半魔族の少女は料理と共に

秋雨そのは

22話 魔法と世界

ユニーク2000突破感謝です


 私はハナさんと街を歩く。

「角を見せないために帽子を被ってるのだけど、隠す魔法とかないのかしら」

「ありますよ、魔法の適正があればですけど」

「魔法ってどういうものか分からないんだけど」

 私がいた世界では当たり前だけど、魔法は存在しない。
 本をだすのだって、魔法だと思ってなかったしね。

「少しやってみましょうか」

「今可能なの?」

「はい」

 そういってハナさんは、人差し指を立て、呟いた。

「ファイア」

 小さな魔法陣が現れ、指先に小さな火が灯る。

「すご~い」

 私は拍手して、喜ぶ。

「これくらいは貴女でも出来ますよ」

「やって出来るもんなの?」

 魔法と言うイメージは前の世界で、どういうのかは、知っているけど実際にやろうとすると凄く恥ずかしい。
 普通に考えてありえないことだったのだから。
 ええぃ! ままよ!
 炎を腕から燃え上がれ。

「ファイア」

 左手の手首から指先まで燃え上がっていた。
 えぇ~! 出来ちゃったよ。

「あのマリア……さん?」

「は、はい……」

「色々、魔法の詠唱とか無視してませんか?」

 そんなこと言われても!
 分からないもん!
 少し、腕から炎が出せればいいかな~、と思っただけだもん!

「なんで出来たんでしょう……?」

「こっちが聞きたいですよ」

 ハナさんは溜息ついて、少し落ち込んでいた。
 しょうがないじゃない、イメージで出来るとは思ってなかったんだもん。

「はぁ……、魔法はですね」

魔法とは
内にひめている魔力となるものを使うか。
精霊から魔力を受取、使う事など。
また、それらを発動させるには、明確なイメージに使う量の調整、イメージを定着させた詠唱が必要になるらしい。

「法則? 的なもの全てでは無いけど無視してるわね」

「気を取り直して、出来たなら今度は角を消してみましょう」

 って、炎消えないんだけど?
 消えろ! 消化!
 私の炎はすっと、消えた。

「……」

 脇ではハナさんがうなだれていた。
 凄く落ち込んでる!
 何かしたかな?

「大丈夫?」

「い、いえいいんです、私が未熟なだけなんです。そうですよね……ははは」

 大丈夫かな、不気味笑い出しちゃって……。
 しかも少し怖い目でこちらで見てるんだけど。
 怖いって……。

「え、えっと……角でしたよね」

 人が見ないよう、人気が無いところで帽子を少し上げ。
 幻だからイリュージョンかな?
 炎も英語読みだったし。
 角が無くなったイメージで。

「イリュージョン」

ポンッ

 うん出来ちゃった、テヘッ。
 帽子を取りハナさんに見せる。
 え? なんでこっちに拳向けてるの怖いよ~。

「なんでそんなにすぐ、わけも無く出来るんですか!」

「私なんて5年も、5年も練習してようやく出来たのに……」

 うわぁ~、それは私でも凹む。
 今までの努力を全て踏みにじられた感覚というか。
 1週間努力して、覚えたのに。脇で1日覚えられると凹むよね。

 で、でもまぁこれで帽子を被る必要無くなったし。

「少しは出歩きやすくなったかな?」

「そうですね、魔法を解除をさせるには発動させた人が、死ぬか気絶した時、精神が不安定な時ですし」

「そういえば魔法陣でないけど、なんで出ないのかハナさん知りまえんか?」

「え?」

 そう私が発動すると魔法陣が出ないのだ。
 ハナさんは出てたのに~。
 ちょっとカッコイイ。

「魔法陣も出てないということは、精霊魔法? いや、自分の魔力で?……ぶつぶつ」

 ぶつぶつ言い始めちゃったけど……お~い、戻ってきて~。

「結論を言います!」

「は、はい!」

 いきなり言われたので、背筋を伸ばしてしまった。

「この件は無かったことにします」

「了解です!」

 二人の胸の内にしまうことにした。
 面倒事の予感がしたんじゃないかな。

――あ、マリアさん! ご元気ですか?――

「いきなりそっちから話しかけられると、ビクッてなるわね」

「?」

 ハナさんの頭にハテナマークが出てる。
 そっか、女神の声は普通に聞こえないのか。

「少し、休憩しましょうか」

「そうですね、ベンチが置いてあったと思うのでそこで休みましょう」

 なんとか誤魔化せたようだ?
 不思議っ子認定されそうだけど。

――隣にいる女性って誰なんです? 親しそうですけど――

 小声で喋るのやりたくないから、何かないかな~。
 女神が出てきてくれれば、話は早いんだけど。

「女神と話すの難しくない? 出て来るか、よく言う念話みたいのできないの?」

――出来ますけど、マリアさんが出来るんです?――

「私がやらないとダメなのね」

 ええぃ、やってみない事には何も出来ない。

(チャット!)

『これでどうだ!』

――えぇ~! なんで出来るんですか、色々常識外れてませんか!――

『酷い! 私は健全……でもないね、半魔だし』

――そういえばそうでしたね……、魔族の血が入っていれば魔法適正あってもおかしくはないです――

『魔法陣出ないのって珍しいこと?』

――出ないんですか? そんな話は聞いたことないですけど――

 そうなのね、でもこれ切るのどうやるんだろう。
 意識して切れば、切れるのかな。

「さっき誰と話してたんです? 誰か居ました?」

「誰もいないわよ、この姿で友達いるほうが凄いですよ」

気を改めて、帽子を手に持ちながら街を歩いた。


次は、商店街の出来事

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