、冒険者ギルドへの道の十字路の真ん中。
そこに立てられた十字架に、フード被せられた状態で貼り付けられていた。
広場は熱気に包まれていた。
それと同時に、痛々しい程の殺気の篭った視線を受けていた。
「魔族を殺せ! 俺の家族は魔物に襲われて殺されたんだ!」
「魔族が居なければ、私の息子は……」
「早くしろ! 俺は早くこの怒りを収めたいんだ!」
口々に罵倒の言葉や、魔物に殺された恨みをぶつけてくる。
私は、それだけで泣きそうになってしまった。
元々、前世でも恨まれる事があった……、しかしそれとは異質な本気で殺すという殺気だからだ。
フードから時々見える、民衆の顔が酷く怖くて悲しいものだった。
私を貼り付けている十字架の下には薪が置いてあり、焼き殺す準備がされていた。
そんな事を思っていると、国王がやってきて言った。
「この度、私は魔族を捕獲した。よって、このパレードの開始としてこの魔族を焼き殺してから始めようと思う」
「「「「おぉぉぉぉ~~~~!!」」」」
民衆全員が大声を上げ、私の耳余る声が響く。
私は、何も声を発する事が出来なかった。ただただ、涙を溢れそうになるのを堪えるだけ。
国王は私の頭に被ったフードを掴み言った。
「今から、魔族の顔を見せようと思う。これが魔族だ……!」
国王は得意げな顔で、私のフードを取り民衆に私の泣きそうな顔と、大きな角が見せた。
「「「……」」」
「うそ……、あの子が……」
「嘘じゃろ?……」
「あんな子が魔族であったたまるか!」
民衆は戸惑いを見せ、先程の熱気は何処に行ったのか。認めない者もいれば、言葉を失っている人もいる。納得したように頷く人もいた。
熱気に包まれると思っていたのか、国王は戸惑った。
「どうした? もっと盛り上がらんのか?」
憎々しい顔を私に向け、咳払いしてから喋る。
「まぁいい、今から処刑を始める! 火を持って来い!」
衛兵2人が木についた火を持ってきて、国王の前に並ぶ。
国王は頷き、私の下にある薪を燃やすよう指示を出した。
その時、複数の人がこちらに走ってくる足音が聞こえた。
その音に国王はびっくりしていた。
「ケルト! あの嬢ちゃんでいいんだな!」
「あぁ、民衆は落ち着いている今なら邪魔もされにくい」
「行くぞお前ら! 恩返しの時だ!」
5人程の冒険者だろうか、それとケルトさんが居た。
国王は大声をだし。
「この賊を捉えろ! この処刑を邪魔させるな!」
やってきた20人くらいの衛兵が出てきた。
民衆をかき分け、5人の冒険者と相まみえる。
その隙を縫い、ケルトさんは私の前にいる2人の衛兵に剣を向ける。
「どけ! 貴方達だって分かっているはずだ! 彼女は人を殺すような人じゃない!」
「ほざけ! 魔族は敵だ、多くの人が死に大きな悲しみを背負った!」
「貴様こそ魔族に加担して、ただで済むと思うなよ!」
切りかかってくる2人の衛兵に対し、ケルトさんは冷静に剣を払い除け、避け、隙だらけの足を蹴り、転ばせる。
2人の衛兵の剣を遠くに投げ、私の目の前に立つ。
「ケルトさん!」
「僕は……、僕は貴女を守ります神に誓って。どんな辛い事でも」
ケルトさんは、そう呟いた……。
その時、ケルトさんは満面の笑みで。
「僕は、マリアさんの事が好きです」
私は、驚いて声を発せなかった。
でも、本気の言葉だと理解はできた。
驚いているとケルトさんは。
「返事は今じゃなくてもいい、だけど僕は伝えたかったんだ。この気持ちを」
そう言って、私を固定してる。十字架の鎖を剣で壊し。
私をお姫様だっこで抱え上げた。
「え? え?」
「少しじっとしていてください」
そう言われたので、混乱する頭でケルトさんにしがみついた。
「民衆の方々! 魔族に恨みもある方もいるでしょう、でもこの少女を見てください!」
ケルトさんは続ける、周りを見てる民衆に対して。
「彼女は人は人を殺しましたか? 違うでしょう、彼女に会ってない人もいるでしょう。ですが、その人は周りに聞いてみてください!」
「「「「……」」」」
