半魔族の少女は料理と共に

秋雨そのは

19話 息子は父を越えるもの

一定のペースで仕上げてます!


 僕は宿屋に辿り着くが。
 事が終わったように、静かだった。

 すると宿屋のおばあさんが。

「大変だよ! あんたの連れが、盗賊に連れて行かれちまったよ!」

「遅かったか……」

 絶望に足から崩れると、女神さんが話しかけてくる。

――ケルトさん、マリアさんから伝言です――

「なんて言ってました?」

――黒幕は、マルズダマ国王。悪徳な盗賊を雇っているらしく――

 国王が、黒幕……。
 もしそれが本当なら、解決するには何をすれば……。

――勝ち目が無いので、来ないでくださいと言ってました――

 何故彼女は、1人でやろうとするんだろう。
 僕はまた、君の父親の時と同じく見てるしかないのか……。

 絶望に打ちひしがれてると、先程のフードの男がやってきた。

「よう、遅かったようだな」

「今更何のようですか」

 苛ついているのを悟ったのか、やれやれのように喋る。

「自分の実力不足でそうカリカリするなよ」

「あんたに何がわかる!」

「分かるさ」

 そう言って、フードの男は顔にかかっていたフードを取る。
 その顔は忘れるはずもない……ミナト・シライシ死んだと思っていた。
 僕の父親その人だから。

「親父、あんた生きていたのか」

「そうだな、話せば長くなるが……今はそれどころじゃないだろ?」

「わざわざ僕の前に出た理由はなんだ」

 父ミナトはお前の前に指を突き出し。

「お前の力を鍛え直してやる、それで成長する見込みがあったら……」

「あったら?」

「手伝ってやるよ、あの2人を助けるのをな」

 時間が無いんじゃなかったのかよ、そんな暇してる場合じゃないだろ!
 僕はイライラしながら父親を見る。

「時間が無いんじゃないのかよ」

「問題は無いだろう、事を起こすとしたら次、王女が出席する。街全体のイベントの時だろう」

「何故そんな時に?」

 イベントは街でも代々的に貼られてる。
 マリアさんは気がついてなかったようだけど。

 それよりも何故、今なんだ。
 この男はそこまで、僕を強くしたがる。

「なんで、僕を鍛える」

「お前はまだ未熟だ、それじゃ守りたいものも守れない」

 何故だか、その言葉には自分に重くのしかかった。
 森のでの事、今回の事といい。
 自分が、改めて弱いと感じたのだ。

「今までのお前では、いくら鍛えても無駄だった」

「無駄……だった?」

「今、お前はあの半魔族の少女を助けたいんだろう?」

 あぁ、助けたいさ。
 どんな奴に頭を下げてでも、彼女を救ってあげたい。

「助けたいよ、でも今のままじゃ届かない」

「なら俺の特訓に耐えてみろ、もし強くなることが出来たなら行け」

「言われなくても」

 親父に向かってそう言うと、今度は天を見上げ。

「そこに女神もいるんだろ?」

――あらら、バレちゃった?――

「そりゃ周りには独り言にしか見えないが。すこし近くに寄れば、聞こえる奴は聞こえるからな」

――それにしても~、あの女神にも困ったものですよ、うっかりでこっちに転移させるって――

「こいつについた女神じゃないなら、あの半魔族の嬢ちゃんの方か」

――貴方ならもしかしたら、知ってるかもしれませんね――

「ほぅ……なら地球の転生者か」

 さっきから、この人らの話しが分からない。
 転移? 転生? 知らない単語が多すぎる。

「何を話してるんですか?」

――内容は言ってもしょうがないですよ、到底理解は難しいですから――

「そんなことより、特訓を始めるぞパレードまでは10日程だ」

 あぁ、待っていろよ……。

 そういって、親父についていった。


次は、マリアさん視点……あれ?思ってたのと違う。です

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