半魔族の少女は料理と共に

秋雨そのは

23話 お爺ちゃんと少女の休息

ゆっくりしていってください


 私達は街を歩いていた。

「何処も気になる場所ばかりで、目移りします!」

「マリアさんは、いつも元気ですね。でも、この街の事知らないなんて何処に住んでたんですか?」

「森の中にある小屋よ、小さい時はちゃんとした家に住んでいたんだけど」

 そういえば、家って何処にあるんだろう?
 機会があれば、探してみようかな。面影だけでも残ってればいいけど。

「すみません、過去の事を掘り下げるような事言って」

「大丈夫ですよ、私は気にしませんし。いつものようにしてくれた方が私はいいです」

 みんないい人ばかりね、街の人達と仲良くなりたいし。
 色々な事、手伝っていこう。

 商店街についた時、ボロボロの店が見えた。

「ここって何の店なの?」

「ここは、なんでしょうね私にも分からないです」

コンコン

 ノックしてみる。

「いらっしゃい」

 お年寄りのお爺さんが出てきた。

「ここは、どんなお店なんです?」

「ここはね、汚れ仕事の所だよ」

「え?」

「冗談じゃよ、実際汚いから否定はせんがな」

 ホッと胸を撫で下ろすと。
 お爺さんはカッカッカと笑っていた。

「ここはわな、カフェじゃよ。今は従業員もいないせいで、寂れてるがな」

「丁度一腹しようと思っていたので、お願いしていいですか?」

「お嬢ちゃんは店の雰囲気は気にしないのじゃな」

 ボロいけど、それはもしかしたら、この店の持ち味かもしれないし。
 こういう場所ほど美味しい物がでる可能性が、前世の記憶参照。

「嬉しいの、久しぶりにだすとするかの」

 そう言って、嬉しそうにカウンターテーブルの奥にある厨房に入った。
 私とハナさんは椅子に座って待つことにした。

「どうしてここにしようと思ったの?」

「それは、感かな?」

 狭い場所や少しボロい店程、以外と人気だったり隠れた名店だったりするんだよね。
 それに賑やかな場所は、少し怖い。

「コーヒーとか出るのかな?」

「貴女はカフェオレ辺りじゃない?」

 流石に年齢的にカフェオレなのかな~。
 ケルトさんも12歳何だけど、身長とか以外は普通に大人にしか見えないけど。

「そういえば、魔法なんて簡単に言うけど普通の人じゃ、扱えないの?」

「そうね、魔力なんてものは人の中に誰しもありますけど。それを使えるかは自分次第です」

「ふむふむ、私のは適正があるということで良かったの?」

 ケルトさんは魔法は少しチャレンジしてみたらしいけど、全然ダメだったらしい。
 エンカさんはどうなんだろう?

「そうね、その体を叩きたいくらいにね」

「あの、少しずつ黒いオーラ的なものが……、すみません」

 凄く怖い、さっきの出来事からちょこちょこ出るようになった。
 そんな事話してたらいい匂いが漂ってきた。

「黒髪のお嬢ちゃんは、カフェオレでいいかの?」

「はい、それでお願いします」

「あ、私もそれでお願いします」

「了解じゃ、もう少し待っててくれんかの」

「「はい」」

 どうせなら、聞きたいことも聞いちゃおう~。
 この国以外の事全然知らないし。

「この国の他にどんな国があるの?」

「そうね~、アダムイブ国とかありますよ。女性だけの国で、入国は女性じゃないと許さないとか」

 女性だけの国!
 国外に出ることは、可能だと思うけど凄い。
 そういえばハナさんって、色々な事詳しいけど。

「ハナさんって冒険者なのよね?」

「そうね、私はあまり上の方ではないけど、それなりには」

「お嬢さん方は冒険者のなのかの?」

「私は何もしてないです」

 そう私は、森から出てきたばかりだし、色々ゴタゴタあって冒険者にも商人にもなっていない。
 街人あたりかな?