「彼女は、この街で何をしましたか? 今、この場で思い出してください。彼女が居たのは少ない日かもしれない……、それでもやったことは貴方達の損になったでしょうか?」
ケルトさんは、逃すまいと奥からでてくる衛兵から逃げる。
しかし、衛兵は1人の老人に遮られた。
「ほっほっほ! 若いというのはいいの~、でもこの儂も助けられたからの~」
「喫茶店のお爺ちゃん!」
「久しぶりじゃの、お嬢さん。儂はな、あの店は思い出が詰まっていての……、人生のもう一度くらい繁盛している店を見たかったんじゃ」
「ありがとう」
私はお礼をいい。
ケルトさんは、貧民街の方に走る。
その入り口から衛兵が出て来る。
しかし、またその衛兵はある集団に遮られた。
「「「姉御! 大丈夫ですかい!」」」
「3人組の……なんだっけ?」
「「「酷いっす! 姉御!」」」
3人の姉御呼びする……、名前聞いてなかった。
落ち着いたら聞いてみよう。
そう思いつつ、ケルトさんが速度を上げて、貧民街の中を走っていく。
走っているとハナさんが同じ速度で並んでくる。
何やら急いでいるようだけど……。
「ケルトさん急いで下さい、結界もそろそろ限界が近いです」
「あぁ分かっている」
ケルトさんは事情を知っているようだ。
ミナトさんが来なかったのも理由だろう。
心なしかケルトさんの走る速度が上がった気がする。
ケルトさんの体って大きくて、安心する……。
必死に走っている顔を見ると、いつも頼りない姿が霞むくらい、凛々しい顔に見える。
そんなこと思っていると不意に話しかけられる。
「マリアさん……、森で遭った黒い獣がいますよね?」
「は、はい!? そ、そうですね?」
びっくりして声が裏返ってしまった。
あの黒い怖い魔物さんね。
「それが、街に乗り込んでこようとしてるんです」
「へぇ~、ってそれ大変な事じゃない!」
「なので、マリアさんに声を掛けてもらい、鎮めてもらおうかと」
私が声を掛けてね……、いやいや、無理ですよ?
私が話しかけたところで、何も変わらないですよ?
「無理です! 試したこと無いですけど、失敗します!」
「大丈夫ですよ、マリアさん」
「うっ……、わ、わかりました……やってみます」
そんなことを話していると、街の外にでる門が見えた。
何故か周りには民衆がいた。
門番は、親指をグッと上げ門を開いてくれた。
民衆のみんなが言った。
「「「「貴女が今度こそ幸せになりますように!」」」」
天にも祈る言葉の様にみんな一斉に呟いた。
その言葉を胸に、黒い獣の元にケルトさんと共に走る。
門を出てしばらく、走った。眼前に広がる森の上に異様な空気を持った獣に。
私は近くまで着いたら、下ろしてもらった。
……ちょっと名残惜しかったけど。
なんとも思っていない、ケルトさんが切り出す。
「それじゃ行きましょう」
「はい」
目の前に黒い獣が見える。その横に傷だらけのミナトさんが木に寄りかかり座っていた。
黒い獣は魔法の様な、陣と拘束具の様な、鎖が施されていた。
「やっと来たか、この馬鹿が遅いんだよ……つっ」
「親父待たせたな、死んで無いようで何よりだ」
「ふんっ、こんな物で死んで溜まるか」
黒い獣は拘束具と魔法陣を破り、私に向かってやってくる。
すると、私の目の前に止まり。頭を下げ頬を寄せてきた。
オォォォ~~~~ン
寂しげな鳴き声をした、そんな声も出るだな~と思った。
私は頭を撫で、嬉しそうな顔で言った。
「もう大丈夫だよ、私は助けてもらったから」
そうすると安心したように、尻尾を振り始めた。
一度黒い獣が、光ったと思うと……。
猫の姿になった。
にゃ~~~ん
鳴き声を上げると私に飛びかかってきた。
私はキャッチして、両手で支えるように猫を抱いた。
「可愛い~!」
「ふっ! 俺らの努力は何だったんだ。ていう位にあっさり終わったな」
「良いじゃないですか、私は好きですよこういう結果は」
ミナトさんが呆れて、脱力している所にハナさんがやってきた。
さてと、という感じに傷だらけの体を持ち上げ、ケルトさんに言う。
「後は盗賊団だ、お嬢ちゃんの事は頼んだぞ」
