半魔族の少女は料理と共に

秋雨そのは

2話 確認事項と女神の恩恵

今回は少し長くなります。
品質表示の部分をなくしました。


 私は、床に膝と手を付き、はしたなくうなだれた。
 落ち込む思考をなんとか踏み留めながら。

 すると、聞いたことのある声が聞こえた。

――どうも~、女神ですよ。転生した気分はどうですか?――

 性懲りもなく、女神が話しかけてきた。

「今の状況判断だけで、うんざりになりました」

――貴女が言った事ですし、責任は取りませんよ?――

 酷い、勝手に種族のハーフを決めた上に、貴族にしたくせに……。

「それで、気になったことがあるのですが……、会った時に言った。スキルについてですが」

――そうそう、忘れてました。無駄なことを言うものですから――

 忘れてたの!?
 私にとって一番大事なんだけど……、後さり気なく無駄って言われた。

――そうですね、この世界にはステータスっていう物が存在していてですね。1回頭の中にステータスって呟いてください――

 そんなもの存在するの? という疑問をいだきながら頭の中に呟いてみる。

(ステータス)

マリア・アネット・カール
種族:半魔族
スキル:料理人、レシピ

 今の現状を見せてくれるみたい、スキルの2つは転生時にもらったものだけど……。

「他に何も学んでいないってこと……?」

――そうですね……、記憶を入れるまで監視してましたが、学んでいないというよりも、学べなかったようですね――

 女神に言われて、記憶を掘り返してみる。
 壮絶な人生だった……。

――――――――――――

――私はなんで生まれてきたのだろう――

 そう呟きたくなるほどの人生だった。

 生まれて物心の付くまでの間は、お母さんとお父さんは円満で人間と魔族のハーフであるにも関わらず。
 そこは私も、疑問には思っていない。
 だけど周りは非情だ……、その家族を快く思わない子爵の人達や周りの人々だ。
 事が起きたのは、5歳になった時……。

「ワンダ逃げろ! マリアを連れて!」
「あなた……!」
――お父さん! 何で? 何で血まみれなの?――

 ある時、血まみれの父親が入ってきた。その時私には、分からなかった。
 その姿を唖然と見ていたから。
 後ろから、走る音と、誰かの叫び声が何を示しているのかを……。

「逃げるわよ! マリア早く!」
――う、うん お父さんも……いかないと――

 ふとドアが蹴破られた……、そこには複数の人と大きな物を持っていた。
 そして、お父さんがこちらに話しかけてきた。

「マリア……、私が死んだとしても……人を恨まないで欲しい」
――なんで、お父さんに向けて、物を向けるの? 助けてくれないの?――
「早く!」

 お母さんが私の手を引き走る中、ふとお父さんの方を見ると……。
 無抵抗のお父さんに複数人がかりで死ぬまで、殴り続けた人達だった。

――お父さん~!――
「まだ生き残りがいるのか!」
「追え!」

 複数人がこちらに向かってくるのがわかる。

 慌ててお母さんに並んで、走った……、その人達の顔が、お父さんを殺したのに、気持ち悪い笑みを浮かべていたから。

 いざという時に用意しておいたのか、家から出ると外に馬車が止まっていた。
 お母さんは、私を後ろの荷物の所に乗せると、馬に乗り操作した。

 後ろからは家が燃える音と、怒鳴り声が聞こえた……。

 馬車と共に、森へ入り……しばらく経った時、小屋が見えた。
 その小屋に着くと私を下ろし、慌てて小屋へ入った。

 そこに住んで、11歳になってある時……お母さんが叫んだ。

「こんな筈じゃなかった!」
――どうしたの? お母さん――
「なんでよ、何でなのよ!」

 そして私は衝撃的な言葉を聞いた、お母さんから一番聞きたくない言葉を……。

「貴女なんて産まなければよかった」
――!?――

 衝撃で私は声出すことが出来なかった。

 そして、お母さんは憎しみに似た顔でこちらを見ていたから……。

 12歳の誕生日を迎えた時……。

 お母さんは家に帰ってこなくなった。
 街に行って、食料を買って家に帰って来る……はずだった。
 いつまでも帰らず、私は帰りを1日中待った……。

 そこで、私は思ったのだ……。

――お母さんに捨てられちゃった――

 と、そこで記憶は途切れていた。

――――――――――

「酷すぎるでしょ……」

――そうなんですよね……、でもこのくらいの事はよくあることなので――

 よくあることなんだ……。

「勉強も何も出来なかったのね」

 5歳からあんな生活していればそうでしょうね……。

――さてと、話を戻しますね。スキルの説明についてですが――

 切り替え早!
 確かに、女神からしてみれば、人の生活をよく見てるから。よく起こることなのかも……。
 ただ……、この女神、物食いながら笑って見てそう。

――今、さらっと酷い事思いませんでした?――

「き、気のせいです」

 一瞬殺気を感じた気がするので、誤魔化す。

――はぁ……、説明しますよ――

 おもむろに溜息ついた!

「お願いします」


料理人
熟練度関係無く、料理をすることが可能
調理工程をすぐ思い出すことができる
包丁を装備時、切り取った物の劣化を防ぐ
物の使い方を数回でマスターする

レシピ
取得熟練度と、必要熟練度の表示
自分の記憶に片隅にあるものでも、完璧に再現可能
上記で近い性質を持っている物を表示する
この世界の食べ物を知らなくても、作ることが出来る
必要材料の取得場所の表示
取得材料の名称を表示

 
 これって結構、凄いスキルなんじゃない?

――だいたいこんな感じですね~、この2つあれば、苦なく過ごせそうですね――

 さり気なく、転生時にもらったスキルだけど良かったと思う。

――ステータスの確認は私に頼んでくださいね~、でも呼びかけには答えないので……めんどいし――

 面倒って言った!
 でも、普通には見えないってことだよね?
 それなら少し得した気分。

――ステータスは誰でも見れますけど、貴女のスキルは特殊なので、私が管理する事になりました。他の人の鑑定に引っかからないようにというわけです――

 誰でも見れるのね……。特殊ってどれだろう?

「特殊ってレシピの方ですか?」

――です、レシピは本来、スキルではなく。本ですからね――

――レシピは言わば、禁書を作るレシピや錬金術についてのレシピもありますので、機密性が――

 想像以上に面倒な事が起きそうな予感……。

「私は気にせず、生活すれば良いってことよね」

――はい、それで問題ないですよ~、でもスキルについては内緒にしてくださいね……――

 そうして私は、部屋を後にした。


次は、ある男の子の話です。

(マリア)自分ではステータスろくに確認できないじゃない……
(女神)そうですね、でもいいじゃないですか普通ですよ、前の世界では
(マリア)今の世界で、私はどう生活しろと?

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(女神)ただやりとり書いてるのに、増えてる……。
(マリア)調子に乗ると減るよ?

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