混じり《Hybrid》【新世界戦記】
怪物 2
  「いらっしゃいです、テツ兄ちゃん」
   子供部屋に入った途端に、挨拶しながらも、リンがじゃれついてきた。
  「こんにちはリリン。相変わらず元気だね」
  「こら、リン。テツは今日は遊びに来たわけではないのよ。後になさい」
   フロンが妹を嗜める。
  「お仕事終わったら遊んでくれるですか?テツ兄ちゃん」
  「そうだね。仕事ってわけじゃないけど、この部屋と居間とお母さん達の部屋のストーブ調整したら、少し遊んでいくよ。待っててくれるかな?」
  「うん。待ってるです。絶対ですよ」
  「それじゃ、リリンの為にも急いで始めようか」
   テツはストーブ本体と煙突の連結部を外して、中の状態の確認をする。
   ストーブは去年の冬の終わりにも1度メンテナンスしてあるので、今回は簡単な調整で済むだろう。
   テツの予想してきていた通り、かなり良い状態なので、一部屋30分かからないで調整は終わりそうである。
  「リン。テツが終わるまで、私とお人形遊びでもする?」
  「いえ、姉様。リンはテツ兄ちゃんのお仕事見てたいです」
  「そう。では、二人で一緒に見物してましょうね」
  「はいです。姉様」
   リンは姉の提案も撥ね付け、久しぶりに訪れたテツにくっ付いて離れないつもりである。
   何故か、テツの作業に興味を持った様で、食い入る様にその作業を見つめ始めていた。
   姉妹の視線を気にしながらも、テツは手際よく作業を進めていく。
   煙突部分の清掃を終え、本体部分の調整の為に各部をばらし始めた頃に、思い出したように、フロンがテツに尋ねた。
  「テツ。あなたアロンベラバターは、まだ残っているの?」
  「そういえば残り少ないなぁ」
  アロンベラとはガレン原産の果物である。
   味は苺に似ているが、食感は桃の様にねっとりとしている。もちろんそのまま食べても美味しいが、ジャムにしたり、バターと混ぜたアロンベラバターとして加工して、長期保存も出来る。
   テツは、ネフラの稲穂を粉に引いた物に水と塩を加えて練って焼いたネフラナンに、アロンベラバターを塗って食べるのが大好きで、毎朝食べている。
  「ストーブいじっている間に、私が作っておいてあげようか?」
  「フロンが?作れるの?」
   グリード氏の所では、アロンベラの栽培もしているし、バターの加工もする本体な酪農も行っている。
   なので、テツはいつも、グリード氏の奥さんにアロンベラバターを作って貰っていた。
   テツの所でも乳牛は飼っていたが、自分のところで飲む分の乳を絞る程度のものだし、アロンベラの栽培もしていない。
  「お母様に教わって、自信あるのよ。任せなさい」
  
  「じゃあ、お願いするかな」
  「とびきり美味しいのを作ってあげるから、期待しておきなさい」
   と言って、フロンは立ち上がりながら妹に尋ねる。
  
  「リン。アロンベラ摘みに行くけど、一緒に行く?」
  「ううん。待ってるです」
   いつもは姉について歩く妹も、今日はテツの元を離れるつもりはなさそうだ。
  「わかったわ。テツの邪魔しちゃ駄目よ」
  「はいです」
   姉は出掛けたが、何が楽しいのか妹は、テツの作業から目を離さない。
  「リリン。見てて楽しい?飽きない?」
   テツが尋ねても、「面白いです」と
笑いもせずに真面目な顔で答える。
   子供というものは、何に夢中になるものか、よくわからないものである。
   子供部屋に入った途端に、挨拶しながらも、リンがじゃれついてきた。
  「こんにちはリリン。相変わらず元気だね」
  「こら、リン。テツは今日は遊びに来たわけではないのよ。後になさい」
   フロンが妹を嗜める。
  「お仕事終わったら遊んでくれるですか?テツ兄ちゃん」
  「そうだね。仕事ってわけじゃないけど、この部屋と居間とお母さん達の部屋のストーブ調整したら、少し遊んでいくよ。待っててくれるかな?」
  「うん。待ってるです。絶対ですよ」
  「それじゃ、リリンの為にも急いで始めようか」
   テツはストーブ本体と煙突の連結部を外して、中の状態の確認をする。
   ストーブは去年の冬の終わりにも1度メンテナンスしてあるので、今回は簡単な調整で済むだろう。
   テツの予想してきていた通り、かなり良い状態なので、一部屋30分かからないで調整は終わりそうである。
  「リン。テツが終わるまで、私とお人形遊びでもする?」
  「いえ、姉様。リンはテツ兄ちゃんのお仕事見てたいです」
  「そう。では、二人で一緒に見物してましょうね」
  「はいです。姉様」
   リンは姉の提案も撥ね付け、久しぶりに訪れたテツにくっ付いて離れないつもりである。
   何故か、テツの作業に興味を持った様で、食い入る様にその作業を見つめ始めていた。
   姉妹の視線を気にしながらも、テツは手際よく作業を進めていく。
   煙突部分の清掃を終え、本体部分の調整の為に各部をばらし始めた頃に、思い出したように、フロンがテツに尋ねた。
  「テツ。あなたアロンベラバターは、まだ残っているの?」
  「そういえば残り少ないなぁ」
  アロンベラとはガレン原産の果物である。
   味は苺に似ているが、食感は桃の様にねっとりとしている。もちろんそのまま食べても美味しいが、ジャムにしたり、バターと混ぜたアロンベラバターとして加工して、長期保存も出来る。
   テツは、ネフラの稲穂を粉に引いた物に水と塩を加えて練って焼いたネフラナンに、アロンベラバターを塗って食べるのが大好きで、毎朝食べている。
  「ストーブいじっている間に、私が作っておいてあげようか?」
  「フロンが?作れるの?」
   グリード氏の所では、アロンベラの栽培もしているし、バターの加工もする本体な酪農も行っている。
   なので、テツはいつも、グリード氏の奥さんにアロンベラバターを作って貰っていた。
   テツの所でも乳牛は飼っていたが、自分のところで飲む分の乳を絞る程度のものだし、アロンベラの栽培もしていない。
  「お母様に教わって、自信あるのよ。任せなさい」
  
  「じゃあ、お願いするかな」
  「とびきり美味しいのを作ってあげるから、期待しておきなさい」
   と言って、フロンは立ち上がりながら妹に尋ねる。
  
  「リン。アロンベラ摘みに行くけど、一緒に行く?」
  「ううん。待ってるです」
   いつもは姉について歩く妹も、今日はテツの元を離れるつもりはなさそうだ。
  「わかったわ。テツの邪魔しちゃ駄目よ」
  「はいです」
   姉は出掛けたが、何が楽しいのか妹は、テツの作業から目を離さない。
  「リリン。見てて楽しい?飽きない?」
   テツが尋ねても、「面白いです」と
笑いもせずに真面目な顔で答える。
   子供というものは、何に夢中になるものか、よくわからないものである。
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