「色々な国を周ってみたいし、冒険者になる……のかな?」

「それじゃ、その時は私も手伝いますよ」

「ありがとう~、まぁそんな事が出来るのも一段落着いてから何だけどね」

「なんか面倒事でも抱えておるのかの?」

 そう言いながら、カフェオレを持って出てきた。
 テーブルに置きながらお爺さんは。

「儂も、昔は面倒事にしょっちゅう巻き込まれての、腕っ節が強くなったわい」

「そうなんですか、私も毎日何かに巻き込まれてクタクタですよ~」

「この街に来てから、そこまで経ってないんですか?」

 そう、この街に来てから3日ですよ!
 始めて、この街に来たのに、盗賊騒ぎとか国王に狙われるとか国王が殺されるとか。
 多すぎよ!

「3日しか経ってないのに、やりたいこと全然出来ない~」

「大変ですね、もう少しゆっくり出来たらいいんですけど」

 私はカフェオレに口に付ける。
 あ、美味しい。
 少し苦味があるけど、豆の独特な香りを無駄にして無くて。私の好みの味だった。

「ハナさん、このカフェオレ美味しいですよ!」

「そう? 私もいただきますね」

 一口飲むと、ハナさんが驚いたように。

「美味しいですよ、久しぶりにこんなに上手いの飲んだかも」

「ほっほっほ、嬉しいの~、最近は寂しかったからお嬢ちゃん達の笑顔が見れて良いわい」

 でも、こういうの飲むとあれが欲しくなる。
 そう、デザートのショートケーキである。

「お爺さん、ここの厨房借りてもいいですか?」

「お嬢ちゃん、お料理出来るのかの?」

「マリアさんはお料理上手なんですよ」

 といってもこれから作るのは、デザートだけどね。

「クリームとかありますか?」

「あるぞ、だが買ったわよいが、使い道がわからんでの」

「あるんですね~、なら牛乳に苺、砂糖っとスポンジもある」

 ちなみに、この世界の苺はイチハと言うらしい。
 スポンジも置いてあるけどなんでだろう?
 形は四角だけど、味はさほど変わらないため使える。

ショートケーキ(簡易版)
水と砂糖をボウルに入れ、砂糖が溶けるまで混ぜる。
その後、火の魔結晶の欠片を使って、丁度いいくらいまで加熱させる。
スポンジを3つに分け、下の土台は少し厚めにしておく。
イチハは四角のため、斜めに切り3角形のような形にする。
クリームと牛乳、砂糖を入れ、泡立てる。
集めのスポンジを置き、その上に水と砂糖を混ぜて加熱した物を塗る。
泡立て作ったホイップをその上に、少し塗り。
切った、イチハを乗せる。ホイップをスポンジの大きさとイチハの高さまで入れる。
その上に土台と同じ工程をしたスポンジを乗せる。
形を崩れないように、周りにホイップを塗って。上にイチハを乗せる。

 うん、今回はちょっと疲れたけど、問題無く作れた。
 ショートケーキなんて普段作らないからね。
 見た目は、ちょっと失敗したけど悪くはないと思う。

「ふぅ……、これでいいかな」

「凄い! これなんていう料理なんです?」

「デザートというのよ、ショートケーキっていう食べ物なの」

 3つ分作り、カフェオレと共に頂く。
 美味しい、コーヒーだったらもっと合うかも?

「凄いの~、儂のコーヒーと合ってしかも、この甘さは癖になるの」

「美味しいです、凄く甘いですし私好きですよ!」

 私は2人の感想を聞きながら、食べた。
 するとお爺さんが。

「今日じゃなくても構わんが、家で働いてみんかの?」

「いいんですか! それなら是非!」

「マリアさん、そういうこと好きですよね」

 ハナさんは呆れたような、嬉しいような表情で言った。
 しょうがないじゃない、色々学びたいし貴重よ。

 そうして、私はこの店で臨時で働き始めた。


次は、働き始めるマリアさん

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