「その体で何を言いますか、ミナトはそこで待っていてください」
「そうだ、俺とハナの仕事だ、女神とやらのいざこざを終わらせてくれ」
木の陰に隠れて、見ていたのかナタルさんが顔出して言ってくる。
ミナトさんはそれに残念だと言いたげに、肩を落とした。
「面倒な事は勘弁何だがな」
「僕的には余り変わらないような気がするけど」
ナタルさんとハナさんは盗賊団の方に向かっていった。
無論、後々盗賊団の断末魔が聞こえたのは言うまでもない。
2人共普通にしてたみたいだけど、凄く怒った感じが抑えきれてなかったもん。
「さてと、女神の方がどうなってるんだ?」
――あ、終わった? こっちはこの馬鹿女神をまだ終わってないのよ――
――誰が馬鹿女神よ! 私より貢献度稼いだり、他の神認めれてるからって生意気なのよ!――
――うるさいわね、だからそれただの嫉妬じゃない。私の仕事まで迷惑かけないでよ――
うん、うるさい。
やり取りもそうだけど、何より頭の中に喋りかけてくる感じだから。
ガミガミ言われると、こっちの頭がキンキン状態なのだ。
「あ、あの2人共?」
――何? マリアさん?――
――無視するな、このおばさん女神!――
――誰がおばさん女神よ!――
ブチッ!
私は、流石に切れた。この女神2人に頭の中で騒がれるのに。頭が来た。
「2人共~~~?」
ケルトさんがギョッとしていた。
ミナトさんはやれやれと言った感じに見ている。
「根源してそこで座りなさい!!」
――は、はいぃぃ!――
――は、はぃぃぃ!――
出てきた2人の女神は私の目の前に正座していた。
そこから私は2人の女神に対し説教を日が傾くまで続いた。
横には黒い獣もとい、猫がいた。
ミナトさんは戻ってきたナタルさんとハナさんに連れられ、戻っていった。
ケルトさんは、最後まで残っていて、最終的には私をなだめてお開きになった。
次で第3章終わりです、終わった後はおまけを少々。
次は、変わった街
私は街の大広場、商店街、料理通り、冒険者ギルドへの道の十字路の真ん中。
そこに立てられた十字架に、フード被せられた状態で貼り付けられていた。
広場は熱気に包まれていた。
それと同時に、痛々しい程の殺気の篭った視線を受けていた。
「魔族を殺せ! 俺の家族は魔物に襲われて殺されたんだ!」
「魔族が居なければ、私の息子は……」
「早くしろ! 俺は早くこの怒りを収めたいんだ!」
口々に罵倒の言葉や、魔物に殺された恨みをぶつけてくる。
私は、それだけで泣きそうになってしまった。
元々、前世でも恨まれる事があった……、しかしそれとは異質な本気で殺すという殺気だからだ。
フードから時々見える、民衆の顔が酷く怖くて悲しいものだった。
私を貼り付けている十字架の下には薪が置いてあり、焼き殺す準備がされていた。
そんな事を思っていると、国王がやってきて言った。
「この度、私は魔族を捕獲した。よって、このパレードの開始としてこの魔族を焼き殺してから始めようと思う」
「「「「おぉぉぉぉ~~~~!!」」」」
民衆全員が大声を上げ、私の耳余る声が響く。
私は、何も声を発する事が出来なかった。ただただ、涙を溢れそうになるのを堪えるだけ。
国王は私の頭に被ったフードを掴み言った。
「今から、魔族の顔を見せようと思う。これが魔族だ……!」
国王は得意げな顔で、私のフードを取り民衆に私の泣きそうな顔と、大きな角が見せた。
「「「……」」」
「うそ……、あの子が……」
「嘘じゃろ?……」
「あんな子が魔族であったたまるか!」
民衆は戸惑いを見せ、先程の熱気は何処に行ったのか。認めない者もいれば、言葉を失っている人もいる。納得したように頷く人もいた。
熱気に包まれると思っていたのか、国王は戸惑った。
「どうした? もっと盛り上がらんのか?」
憎々しい顔を私に向け、咳払いしてから喋る。
「まぁいい、今から処刑を始める! 火を持って来い!」
衛兵2人が木についた火を持ってきて、国王の前に並ぶ。
国王は頷き、私の下にある薪を燃やすよう指示を出した。
