半魔族の少女は料理と共に

秋雨そのは

30話 一致団結と貧民の力

今回は、会話を少なめです……。


 私は、土下座した人達をなだめて、頭を上げさせていた。

「私は寝ぼけてただけですし、普通ですよ~」

 ナタルさんは、静かに傍観してるし。

「ナタルさんからも、やめるよう言ってくださいよ」

「それは無理だな、俺よりも上の立場に当たるってことだしな」

 どうしよう……。
 ならちょっと、この貧民街を変えたいな~、と思うけど。

「ナタルさん、命令的な事していいの?」

「可能だが、ついてくるかどうかは、あいつら次第だ」

 それなら、自分で動く分には問題ってことだよね?
 よ~し、貧民っていうけど、変われる可能性はいくらでもあるよね?

「よし、私したいことあるんだけど、みんな聞いてくれる?」

 その場の全員は、私の話しに聞き耳を立てた。


 あの後、みんなで話し合った結果。
 この貧民街を変えるにはどうすればいいかというもの。
 最初は、そんなこと無理だろうという声もあったけど、必死に声を掛け合ってみた。

「貴族の奴らは、俺らを毛ほどにも思っていない。そうじゃなきゃ、こんな場所で生活していない」

 そんな意見もあったが、出来ない事はないと思った。

「なら、その貴族の生活を支えてるのは何? 貴方達1人1人この街の住民が居たからじゃないの? 確かにお金の力はデカい……けど、物を売るのに作るのは誰? 民でしょ? 貴族が作っている姿を見たことある?」

「確かに……、俺らは物を作り、それをお金に変え過ごしてきた。なのにあいつら、貴族が作っている姿を見たか!」

「そうだ、物を作るのは俺らだ!」

「なら、作りましょう。金の無いなら物を作る働きをすればいい、ここで諦めるよりは動いた方が確実にいいから」

 そうだそうだ! という声と共にその場全員が熱気に包まれた。

「お前、こういう事も得意なのか?」

「得意じゃないわよ、ただ何もしないで諦めてる人を見るとほっとけないのよ」

 ナタルさんはふっと笑うと、しょうがないといった感じに前へ出た。
 さっきまで、非協力的だったのに~。

「そういうことだ、お前ら! 貴族なんて目じゃないほど、俺らが作り上にのし上がるぞ!」

「「「「おおぉぉぉ~~!」」」」

 そして、この時私達、貧民街のみんなは一致団結した。

 ここに来る前に、物を作っていた者は作業を。
 商売に精通していた人物は売り込みを。
 お金を稼ぐために、働き手にする者は、商店街に。
 腕っ節の強い者や元冒険者の人は、ギルドで依頼をこなしお金と信頼を得る。

 ナタルさんは、冒険者の依頼の方に付き。
 ゲオールさんは、売り込みを担当したようだ。

 私は、お金を稼ぐために商店街にでていた。

 仕事経験があって、その店の信頼を持っているため。
 そこで可能なら働かせ、他の店舗に私は、仕事しにでる。

「事が一気に進んで疲れた~」

「ほっほっほ、貧民街のみんなを動かすとは、儂もびっくりじゃよ」

 私は、お爺さんの店に来ていた。
 貧民街の女性を連れ、ウェイトレスをさせるためだ。
 お爺さんなら断らないと思ったため、案の定許可がでた。
 ここなしか喜んでた。

 疲れた体を癒やすために、カフェオレを飲んでいた。
 店は、貧民街の人も加わったことで噂になったのか、多くの男性客が訪れていた。

「この後は、私が最初に訪れた、店でも仕事入れてもらおうかな」

「頑張りすぎて、倒れぬようにな……体は大事じゃよ」

「は~い」

 そういって私は、店を後にした。

 各店を回っては、劇的な調味料を開発し、仕事をもらい。
 調味料は、塩などはあるが、マヨネーズなど作る物は無かったため。
 作り方を秘密と言って押しているのだ。もちろんバラバラの調味料を。

 そんな事をして、日にちが3日が立ったある日。


 私は、ナタルさんと街を歩いていた。

「お前のお陰で、貧民街のメンツは仕事に付き、みんな生き生きした表情をするようになった」

「私は背中を押しただけですよ」

「それでもだ、ありがとう……」

 それとと言ってナタルさんは一息付く、そろそろなのかな?
 決意のこもった表情と、少し寂しそうな声で。

「そろそろ、エンカさんの場所が割られそうだ」

「そう……、捜索隊出てたもんね……」

 そう、捜索隊が貧民街まで伸びていて。報告を受けていたのだ。
 私も腹をくくらないと!

「パレードまで後4日だ……、今日見つかるように手引した。頼むぞ」

「はい」

 そういって、エンカが待っているアジトに向かうのだった。


次が章最後となります。
次は、2人が……?

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