その時、複数の人がこちらに走ってくる足音が聞こえた。
その音に国王はびっくりしていた。
「ケルト! あの嬢ちゃんでいいんだな!」
「あぁ、民衆は落ち着いている今なら邪魔もされにくい」
「行くぞお前ら! 恩返しの時だ!」
5人程の冒険者だろうか、それとケルトさんが居た。
国王は大声をだし。
「この賊を捉えろ! この処刑を邪魔させるな!」
やってきた20人くらいの衛兵が出てきた。
民衆をかき分け、5人の冒険者と相まみえる。
その隙を縫い、ケルトさんは私の前にいる2人の衛兵に剣を向ける。
「どけ! 貴方達だって分かっているはずだ! 彼女は人を殺すような人じゃない!」
「ほざけ! 魔族は敵だ、多くの人が死に大きな悲しみを背負った!」
「貴様こそ魔族に加担して、ただで済むと思うなよ!」
切りかかってくる2人の衛兵に対し、ケルトさんは冷静に剣を払い除け、避け、隙だらけの足を蹴り、転ばせる。
2人の衛兵の剣を遠くに投げ、私の目の前に立つ。
「ケルトさん!」
「僕は……、僕は貴女を守ります神に誓って。どんな辛い事でも」
ケルトさんは、そう呟いた……。
その時、ケルトさんは満面の笑みで。
「僕は、マリアさんの事が好きです」
私は、驚いて声を発せなかった。
でも、本気の言葉だと理解はできた。
驚いているとケルトさんは。
「返事は今じゃなくてもいい、だけど僕は伝えたかったんだ。この気持ちを」
そう言って、私を固定してる。十字架の鎖を剣で壊し。
私をお姫様だっこで抱え上げた。
「え? え?」
「少しじっとしていてください」
そう言われたので、混乱する頭でケルトさんにしがみついた。
「民衆の方々! 魔族に恨みもある方もいるでしょう、でもこの少女を見てください!」
ケルトさんは続ける、周りを見てる民衆に対して。
「彼女は人は人を殺しましたか? 違うでしょう、彼女に会ってない人もいるでしょう。ですが、その人は周りに聞いてみてください!」
「「「「……」」」」
「彼女は、この街で何をしましたか? 今、この場で思い出してください。彼女が居たのは少ない日かもしれない……、それでもやったことは貴方達の損になったでしょうか?」
ケルトさんは、逃すまいと奥からでてくる衛兵から逃げる。
しかし、衛兵は1人の老人に遮られた。
「ほっほっほ! 若いというのはいいの~、でもこの儂も助けられたからの~」
「喫茶店のお爺ちゃん!」
「久しぶりじゃの、お嬢さん。儂はな、あの店は思い出が詰まっていての……、人生のもう一度くらい繁盛している店を見たかったんじゃ」
「ありがとう」
私はお礼をいい。
ケルトさんは、貧民街の方に走る。
その入り口から衛兵が出て来る。
しかし、またその衛兵はある集団に遮られた。
「「「姉御! 大丈夫ですかい!」」」
「3人組の……なんだっけ?」
「「「酷いっす! 姉御!」」」
3人の姉御呼びする……、名前聞いてなかった。
落ち着いたら聞いてみよう。
そう思いつつ、ケルトさんが速度を上げて、貧民街の中を走っていく。
走っているとハナさんが同じ速度で並んでくる。
何やら急いでいるようだけど……。
「ケルトさん急いで下さい、結界もそろそろ限界が近いです」
「あぁ分かっている」
ケルトさんは事情を知っているようだ。
ミナトさんが来なかったのも理由だろう。
心なしかケルトさんの走る速度が上がった気がする。
ケルトさんの体って大きくて、安心する……。
必死に走っている顔を見ると、いつも頼りない姿が霞むくらい、凛々しい顔に見える。
そんなこと思っていると不意に話しかけられる。
「マリアさん……、森で遭った黒い獣がいますよね?」
「は、はい!? そ、そうですね?」
びっくりして声が裏返ってしまった。
あの黒い怖い魔物さんね。
「それが、街に乗り込んでこようとしてるんです」
「へぇ~、ってそれ大変な事じゃない!」
「なので、マリアさんに声を掛けてもらい、鎮めてもらおうかと」
私が声を掛けてね……、いやいや、無理ですよ?
私が話しかけたところで、何も変わらないですよ?
「無理です! 試したこと無いですけど、失敗します!」
「大丈夫ですよ、マリアさん」
「うっ……、わ、わかりました……やってみます」
そんなことを話していると、街の外にでる門が見えた。
何故か周りには民衆がいた。
門番は、親指をグッと上げ門を開いてくれた。
民衆のみんなが言った。
「「「「貴女が今度こそ幸せになりますように!」」」」
天にも祈る言葉の様にみんな一斉に呟いた。
その言葉を胸に、黒い獣の元にケルトさんと共に走る。
門を出てしばらく、走った。眼前に広がる森の上に異様な空気を持った獣に。
私は近くまで着いたら、下ろしてもらった。
……ちょっと名残惜しかったけど。
なんとも思っていない、ケルトさんが切り出す。
「それじゃ行きましょう」
「はい」
目の前に黒い獣が見える。その横に傷だらけのミナトさんが木に寄りかかり座っていた。
黒い獣は魔法の様な、陣と拘束具の様な、鎖が施されていた。
「やっと来たか、この馬鹿が遅いんだよ……つっ」
「親父待たせたな、死んで無いようで何よりだ」
「ふんっ、こんな物で死んで溜まるか」
黒い獣は拘束具と魔法陣を破り、私に向かってやってくる。
すると、私の目の前に止まり。頭を下げ頬を寄せてきた。
オォォォ~~~~ン
寂しげな鳴き声をした、そんな声も出るだな~と思った。
私は頭を撫で、嬉しそうな顔で言った。
「もう大丈夫だよ、私は助けてもらったから」
そうすると安心したように、尻尾を振り始めた。
一度黒い獣が、光ったと思うと……。
猫の姿になった。
にゃ~~~ん
鳴き声を上げると私に飛びかかってきた。
私はキャッチして、両手で支えるように猫を抱いた。
「可愛い~!」
「ふっ! 俺らの努力は何だったんだ。ていう位にあっさり終わったな」
「良いじゃないですか、私は好きですよこういう結果は」
ミナトさんが呆れて、脱力している所にハナさんがやってきた。
さてと、という感じに傷だらけの体を持ち上げ、ケルトさんに言う。
「後は盗賊団だ、お嬢ちゃんの事は頼んだぞ」
「その体で何を言いますか、ミナトはそこで待っていてください」
「そうだ、俺とハナの仕事だ、女神とやらのいざこざを終わらせてくれ」
木の陰に隠れて、見ていたのかナタルさんが顔出して言ってくる。
ミナトさんはそれに残念だと言いたげに、肩を落とした。
「面倒な事は勘弁何だがな」
「僕的には余り変わらないような気がするけど」
ナタルさんとハナさんは盗賊団の方に向かっていった。
無論、後々盗賊団の断末魔が聞こえたのは言うまでもない。
2人共普通にしてたみたいだけど、凄く怒った感じが抑えきれてなかったもん。
「さてと、女神の方がどうなってるんだ?」
――あ、終わった? こっちはこの馬鹿女神をまだ終わってないのよ――
――誰が馬鹿女神よ! 私より貢献度稼いだり、他の神認めれてるからって生意気なのよ!――
――うるさいわね、だからそれただの嫉妬じゃない。私の仕事まで迷惑かけないでよ――
うん、うるさい。
やり取りもそうだけど、何より頭の中に喋りかけてくる感じだから。
ガミガミ言われると、こっちの頭がキンキン状態なのだ。
「あ、あの2人共?」
――何? マリアさん?――
――無視するな、このおばさん女神!――
――誰がおばさん女神よ!――
ブチッ!
私は、流石に切れた。この女神2人に頭の中で騒がれるのに。頭が来た。
「2人共~~~?」
ケルトさんがギョッとしていた。
ミナトさんはやれやれと言った感じに見ている。
「根源してそこで座りなさい!!」
――は、はいぃぃ!――
――は、はぃぃぃ!――
出てきた2人の女神は私の目の前に正座していた。
そこから私は2人の女神に対し説教を日が傾くまで続いた。
横には黒い獣もとい、猫がいた。
ミナトさんは戻ってきたナタルさんとハナさんに連れられ、戻っていった。
ケルトさんは、最後まで残っていて、最終的には私をなだめてお開きになった。
次で第3章終わりです、終わった後はおまけを少々。
次は、変わった街
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
-
-
20
-
-
1978
-
-
75
-
-
124
-
-
22803
-
-
35
-
-
4
-
-
125
-
-
59
コメント